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忘れ物
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食事を終え部屋に戻ろうとしたところでトラブル発生。
「ご主人様。ちょっとよろしいでしょうか」
セピユロスの次はヴィーナで今度は何?
もうお腹一杯。これ以上は出来れば遠慮したい。
「賊が侵入したとのこと。お気を付けください」
それはいくら何でも見過ごせない。
「なぜもっと早く知らせないのです? 」
「それは…… すぐに捕まると思いつい遅れてしました。大変申し訳ありません」
報告が遅れるのはよくあること。でもこれは緊急事態。あり得ない。
それだけ統制が取れてないことになる。
「メイド頭を呼んで。それから執事もよ」
念の為に厳戒態勢を取る。
賊が相手では何が起きるか分かったものではない。
ふう深呼吸。
まずは落ち着いて物事に当たる。冷静さが求められる。
大声で何事か喚いてる男が光に照らしだされる。
どうやら賊はまだ屋敷内に侵入していない模様。
「ほら捕まえなさい! 絶対に屋敷に入れないように」
今騒いでる辺りはまだ安全。
ただ猛獣を放し飼いにしてあるので臭いに釣られやって来ることも。
急いで捕まえる必要がある。
夜行性の獣が目を覚ます前に。
まだギリギリ間に合う。
治安と男の安全を守る為に急いで確保。
「いい? ボノに知られるのはまずい。秘密裏に処分するの分かった? 」
メイドでは頼りにならない。ここはやはり私が…… 待ってまさか……
賊に見覚えあり。つい先日見かけた気がする。
またあの人? 本当にどう言う神経してるの。
お騒がせ男は新人メイドの父親だった。
まだ不慣れなメイドの仕事を心配してやって来た。
懲りずにまた今日も来るなんて。
もう本当にしつこいんですから。ただの酔っぱらい。
「お父ちゃん」
田舎者丸出しのメイド。
まあここも都会ではないので好きに話せばいいが。少々恥ずかしい。
窓を叩き始めた賊。
どうやらこちらに気付いたらしい。
ドンドン
ドンドン
喚き散らす男。何が気に入らないのかまだ叫んでいる。
ほらお静かに。刺激してはいけません。
獣がいるのに騒ぐなど正気の沙汰ではない。
ただ放っておく訳にもいかず中に入れ話を聞く。
「いやあご主人様だっけか。忘れ物をしてな。夜分遅くにすまねえな」
「ちょっとあなたご主人様に失礼ですよ」
「いいの。それで何をお忘れになったのでしょう? 」
メイドを制し話を聞く。
「帽子を落としてきちまってよ」
「帽子? 今被っているのは何? 」
「ははは…… これはハット」
「あなたもしかして外国の方? 」
「ご主人様。それ以上は関わらない方がよろしいかと」
メイドも呆れている。
私だってこんな夜に無礼な得体のしれない男。いえメイドの父で先日会ったばかり。
「ちょっと来なさい! 」
父親の失態は娘の責任と。本来逆だが問い詰める。
「実はよ…… 」
「まさか家を追い出されたんですか? 」
「へへへ…… 」
「大変お騒がせしました。父ちゃん…… いえ父は酔うと寂しくなり私のところに」
どうにかごまかそうとしているが毎日来られても困る。これ以上放置できない。
「分かりました。もうどちらでも構いません」
トラブルばかりの親子共々追い出すつもりだったが気が変わった。
「あなたのお部屋を用意させます。これでよろしいですね」
娘は礼を述べる。
「いや太っ腹だね。感謝するよ。先日追い出されてよ。行くところなかったんだわ」
「ちなみにおいくつですか? 」
「年は四十六」
「父ちゃん。いい加減なこと言わないの」
「ははは…… 五十と少しですな」
この田舎者ならば裏切らないはず。
もしかしたら何かに使えるかもしれない。
あまり期待はできないが切り札に。
「分かりました。気の済むまでと言いたいですが他のメイドの手前もあります。
今年一杯はどうぞご自由に。
メイド館の隣のボロ小屋を提供する。
去年まで犬小屋として使っていたもの。
「父ちゃん。もう恥ずかしいから行こう」
この親子が面倒を掛けることはもうないだろう。
トラブルが続くよりもどれだけ楽か。
「ああちょっと。決して夜は出歩かないこと。あなたの命に関わります」
注意を与えた。もうこれ以上はいい。
続く
「ご主人様。ちょっとよろしいでしょうか」
セピユロスの次はヴィーナで今度は何?
もうお腹一杯。これ以上は出来れば遠慮したい。
「賊が侵入したとのこと。お気を付けください」
それはいくら何でも見過ごせない。
「なぜもっと早く知らせないのです? 」
「それは…… すぐに捕まると思いつい遅れてしました。大変申し訳ありません」
報告が遅れるのはよくあること。でもこれは緊急事態。あり得ない。
それだけ統制が取れてないことになる。
「メイド頭を呼んで。それから執事もよ」
念の為に厳戒態勢を取る。
賊が相手では何が起きるか分かったものではない。
ふう深呼吸。
まずは落ち着いて物事に当たる。冷静さが求められる。
大声で何事か喚いてる男が光に照らしだされる。
どうやら賊はまだ屋敷内に侵入していない模様。
「ほら捕まえなさい! 絶対に屋敷に入れないように」
今騒いでる辺りはまだ安全。
ただ猛獣を放し飼いにしてあるので臭いに釣られやって来ることも。
急いで捕まえる必要がある。
夜行性の獣が目を覚ます前に。
まだギリギリ間に合う。
治安と男の安全を守る為に急いで確保。
「いい? ボノに知られるのはまずい。秘密裏に処分するの分かった? 」
メイドでは頼りにならない。ここはやはり私が…… 待ってまさか……
賊に見覚えあり。つい先日見かけた気がする。
またあの人? 本当にどう言う神経してるの。
お騒がせ男は新人メイドの父親だった。
まだ不慣れなメイドの仕事を心配してやって来た。
懲りずにまた今日も来るなんて。
もう本当にしつこいんですから。ただの酔っぱらい。
「お父ちゃん」
田舎者丸出しのメイド。
まあここも都会ではないので好きに話せばいいが。少々恥ずかしい。
窓を叩き始めた賊。
どうやらこちらに気付いたらしい。
ドンドン
ドンドン
喚き散らす男。何が気に入らないのかまだ叫んでいる。
ほらお静かに。刺激してはいけません。
獣がいるのに騒ぐなど正気の沙汰ではない。
ただ放っておく訳にもいかず中に入れ話を聞く。
「いやあご主人様だっけか。忘れ物をしてな。夜分遅くにすまねえな」
「ちょっとあなたご主人様に失礼ですよ」
「いいの。それで何をお忘れになったのでしょう? 」
メイドを制し話を聞く。
「帽子を落としてきちまってよ」
「帽子? 今被っているのは何? 」
「ははは…… これはハット」
「あなたもしかして外国の方? 」
「ご主人様。それ以上は関わらない方がよろしいかと」
メイドも呆れている。
私だってこんな夜に無礼な得体のしれない男。いえメイドの父で先日会ったばかり。
「ちょっと来なさい! 」
父親の失態は娘の責任と。本来逆だが問い詰める。
「実はよ…… 」
「まさか家を追い出されたんですか? 」
「へへへ…… 」
「大変お騒がせしました。父ちゃん…… いえ父は酔うと寂しくなり私のところに」
どうにかごまかそうとしているが毎日来られても困る。これ以上放置できない。
「分かりました。もうどちらでも構いません」
トラブルばかりの親子共々追い出すつもりだったが気が変わった。
「あなたのお部屋を用意させます。これでよろしいですね」
娘は礼を述べる。
「いや太っ腹だね。感謝するよ。先日追い出されてよ。行くところなかったんだわ」
「ちなみにおいくつですか? 」
「年は四十六」
「父ちゃん。いい加減なこと言わないの」
「ははは…… 五十と少しですな」
この田舎者ならば裏切らないはず。
もしかしたら何かに使えるかもしれない。
あまり期待はできないが切り札に。
「分かりました。気の済むまでと言いたいですが他のメイドの手前もあります。
今年一杯はどうぞご自由に。
メイド館の隣のボロ小屋を提供する。
去年まで犬小屋として使っていたもの。
「父ちゃん。もう恥ずかしいから行こう」
この親子が面倒を掛けることはもうないだろう。
トラブルが続くよりもどれだけ楽か。
「ああちょっと。決して夜は出歩かないこと。あなたの命に関わります」
注意を与えた。もうこれ以上はいい。
続く
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