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脱出

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ボノと話し合う。
何としても元通りに。その為にはどうしてもボノの協力が必要。
ご主人様としてある程度の譲歩はする。必要なら領内に留まることも許す。

「待ってくれ。その提案は有難いが私を唆したのは誰か分からない。
ただ若く美しい女性だった。あれが本当に人間だったのかと思えるぐらい。
そんな絶世な美女が私に興味を示してって…… 何を言ってるのだろう。済まない。
とにかくその綺麗な女性。私にはマーガレットと名乗っていたが本名かどうか。
屋敷では一度も見かけたことがない」

言い切ったがボノのことですから当てにはならない。
「メイドじゃないの? 」
裏切者は許せない。決してただでは済ませない。
「いや…… 違うと言ってるだろ! 」
強く否定すればするほど庇っているように見えるから不思議。

「本当は知ってるんでしょう? 」
「知るものか! 」
「ボノ! 」
「ディーテ! 」
再び険悪なムードに。どうしてこうなるの?
それを察したのかセピユロスが止めに入る。
「もう寝ましょう二人とも。明日も早いんですから」
「ごめんセピユロス」
「起こしたようだねセピユロス君」
「ディーテもボノもそろそろ…… 」
セピユロスが間に入り朝まで続きそうな勢いの話し合いがストップ。
続きは明日でいいでしょう。
大人しく寝ることに。

夜明け前。
ざわざわ
ざわざわ
騒音と気配で自然と目が覚める。
やけに外が騒がしい。どうしたのでしょう?

「おい囲まれたぞ! 」
「はい何を言ってるんですのお義兄様…… 」
昨夜はボノと遅くまで言い争いをしていたもので寝不足気味。
あの後も興奮して眠れない状態。
セピユロスは寝かせてくれないしボノの手前どう振る舞えばいいか悩みました。
元々男一人の狭い部屋でどうにか横になる。
いくら逃避行中とは言えこんな生活を続けていれば体を崩す。
それに苦手な臭いがそこら中から漂い鼻がおかしくなりそう。
慣れればもしかして…… でもやっぱりこんな生活続けられない。

「おい皆起きろ! 寝ぼけてるんじゃない! 」
馬の世話に起きたボロ。血相を変え戻って来たと思ったら何事か喚いている。
もう朝は苦手なのに。
ボノとセピユロスが立ち上がる。
そうこの二人はいつも早朝から釣りに出かけていた。慣れてるんでしょうね。
「囲まれた? どう言うこと? 」
夜明け前の誰もが眠りについてる時間帯。急襲する気らしい。
「まずいな。これは我が精鋭部隊だ」
ボノが正体に気付いた。

「まさか…… ちょっと待って。なぜ襲う訳? 」
「忘れたのか。お前たちは逃避行中だろ? 」
「確かにそうですが危険も無い訳だし話し合えば…… 」
「いやもう無理だ。お前はもうご主人様でも何でもない」
ボノの鋭い分析。
「それどころかセピユロスを逃がした大悪党」
ボノは冷静に分析。まさかこれも彼の作戦では?
「では大人しく捕まれと? 」
「それももう無理だな。即刻処刑される。遅くても明日には執行されるだろう」
ボノが脅しをかける。
「どうにかならない? 」
「ここを逃げ切るしか手は無い。たぶんもう私でも止められない」

「俺は嫌だぜ。この家が壊されたらどこに住めばいいか」
「戦いましょう! それしかない! 」
怖気づくボロと戦おうと血の気の多いセピユロス。
「ディーテの為にこの命を捨てます! 」
ついに覚醒したセピユロスですが今は逃げることが最優先。
ここまで良くしてくれた恩人のボロの家を壊されるのも忍びない。
「どうしよう…… 」
ボノに相談しても首を振るばかり。
相手にしないのではなく打つ手がもうない。

「仕方がないな。よし馬を使え! 」
ボロが突破口を開いた。
うわこの展開…… 苦手ですが嫌とは言えない。我慢するしかなさそう。
「誰が残る? 」
「このセピユロスが惹きつけます! 」
覚醒したセピユロスが囮を買って出る。
しかしこれはあまりにも危険なミッション。
「駄目よセピユロス! 皆で逃げるの! 」
「はあ…… ディーテに任せるよ」
意外にもあっさり従うセピユロス。

「よし二頭もあればいいだろう。セピユロス君は馬は得意だったよな? 」
「ええ、それはもちろん。お任せください」
「よし先に行くぞ! 」
ボノたちが先に裏口から脱出を図る。
安全が確保され次第私たちが後に続く。
その間に馬の用意をするとのこと。
ここで捕まればお終い。
何としても脱出する必要がある。
ボノたちがゆっくり相手の様子を窺いながら厩舎へ。

「私たちも急ぎましょう! 」
「待ってくださいディーテ! 焦ってはいけません。突入と同時に脱出するのです」
ここに来てセピユロスが覚醒したがそれはあまりにも危険な賭け。
いくら何でもそこまで待てない。

                  続く
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