言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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名刀・辛水の威力

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朝食を済ますと昨日行けなかったグッドバッド博士の家へ。
と思ったが…… その前に済ましておきたいことが一つある。
ゴールドエクスプレスの乗車券購入だ。
フォレストバレー駅へ。

徒歩で駅に向かう途中にいかにも町のゴミと思われる二人組に遭遇。
「ああん? 見かけない面だな。何者だお前ら? 」
おかしな輩が因縁をつけて執拗に絡んでくる。
この天才の町フォレストバレーには相応しくない。

条件反射でワードフォルダーから暴言カードを抜く。
ああダメだ。これは使えない。いや使ってはまずいだろう?
相手は明らかに人間だからな暴言カード使用はまずい。
いや…… 使ってでも倒す必要があるかもしれない。警告は承知の上。
それにしても朝からとはこの辺も物騒なのかな?

大声を出して逃げる手も考えたがこいつら相手では誰も助けてくれなそう。
だからやり方を変える。
「ごきげんよう…… 」
トラブル回避にはこれが一番。さあ見逃してくれるかな?
続けてノコタンとアトリが。最後に爺さんが。
ごきげんよう作戦は成功したと思われたが爺さんが恥ずかしがって声が裏返る。

「こら爺さん! ふざけるな! 」
やはり普段から使い慣れてない言葉だったからな違和感があるのだろう。
使う方も聞く方も。
「儂…… いや儂は関係ないぞ」
何とか誤魔化そうとするが無理がある。
「舐めてるのか? 」
穏便に済ましてはくれない。

「うぐぐ…… 」
ダメだ。爺さんが堪えられずに切り掛かろうとする。
それは模造刀だから切れないって。

あれ…… いつの間に買ったんだ?
船で猟銃を没収されてそのままだったからな。
別に武器を持たずとも暴言カードもあったから何の問題もなかったはず。
確かにお似合いだけどさ模造刀って意味あるの? 
そうか出発前にどこか出かけたなと思ったらこれを買おうとしていたのか?
でも爺さんあんたは猟師だって。刀よりも鉄砲だろ?
いくらお似合いでも持ってたらまずい。トラブルの元。

「おい爺さん何だよその左手のものはよ? 」
通りのゴミを掃こうと爺さんは構える。
「へへへ…… それ偽物じゃねえか? 」
うわ…… すぐにバレてしまう。

「おいアトリ! 爺さんを置いて逃げよう」
今男たちは爺さんしか目に入ってないはずだ。
ここは爺さんを捨てて逃げるべき。
恥を忍んで逃走するのも一つの作戦。

「ご主人様! 」
やっぱりダメか。そうだよな。
仕方ない。本当はあまり使いたくないがこの辛水を塗った剣でお仕置きだ。
「ああん? 爺さん早く掛かって来いよ! 」
挑発し続ける二人組。
だが動けるはずがない。ただの模造刀では脳天に直撃させない限り効果はない。
しかし相手がそれを許さない。上手く行ってももう一人に捕えられるのがオチ。
だからただ構えるだけで一歩も動けずにいる。

「まったくおかしな爺さんだな。そっちが仕掛けないならこっちから行くぞ」
意外にも飛び道具も持たずに己の拳だけで勝負しようとする。
正々堂々としてるとも取れるしただ何も考えてないとも言える。
圧倒的な力で屈服して来たとも取れる。
屈強な男二人だから脅すのも余裕なのだろうか?

おおお!
ついに男たちは爺さん目がけて突っ込んでくる。
このまま捕えられては爺さんがどんな目に遭うか分からない。
ここはやはりこの辛水を使うしかなさそうだ。

「喰らえ! 」
うわああ!
辛水が塗られた剣を振り下ろす。
うぎゃああ!
名刀・辛水によって一人が顔を覆って喚き始める。
どうやら辛み成分により体全体に激痛が走ってるらしい。
その場に倒れ込むとそのあまりの痛みに手足をバタバタさせる。
もはや見てられないほど激しい動き。
これはやり過ぎたか? いくら町のゴミだとしても人間だからな。

もう一人が運よく逃れるがそこにすかさず爺さんの一撃が。
爺さんの振り下ろした模造刀が逃れたもう一人の男の脳天にヒット。
ちょっとやり過ぎたかな? まあいい。この隙に逃げるとしよう。
「お主らもう二度とこんなことするでないぞ! 分かったな? 」
「分かりました。もう二度としません! 」
爺さんが説教して男たちは慌てて走って行った。

一体何だったんだろう。
そんな風に考えてるといつの間にかフォレストバレー駅に。


                     続く
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