7 / 122
招かざる者
しおりを挟む
食事を終え皆が自室に戻ろうとした時フロア中に異音が響き渡る。
その正体は?
「ガイドさんこれは? 」
こちら側の演出ではない。
どうやらこの異音の正体は誰かがベルを鳴らしたことによるもの。
招かざる客の登場。
こんな夜遅くに誰が?
時計を見る。八時を過ぎたところ。
念のため一人一人確認する。
食事の間。または前後で抜け出した者がいるかもしれない。
いたずら好きな人だっていたっておかしくない。
だがもちろん揃っている。ちゃんと十人いる。
残るは今、顔を見せてない彼女だけだがそれも探せばほらいた。
ドアを激しく叩く音がする。
「ガイドさん。誰か呼んでますよ」
そう言って損な役割を押し付ける男。
これも私の仕事なの?
いえもちろん心得ています。ですがこれはどう見ても危険。
「早く見てきてくれんか」
確か美術商の男。
自慢気に蘊蓄を語っていたのを覚えている。
「はい。皆さん少々お待ちください」
仕方なく確認に向かう。
こういう時一番あり得るのは風の音。または木か何かが倒れ、そう聞こえるだけ。
こんな夜にこんなホテルを訪れる者などいない。
ここはその辺のホテルとは違う。
山の頂上に建てたホテル。
即ち今日バスで来た者以外がやってくる可能性は極めて低い。
会社にも人数は確認してる。
後から合流するお客様は居なかった。
ドンドンと叩き続ける。
これはやはり誰かいる?
嫌だな…… なぜこんな役目を引き受けることに?
危険な仕事は無いって言ってたのに。
恐る恐るドアを開ける。
ドアは開けるを拒むように重い。
「はいどちら様でしょうか? 」
うん? 反応が無い。
「もしもし? もしもし? 」
呼びかけるも無言を貫く。
これはまずい。私が第一の犠牲者。
「ああ、済みません」
ようやく声が聞こえた。どうやら人間ではあるようだ。
鬼や悪魔等を連想したが人間であり一安心。
男二人組。招かざる者。
「ここに用事があって来たんです」
「そうですか。お食事はまだでしょう? いかがです? 」
何で私、得体の知れない者たちを招き入れただけでなくお食事にまで招待する訳?
つい勧めた手前もう断れない。どうしよう?
命が助かっただけでもラッキーだと思うしかない。
「ちょっと野暮用がありまして。他の方はもうおやすみに? 」
「はい。もう寝ておりますので出来ればお静かにお願いします」
やり取りをしてる間に皆部屋へ。
受付で名前を伺おうとしたが明日教えますの一点張り。
埒が明かないのでとりあえずお食事へ。余りものですけど。
余りと言っても先に取り分けていたもので特に問題ない。
従業員用の食事も合わせ四人で分ける。
男二人組。
お腹が空いていたのか物凄い速さで掻きこむ。
特にさっきから一言も発しない男は大飯ぐらいなのか目の前にあるものを平らげる。
私たち二人ではとても食べきれなかったのでちょうどいい。
ちょうどいいのはいいのですが……
やはり予備にと多めに作っていたのが幸いした。
食事を終えると問題の二人は遠慮がちにワインを開ける。
もう白は残ってないので冷蔵庫から赤を取り出す。
計三本ほど空けられてしまい酔いが回り眠りだしたので叩き起こす。
「もう早く寝てください! 」
迷惑な客に違いないが客は客。
皆無料で招待されている客。この二人にも文句はない。
ただ田中さんはイラついてる。
田中さんは私の二個先輩の女性で頼りになる存在。
「ねえお部屋はどうしましょう? 」
「ここでいいんじゃない。招待客でもあるまいし」
「それはまずいですよ。後で文句言われても困ります」
「言わないでしょう。この人たちただの部外者。しかも誰かさえ明かさないし」
話し合った結果、私が田中さんと。二人は私の部屋を使ってもらうことになった。
「起きてください。風邪を引きますよ。さあこれを」
「はーい」
もはや起きてるかさえあやふや。きちんと理解してるとは到底思えない。
先に失礼することに。
こうして招かざる客は招かれた。
続く
その正体は?
「ガイドさんこれは? 」
こちら側の演出ではない。
どうやらこの異音の正体は誰かがベルを鳴らしたことによるもの。
招かざる客の登場。
こんな夜遅くに誰が?
時計を見る。八時を過ぎたところ。
念のため一人一人確認する。
食事の間。または前後で抜け出した者がいるかもしれない。
いたずら好きな人だっていたっておかしくない。
だがもちろん揃っている。ちゃんと十人いる。
残るは今、顔を見せてない彼女だけだがそれも探せばほらいた。
ドアを激しく叩く音がする。
「ガイドさん。誰か呼んでますよ」
そう言って損な役割を押し付ける男。
これも私の仕事なの?
いえもちろん心得ています。ですがこれはどう見ても危険。
「早く見てきてくれんか」
確か美術商の男。
自慢気に蘊蓄を語っていたのを覚えている。
「はい。皆さん少々お待ちください」
仕方なく確認に向かう。
こういう時一番あり得るのは風の音。または木か何かが倒れ、そう聞こえるだけ。
こんな夜にこんなホテルを訪れる者などいない。
ここはその辺のホテルとは違う。
山の頂上に建てたホテル。
即ち今日バスで来た者以外がやってくる可能性は極めて低い。
会社にも人数は確認してる。
後から合流するお客様は居なかった。
ドンドンと叩き続ける。
これはやはり誰かいる?
嫌だな…… なぜこんな役目を引き受けることに?
危険な仕事は無いって言ってたのに。
恐る恐るドアを開ける。
ドアは開けるを拒むように重い。
「はいどちら様でしょうか? 」
うん? 反応が無い。
「もしもし? もしもし? 」
呼びかけるも無言を貫く。
これはまずい。私が第一の犠牲者。
「ああ、済みません」
ようやく声が聞こえた。どうやら人間ではあるようだ。
鬼や悪魔等を連想したが人間であり一安心。
男二人組。招かざる者。
「ここに用事があって来たんです」
「そうですか。お食事はまだでしょう? いかがです? 」
何で私、得体の知れない者たちを招き入れただけでなくお食事にまで招待する訳?
つい勧めた手前もう断れない。どうしよう?
命が助かっただけでもラッキーだと思うしかない。
「ちょっと野暮用がありまして。他の方はもうおやすみに? 」
「はい。もう寝ておりますので出来ればお静かにお願いします」
やり取りをしてる間に皆部屋へ。
受付で名前を伺おうとしたが明日教えますの一点張り。
埒が明かないのでとりあえずお食事へ。余りものですけど。
余りと言っても先に取り分けていたもので特に問題ない。
従業員用の食事も合わせ四人で分ける。
男二人組。
お腹が空いていたのか物凄い速さで掻きこむ。
特にさっきから一言も発しない男は大飯ぐらいなのか目の前にあるものを平らげる。
私たち二人ではとても食べきれなかったのでちょうどいい。
ちょうどいいのはいいのですが……
やはり予備にと多めに作っていたのが幸いした。
食事を終えると問題の二人は遠慮がちにワインを開ける。
もう白は残ってないので冷蔵庫から赤を取り出す。
計三本ほど空けられてしまい酔いが回り眠りだしたので叩き起こす。
「もう早く寝てください! 」
迷惑な客に違いないが客は客。
皆無料で招待されている客。この二人にも文句はない。
ただ田中さんはイラついてる。
田中さんは私の二個先輩の女性で頼りになる存在。
「ねえお部屋はどうしましょう? 」
「ここでいいんじゃない。招待客でもあるまいし」
「それはまずいですよ。後で文句言われても困ります」
「言わないでしょう。この人たちただの部外者。しかも誰かさえ明かさないし」
話し合った結果、私が田中さんと。二人は私の部屋を使ってもらうことになった。
「起きてください。風邪を引きますよ。さあこれを」
「はーい」
もはや起きてるかさえあやふや。きちんと理解してるとは到底思えない。
先に失礼することに。
こうして招かざる客は招かれた。
続く
0
あなたにおすすめの小説
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness
碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞>
住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。
看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。
最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。
どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……?
神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――?
定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。
過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。
あやかし警察おとり捜査課
紫音みけ🐾書籍2冊発売中!
キャラ文芸
※第7回キャラ文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。
【あらすじ】
二十三歳にして童顔・低身長で小中学生に見間違われる青年・栗丘みつきは、出世の見込みのない落ちこぼれ警察官。
しかしその小さな身に秘められた身体能力と、この世ならざるもの(=あやかし)を認知する霊視能力を買われた彼は、あやかし退治を主とする部署・特例災害対策室に任命され、あやかしを誘き寄せるための囮捜査に挑む。
反りが合わない年下エリートの相棒と、狐面を被った怪しい上司と共に繰り広げる退魔ファンタジー。
大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
菱沼あゆ
キャラ文芸
華族の三条家の跡取り息子、三条行正と見合い結婚することになった咲子。
だが、軍人の行正は、整いすぎた美形な上に、あまりしゃべらない。
蝋人形みたいだ……と見合いの席で怯える咲子だったが。
実は、咲子には、人の心を読めるチカラがあって――。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
私の存在
戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。
何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。
しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。
しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる