125 / 200
太郎さんと弁蔵さん
しおりを挟む
ツル(亀)の恩返し。
爺にいじめられているところを助けた俺たちは言われるまま潜水艦に。
いいのかな? 張本人の爺もいるんだけどな……
いつの間にか潜水艦で仲間のいる海底王国へ。
現在ツルの操縦で海底五千メートルまで潜水。
そろそろ目的地が見えてくるそう。
あれこれは…… 乗り物は違えど昔話で聞いたような展開。
この後竜宮城に連れて行かれるはず。だが少々話が変わったらしい。
亀のツルさんは乙様のところへ連れて行くとのこと。
「この潜水艦に乗るのは俺たちが初めて? 」
「いえ随分昔に太郎さんを乗せました。それから最近ですと弁蔵さんを」
「弁蔵さん? そんな話あったっけ? 」
「ちなみに弁蔵さんの仲間が勝手に乙様の元へ押しかけ一騒動お越しまして。
もうこりごりと言うことで陸との交流を避け閉ざしていたところです。
あなた方はそれ以来のお客様です」
ツルの話では三組目の客らしい。
「まさかそれは青いタヌキのような? 」
「違います。人間ですよ」
うーんいまいち話について行けない。
爺さんに相談しようとするもノコタンと別のことに夢中。
「なあ爺さんあれ珍しいな。何て魚だ? 」
「そうじゃの。おかしな顔をしておる。浮袋まで出ておるぞ。確かあれは…… 」
「食えるのか? 」
「一応な。ただ癖がある。別の魚を勧めるがな」
ノコタンと爺さんはお気楽にお魚鑑賞。
どれが食えるか。どれが美味いかをノコタンにレクチャーする爺さん。
俺もツルも聞き入る。意外にも爺さんは物知りらしい。
「ご主人様そろそろ海底に着きますよ」
「うわ! ストップ! 」
アトリの一言がなければそのまま海底に突っ込むところだった。
一瞬で海の藻屑となっただろう。
「ふう危なかった。乙様にはご内密に。ではこちらです」
二人の話に聞き入りいつの間にか海底に。焦る様子のツル。
「儂らの仲ではないか。一度や二度の失敗気にするでない。フォフォフォ…… 」
馴れ馴れしい爺。相手の弱みを握り満足そう。
ついに乙様のいる海底王国へ到着。熱烈に歓迎を受ける。
「ようこそお越しになりました」
海底の女神たちが出迎える。
さすがは海底の女神だけあり皆大変美しい。ツルの話では永遠に年を取らないと。
「おお…… 世話になったそうだな? 」
亀のツルさんが仕える乙様が姿を見せた。
「いえそれほどでも…… 」
大歓迎を受ける。
「子供たちにいじめられたところを助けたとかで…… 」
大変美しい海底の女神。その中でも一際輝いて見えるのがこの乙様だ。
乙様はこの海底王国を統べる者だとか。
「それは別の方です。現在は少子高齢化もありそんな悪ガキ集まって来ません」
「ではあのおかしな妖術を使う…… 」
「仲間でもありません。我々は迷い人です」
「そうか。ではゆっくりしていくが良い」
気の済むまでここに居ていいそう。
うん…… どの女神様が良いかな?
選び放題で逆にやり辛い。適当に選んでくれないかな。
「よーし行くぞ! ははは…… 」
きゃああ!
初日からすでにエンジン全開。
海底の女神たちと戯れる。良い身分だぜ。へへへ……
爺さんもハメを外して大騒ぎ。
賑やか好きのノコタンも踊り狂う。
俺だって負けてないぞ……
チラッとアトリを見ると寂しそうな表情を浮かべる。
ごめんよアトリ。でもこれも友好の証。
大歓迎してくれた手前断り辛い。今日一日だけさ。
爺さんはどうか知らないが俺はそう言うの得意じゃないんだ。
だから最後までご主人様を信じて欲しい。
だがいくら心で訴えかけても伝えなければアトリの不安は消えない。
分かってるんだけどどうしても相手のペースに持って行かれてしまう。
もう自分が自分でないようだ。
そんな目をしないでくれアトリ。アトリ!
「ほらよそ見は禁止ですよゲン様」
へへへ…… 仕方ないな。ここはいっそのことアトリも誘ってしまえばいい。
「どうしたアトリお前も遊ぼう? 」
もう人間だろうとシカだろうとロボットだろう関係ない。
楽しければいい。この際朝まで踊り明かしてしまおう。
「ご主人様! 目的をお忘れですか? 」
「目的…… そう言えばあったような」
「まさかアンさんへの告白をお忘れではありませんよね? 」
真面目なアトリは戻るように懇願する。
もう少し遊んでも良い気もするがな。
「アトリ。せっかくの歓迎を無下に断れないだろ? 」
「ご主人様! 見損ないましたご主人様! 」
あーあ怒っちゃたかな。まあいいや。
アトリの監視もあり一週間後我に返る。
続く
爺にいじめられているところを助けた俺たちは言われるまま潜水艦に。
いいのかな? 張本人の爺もいるんだけどな……
いつの間にか潜水艦で仲間のいる海底王国へ。
現在ツルの操縦で海底五千メートルまで潜水。
そろそろ目的地が見えてくるそう。
あれこれは…… 乗り物は違えど昔話で聞いたような展開。
この後竜宮城に連れて行かれるはず。だが少々話が変わったらしい。
亀のツルさんは乙様のところへ連れて行くとのこと。
「この潜水艦に乗るのは俺たちが初めて? 」
「いえ随分昔に太郎さんを乗せました。それから最近ですと弁蔵さんを」
「弁蔵さん? そんな話あったっけ? 」
「ちなみに弁蔵さんの仲間が勝手に乙様の元へ押しかけ一騒動お越しまして。
もうこりごりと言うことで陸との交流を避け閉ざしていたところです。
あなた方はそれ以来のお客様です」
ツルの話では三組目の客らしい。
「まさかそれは青いタヌキのような? 」
「違います。人間ですよ」
うーんいまいち話について行けない。
爺さんに相談しようとするもノコタンと別のことに夢中。
「なあ爺さんあれ珍しいな。何て魚だ? 」
「そうじゃの。おかしな顔をしておる。浮袋まで出ておるぞ。確かあれは…… 」
「食えるのか? 」
「一応な。ただ癖がある。別の魚を勧めるがな」
ノコタンと爺さんはお気楽にお魚鑑賞。
どれが食えるか。どれが美味いかをノコタンにレクチャーする爺さん。
俺もツルも聞き入る。意外にも爺さんは物知りらしい。
「ご主人様そろそろ海底に着きますよ」
「うわ! ストップ! 」
アトリの一言がなければそのまま海底に突っ込むところだった。
一瞬で海の藻屑となっただろう。
「ふう危なかった。乙様にはご内密に。ではこちらです」
二人の話に聞き入りいつの間にか海底に。焦る様子のツル。
「儂らの仲ではないか。一度や二度の失敗気にするでない。フォフォフォ…… 」
馴れ馴れしい爺。相手の弱みを握り満足そう。
ついに乙様のいる海底王国へ到着。熱烈に歓迎を受ける。
「ようこそお越しになりました」
海底の女神たちが出迎える。
さすがは海底の女神だけあり皆大変美しい。ツルの話では永遠に年を取らないと。
「おお…… 世話になったそうだな? 」
亀のツルさんが仕える乙様が姿を見せた。
「いえそれほどでも…… 」
大歓迎を受ける。
「子供たちにいじめられたところを助けたとかで…… 」
大変美しい海底の女神。その中でも一際輝いて見えるのがこの乙様だ。
乙様はこの海底王国を統べる者だとか。
「それは別の方です。現在は少子高齢化もありそんな悪ガキ集まって来ません」
「ではあのおかしな妖術を使う…… 」
「仲間でもありません。我々は迷い人です」
「そうか。ではゆっくりしていくが良い」
気の済むまでここに居ていいそう。
うん…… どの女神様が良いかな?
選び放題で逆にやり辛い。適当に選んでくれないかな。
「よーし行くぞ! ははは…… 」
きゃああ!
初日からすでにエンジン全開。
海底の女神たちと戯れる。良い身分だぜ。へへへ……
爺さんもハメを外して大騒ぎ。
賑やか好きのノコタンも踊り狂う。
俺だって負けてないぞ……
チラッとアトリを見ると寂しそうな表情を浮かべる。
ごめんよアトリ。でもこれも友好の証。
大歓迎してくれた手前断り辛い。今日一日だけさ。
爺さんはどうか知らないが俺はそう言うの得意じゃないんだ。
だから最後までご主人様を信じて欲しい。
だがいくら心で訴えかけても伝えなければアトリの不安は消えない。
分かってるんだけどどうしても相手のペースに持って行かれてしまう。
もう自分が自分でないようだ。
そんな目をしないでくれアトリ。アトリ!
「ほらよそ見は禁止ですよゲン様」
へへへ…… 仕方ないな。ここはいっそのことアトリも誘ってしまえばいい。
「どうしたアトリお前も遊ぼう? 」
もう人間だろうとシカだろうとロボットだろう関係ない。
楽しければいい。この際朝まで踊り明かしてしまおう。
「ご主人様! 目的をお忘れですか? 」
「目的…… そう言えばあったような」
「まさかアンさんへの告白をお忘れではありませんよね? 」
真面目なアトリは戻るように懇願する。
もう少し遊んでも良い気もするがな。
「アトリ。せっかくの歓迎を無下に断れないだろ? 」
「ご主人様! 見損ないましたご主人様! 」
あーあ怒っちゃたかな。まあいいや。
アトリの監視もあり一週間後我に返る。
続く
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる