言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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曲がり角まで戻る。
「ここから右に…… 何だっけアトリ? 」
これ以上は間違えられない。すべて記憶してあるアトリに確認を取る。
「はい。ここを右に曲がってから後ろ歩きだそうです」
うん。分かりやすいな。でも左に曲がるのと何が違うんだ?
もういいや。アトリの言う通りに動くとしよう。

右に曲がってから後ろ歩き。
「ちょっと恥ずかしいぞゲン! 」
「ノコタン恥ずかしがらずに。ほら爺さんもっと早く! 」
一人ならまだしも集団で後ろ歩きは難しい。
後ろの者が少しでも緩めたら前の者が転んでしまう。
違いと言えば体の向きか。 

このまま五分ずっと後ろ歩きを続ける。
男が不思議そうにこちらを見るので挨拶。
そして左に。
この後は熊の置物があるはずなんだけどな。
あったあった。こっちだ。
こうして一軒の家に辿り着いた。

あれ…… どこかで見たような…… 気のせいか。
明らかに初めて訪れるはずなのに見覚えがある。
まあいいか。気にしても仕方ない。
ではさっそくお邪魔して見ますか。

「済みませーん」
「ああ遅かったじゃないか」
この人は…… まさかの占い師?
「これはどう言うこと? 何の冗談? 」
「うんうん。上手く一周出来たね。さあ入りな」
「こら! 儂らを騙したな! 」
爺さんがキレる。今回は明らかにこの占い師が悪い。
「そうだよ! とんだ無駄足じゃないか! 何か恨みでもあるのか? 」
ノコタンも続く。俺だって……
「俺たちの時間を返せ! 」
「黙りな! だから近道を教えてやると言ったろ。それを聞きもしないで何を言う?
さあ文句垂れないで後ろのドアを開けてみな」
どうやら非常口になってるらしい。

「ああ見える! 見える! 」
すぐ近くに第四世界の入り口が見えた。
「ほら占なった通りだろ? お代はいらないよ。さあ早く皆行くんだね」
こうしてふざけた占い師によってどうにか第四世界へ。

「あん? 何だお前らは? 」
さっそく男たちに睨まれる。
「俺たちは異人の者。先日流浪の民がここを通ったと聞いた」
「ああそうだな」
記録には十日前となっているそう。
「よし通れ! ようこそ第四世界に! 歓迎するぞ」
意外にもあっさり通してくれた。

「よし行くかの? 」
「ほら爺さん焦るなよ」
「ご主人様…… 」
「行こうアトリ。さあ手を繋いで」
こうして第四世界に足を踏み入れた。

ついに第四世界突入。
「ここは第四世界です。何かお困りごとがありましたらご相談ください」
すんなりと通されるどころか歓迎されてるようだ。
意外にも呆気ない。
前回はドラゴンとの激闘の末第三世界へ入った。
しかも何日も待たされてようやく。
その前は脱獄して逃げ回って正規のルートで入国せず怪しまれたっけ。
しかし今回は書類にサインしただけで済んだ。
異人と恐れられることはなく警戒されることもなくなった。
随分溶け込んだんだろうか?
もしかしてこれもアトリのお陰?
報告を怠らずに俺たちに問題ないと分からせたから?

「どうしたんですかご主人様。難しい顔をされて? 」
「いやアトリが優秀だから上手く行ったみたい」
「もうご主人様ったら! 」
嬉しさのあまり駆け出してしまうアトリ。
そう言うところはロボットと言うよりも子供だな。
妖精なんだから飛べよな。

「またロボットって…… 悪口ばかり」
そうこのアトリの特徴は人の心が読めるところ。
ロボットに心はないのになぜか心の内を読めてしまう不思議。
ならば情報収集に役立つだろうと普通は考えるがそれは甘い。
アトリは俺の心しか読めない。迷惑極まりない能力と言っていいだろう。

「ご主人様! どうしていつもそんな風にアトリを思うのです? 」
おっとアトリが落ち込んでるぞ。ここは励まさなくては。
「俺は常にアトリのことを思っている」
こう言っとけば大丈夫。
「もうご主人様ったら! 」
恥ずかしがり屋のアトリはすぐに顔が赤くなる。

「おいいつまでイチャイチャしておる? 置いて行くぞ二人とも! 」
なぜかリーダーを気取る爺さん。懲りない人だ。
「あれノコタンは? 」
「奴ならその辺でクソでも垂れてるのであろう。ほほほ…… 」
何を言ってるんだよ。あんたじゃないんだからさ
リーダーの俺がしっかりしないとアトリはともかく残りの二人は暴走してしまう。

面倒を掛けられても困るのですぐに探しに行く。


                 続く
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