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その後
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執事の息子とワリーナ。
買い物に同行した時には随分楽しそうにしていた二人。
どうしても気になってしまう二人のその後。
セピユロスとの未来を占う意味でも幸せになって欲しい。
決して許されないと自覚してますがそれでも……
「はいまだ二人は別れてはおりません。
ご主人様が厳罰を望まなかったので若い二人に自由にさせてます」
やはり甘い。息子には甘い執事。
皆さんこれくらい物分かりが良いと助かるんですけどね。
「しかし他の者の手前堂々とは付き合えないのでは? 」
「はいそれはもう口を酸っぱく言い聞かせております。
再びトラブルを起こすような真似をすれば二人揃って追放だと」
息子を庇おうと必死過ぎて周りが見えていない。
近い。近すぎます。これ以上近づかないで。興奮するものだから唾が飛ぶ。
「分かりました。信じますから興奮しないで」
「はあ申し訳ありません」
どうにか冷静さを取り戻した。
「その結婚などは…… 」
余計なことを聞いてしまった? 執事は言いにくそう。
「ええ…… 息子はその気ですが相手のお嬢さんが乗り気でなく……
どうもその辺のことになると曖昧でよく分からないのが現状です」
相手のお嬢さんとはえらく他人行儀。ワリーナはここのメイド。
顔見知りのはず。まさかまだ認めてない?
掟を破り二人は付き合った。私が許したのは彼らの行く末を見守る為。
別に親心ではない。どうしても知っておきたいのだ。
「もう少し詳しくお話なさい」
お茶を入れ長話に備える。
「ご主人様。そのようなことはせずとも…… 」
「またそれ? これくらい自分でやります。
それとも息子さんの話を一緒に聞いてもらいますか? 」
そう言うと恐縮ですと話し始める。
いつの間にか息子の昔話に。
確かにこれも関係が無い訳ではないので一応は耳を傾ける。
「ハイハイ」
こうして長話すること一時間。どうにか解放される。
執事ってこんなに話長かったかしら?
いつも的確に指示を送るところしか見てないので意外。
自分のこと。息子のこと。家族のこと。
お茶会の時と何ら変わらない。誰がどうした何をしたと。
男の人の方がしゃべり慣れてないせいかゆっくりだし要領を得ない場合が多い。
執事がこうなのだから他の者もそうなのだろう。
その点では女はいつでもすぐ噂話に興じることができる。
これって素晴らしいこと。
ただ長話になるのはまとめられていないのと同じ話を繰り返すから。
そしていつの間にか脱線して違う話になってしまう。
せめて議題でもあれば脱線しないでしょうね。
それだけでは足りないか。
まとめ役とでも言えばいいのか議長がいると安心。
それにしても執事もすっかり忘れたでしょうね。
セピユロスのこと。余計なことはするものじゃない。
今ヴィーナに報せれば大喜びする。
でもヴィーナにはもっとこう厳しくありたい。
泣けばいい。喚けばいい。
それではまるっきり子供。
あなたは何をしにここまで来たの?
自分が子供だと言いに来たのではないでしょう?
立派になったところを見せに来たはず。
今ヴィーナを甘やかせば我がままな世間知らずのお嬢様になる。
お姉様もボノもすぐ甘やかすから。
この屋敷であればお嬢様のままでもやっていける。
でも都会は違う。誰も助けてくれない。
誰も守ってはくれない。
それが分かってるはずなのに未だに甘えるヴィーナ。
私は許しません。厳しくします。
ボノが何と言おうと態度を変えるつもりはない。
それが彼女の為になる。
出来たらセピユロスとは別れた方がいい。
こんなに甘ったれたのにはセピユロスの優しさがある。
嫉妬するばかりでセピユロスには相応しくない。
厳しいようだけど別れるように進言するつもり。
セピユロスに相応しいのは私。こんな小娘じゃない。
もっと大人の女性が彼にはお似合い。
いつの間にか熱くなっている。
でもこれもセピユロスのことを思えばこそ。
あら…… いつの間にかヴィーナではなくセピユロスの話になってしまった。
どこで間違えたのでしょう?
ふふふ…… 本当に私どうかしてる。
続く
買い物に同行した時には随分楽しそうにしていた二人。
どうしても気になってしまう二人のその後。
セピユロスとの未来を占う意味でも幸せになって欲しい。
決して許されないと自覚してますがそれでも……
「はいまだ二人は別れてはおりません。
ご主人様が厳罰を望まなかったので若い二人に自由にさせてます」
やはり甘い。息子には甘い執事。
皆さんこれくらい物分かりが良いと助かるんですけどね。
「しかし他の者の手前堂々とは付き合えないのでは? 」
「はいそれはもう口を酸っぱく言い聞かせております。
再びトラブルを起こすような真似をすれば二人揃って追放だと」
息子を庇おうと必死過ぎて周りが見えていない。
近い。近すぎます。これ以上近づかないで。興奮するものだから唾が飛ぶ。
「分かりました。信じますから興奮しないで」
「はあ申し訳ありません」
どうにか冷静さを取り戻した。
「その結婚などは…… 」
余計なことを聞いてしまった? 執事は言いにくそう。
「ええ…… 息子はその気ですが相手のお嬢さんが乗り気でなく……
どうもその辺のことになると曖昧でよく分からないのが現状です」
相手のお嬢さんとはえらく他人行儀。ワリーナはここのメイド。
顔見知りのはず。まさかまだ認めてない?
掟を破り二人は付き合った。私が許したのは彼らの行く末を見守る為。
別に親心ではない。どうしても知っておきたいのだ。
「もう少し詳しくお話なさい」
お茶を入れ長話に備える。
「ご主人様。そのようなことはせずとも…… 」
「またそれ? これくらい自分でやります。
それとも息子さんの話を一緒に聞いてもらいますか? 」
そう言うと恐縮ですと話し始める。
いつの間にか息子の昔話に。
確かにこれも関係が無い訳ではないので一応は耳を傾ける。
「ハイハイ」
こうして長話すること一時間。どうにか解放される。
執事ってこんなに話長かったかしら?
いつも的確に指示を送るところしか見てないので意外。
自分のこと。息子のこと。家族のこと。
お茶会の時と何ら変わらない。誰がどうした何をしたと。
男の人の方がしゃべり慣れてないせいかゆっくりだし要領を得ない場合が多い。
執事がこうなのだから他の者もそうなのだろう。
その点では女はいつでもすぐ噂話に興じることができる。
これって素晴らしいこと。
ただ長話になるのはまとめられていないのと同じ話を繰り返すから。
そしていつの間にか脱線して違う話になってしまう。
せめて議題でもあれば脱線しないでしょうね。
それだけでは足りないか。
まとめ役とでも言えばいいのか議長がいると安心。
それにしても執事もすっかり忘れたでしょうね。
セピユロスのこと。余計なことはするものじゃない。
今ヴィーナに報せれば大喜びする。
でもヴィーナにはもっとこう厳しくありたい。
泣けばいい。喚けばいい。
それではまるっきり子供。
あなたは何をしにここまで来たの?
自分が子供だと言いに来たのではないでしょう?
立派になったところを見せに来たはず。
今ヴィーナを甘やかせば我がままな世間知らずのお嬢様になる。
お姉様もボノもすぐ甘やかすから。
この屋敷であればお嬢様のままでもやっていける。
でも都会は違う。誰も助けてくれない。
誰も守ってはくれない。
それが分かってるはずなのに未だに甘えるヴィーナ。
私は許しません。厳しくします。
ボノが何と言おうと態度を変えるつもりはない。
それが彼女の為になる。
出来たらセピユロスとは別れた方がいい。
こんなに甘ったれたのにはセピユロスの優しさがある。
嫉妬するばかりでセピユロスには相応しくない。
厳しいようだけど別れるように進言するつもり。
セピユロスに相応しいのは私。こんな小娘じゃない。
もっと大人の女性が彼にはお似合い。
いつの間にか熱くなっている。
でもこれもセピユロスのことを思えばこそ。
あら…… いつの間にかヴィーナではなくセピユロスの話になってしまった。
どこで間違えたのでしょう?
ふふふ…… 本当に私どうかしてる。
続く
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