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本題
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本題。
「殺された? 事故死じゃないの? 」
女が抱きつく。
「止めろって! ふざけてる場合か」
「いいじゃないそんな話。詰まらない」
詰まる詰まらないの問題ではない。
人が殺された。しかも自殺や事故などではなく完全な他殺体。
鈍器で撲殺されたのだ。
「犯人は大柄の男らしいが…… 該当者はあの探偵の連れぐらいでアリバイもある。
動機などあるはずがない。間違えてやって来たドジな探偵なんだからな」
「ああ、あの人たち不気味よね。間違えたなんて嘘じゃない。
何らかの目的があって来たと考えるのが自然かな」
女が言ってのける。
タイミングが良すぎてあまりに不自然。明らかな意図があると考えてるようだ。
「もしかして刑事だったりして。追いかけて来たとか? 」
思いついたままを披露する。
「おいおい冗談だろ? 」
「冗談に決まってるでしょう。どうやって嗅ぎつける訳? 」
「どうでしょう。怪しいものですよ」
鑑定士は嫌な予感がすると震える。
「まあまあ。俺もあの大男が怪しい。犯人じゃないかな」
販売員が乗っかる。
「馬鹿な。それで奴を殺したと言うのか? 」
「ああ、あの人何者だっけ? 」
「骨董屋の親父だろうが」
「違います。美術商ですよ。骨董商はあなたでしょう? 」
鑑定士が訂正。
「知るか! 俺はそう言う役を演じてるに過ぎない。ただの爺だろ? 」
「そうそう。がめついお爺さんね」
「そうか。奴が本物と称してほぼ価値のない壺を売りつけていたんだっけか。
俺たちはそこで知り合ったんだったな」
「もういいよ。死人のことはさ。それよりも明日どうするか考えようぜ」
販売員はもう一儲けしようと企んでいる。
「これからかよ。俺にはもう案がない。お前何かあるのか? 」
所詮は依頼人によって集められたメンバー。自発性に欠ける。
「それなら保険とかは? 」
「まずいぜそれはいくら何でも。俺たちは殺しが専門じゃない」
「それに今からでは遅いんじゃない? 」
「分かってるよそんなこと。でも俺には時間がない」
焦る販売員。
「だったらお前が保険詐欺をすればいいだろうが」
「それは無理。すぐにばれちまう。信用無いんだぜ俺たち」
「ちょっと一緒にしないでよ。私は違う。そうでしょう? 」
「ああそうだな。焦り過ぎだぞお前は! もう少し考えろ。捕まっても知らないぞ」
「ふふふ…… 捕まったって良いぜ俺は。取り立てられるよりは何倍マシか」
無敵の男と化した。
「よし分かった。考える。だから勝手な真似はよせ」
どうにか説得する。
「ああ分かったよ。俺はもう寝る」
「自分も休ませていただきます」
「だったら俺たちも寝るか」
「ごめんなさい。先約があるの」
「またあの男のもとに行く気か? たらし込む気だな? 」
「失礼なこと言わないで! 彼は紳士なんですからね」
「まさかまだ手を出してないのか? 相当なロマンチストだな。ははは…… 」
二夜連続で男の元へ。
同時刻。
従業員の二人と今回の事件を話し合う。
「お仕事ご苦労様」
「いえ今日は本当にありがとうございました」
今日は色々あった。朝起きれば間違えて彼女たちの部屋にお邪魔してしまう。
登る山を間違えたことにも気付けた。
悲鳴と共に事件が起きるし。
天候の悪化で引き返すことになる。
即売会ではダイヤを買ってしまうし。
これって経費で落ちるのかな?
「それで何か分かりましたか? 」
ここを任されている以上責任があると言い張る。
「そうですね。撲殺以外特に変わった点は…… まあ密室ぐらいでしょうね」
「密室? 窓の鍵は掛ったままでしたっけ? 」
興味津々の女性。バスガイドさんの方だ。
「厳密には密室とは言えません。窓ガラスは嵌め殺し式でほとんど開かない作り。
鍵は一か所だけ開いてました。現場で確認済み。
ただその窓からの侵入はもちろん細工された痕も見つからず使用された形跡もない。
埃が残ったままなのです。だから厳密には密室とは言えないのですが恐らく。
ただ被害者は撲殺されている訳で加害者がどこから逃げたかと言えばドアから」
長々と推理を披露。だがよく考えれば真犯人は残された者の中にいる。
慎重な対応が求められる。とりあえず話を聞いてみるか。
続く
「殺された? 事故死じゃないの? 」
女が抱きつく。
「止めろって! ふざけてる場合か」
「いいじゃないそんな話。詰まらない」
詰まる詰まらないの問題ではない。
人が殺された。しかも自殺や事故などではなく完全な他殺体。
鈍器で撲殺されたのだ。
「犯人は大柄の男らしいが…… 該当者はあの探偵の連れぐらいでアリバイもある。
動機などあるはずがない。間違えてやって来たドジな探偵なんだからな」
「ああ、あの人たち不気味よね。間違えたなんて嘘じゃない。
何らかの目的があって来たと考えるのが自然かな」
女が言ってのける。
タイミングが良すぎてあまりに不自然。明らかな意図があると考えてるようだ。
「もしかして刑事だったりして。追いかけて来たとか? 」
思いついたままを披露する。
「おいおい冗談だろ? 」
「冗談に決まってるでしょう。どうやって嗅ぎつける訳? 」
「どうでしょう。怪しいものですよ」
鑑定士は嫌な予感がすると震える。
「まあまあ。俺もあの大男が怪しい。犯人じゃないかな」
販売員が乗っかる。
「馬鹿な。それで奴を殺したと言うのか? 」
「ああ、あの人何者だっけ? 」
「骨董屋の親父だろうが」
「違います。美術商ですよ。骨董商はあなたでしょう? 」
鑑定士が訂正。
「知るか! 俺はそう言う役を演じてるに過ぎない。ただの爺だろ? 」
「そうそう。がめついお爺さんね」
「そうか。奴が本物と称してほぼ価値のない壺を売りつけていたんだっけか。
俺たちはそこで知り合ったんだったな」
「もういいよ。死人のことはさ。それよりも明日どうするか考えようぜ」
販売員はもう一儲けしようと企んでいる。
「これからかよ。俺にはもう案がない。お前何かあるのか? 」
所詮は依頼人によって集められたメンバー。自発性に欠ける。
「それなら保険とかは? 」
「まずいぜそれはいくら何でも。俺たちは殺しが専門じゃない」
「それに今からでは遅いんじゃない? 」
「分かってるよそんなこと。でも俺には時間がない」
焦る販売員。
「だったらお前が保険詐欺をすればいいだろうが」
「それは無理。すぐにばれちまう。信用無いんだぜ俺たち」
「ちょっと一緒にしないでよ。私は違う。そうでしょう? 」
「ああそうだな。焦り過ぎだぞお前は! もう少し考えろ。捕まっても知らないぞ」
「ふふふ…… 捕まったって良いぜ俺は。取り立てられるよりは何倍マシか」
無敵の男と化した。
「よし分かった。考える。だから勝手な真似はよせ」
どうにか説得する。
「ああ分かったよ。俺はもう寝る」
「自分も休ませていただきます」
「だったら俺たちも寝るか」
「ごめんなさい。先約があるの」
「またあの男のもとに行く気か? たらし込む気だな? 」
「失礼なこと言わないで! 彼は紳士なんですからね」
「まさかまだ手を出してないのか? 相当なロマンチストだな。ははは…… 」
二夜連続で男の元へ。
同時刻。
従業員の二人と今回の事件を話し合う。
「お仕事ご苦労様」
「いえ今日は本当にありがとうございました」
今日は色々あった。朝起きれば間違えて彼女たちの部屋にお邪魔してしまう。
登る山を間違えたことにも気付けた。
悲鳴と共に事件が起きるし。
天候の悪化で引き返すことになる。
即売会ではダイヤを買ってしまうし。
これって経費で落ちるのかな?
「それで何か分かりましたか? 」
ここを任されている以上責任があると言い張る。
「そうですね。撲殺以外特に変わった点は…… まあ密室ぐらいでしょうね」
「密室? 窓の鍵は掛ったままでしたっけ? 」
興味津々の女性。バスガイドさんの方だ。
「厳密には密室とは言えません。窓ガラスは嵌め殺し式でほとんど開かない作り。
鍵は一か所だけ開いてました。現場で確認済み。
ただその窓からの侵入はもちろん細工された痕も見つからず使用された形跡もない。
埃が残ったままなのです。だから厳密には密室とは言えないのですが恐らく。
ただ被害者は撲殺されている訳で加害者がどこから逃げたかと言えばドアから」
長々と推理を披露。だがよく考えれば真犯人は残された者の中にいる。
慎重な対応が求められる。とりあえず話を聞いてみるか。
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