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絵の意味
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従業員の二人のもとに二夜連続でお邪魔する。
昨夜は酔っぱらって相棒といつの間にか。
今夜は正式に招待を受けた。これなら叫ばれることも土下座することもない。
ああこれが捜査じゃなかったらなあ……
「それでここからは大事なことなので確認です。あなたは犯人ではありませんよね」
これも念のためだ。そうだと言う犯人はもちろんいない。
ただまれに自白してしまう心優しい者もいる。
実際何度か見て来たので分かるが目で訴えてる場合が多い。
それほど真犯人は緊張とプレッシャーがある。
だから私は探偵として彼らを解放してやりたい。
まあこの場合さほど複雑な事件ではなくすぐ解決するのだけど。
不倫だとか浮気だとか窃盗だとか。
「失礼ですね。私が犯人な訳ないじゃない」
顔を紅潮させている。うーんどっちだ?
はっきり言って俺は明後日探偵だから人の表情を読むのは苦手。
勘だって働かない。こう言うのは相棒に頼っているが。それも調子がいい時だけ。
ここに来てからの相棒はいつにも増して口数が少ない。やる気も感じられない。
俺の質問には辛うじて答えるが何か積極的に関わろうとはしない。
念の為に相棒を見るがただ欠伸をしてるだけ。これは問題ない?
「ではそちらのあなた」
壁に隠れるように歩いて行く。何をしてるのやら怪しい行動を取る料理人。
「聞いてるんですか? 」
「きゃああ! 」
ここは彼女たちの部屋。だから好きなようにさせている。
トイレは狭いので着替えるには不便。
だから見えない死角の壁際で着替えようとしていた。
それをアンラッキーなことに嗅ぎつけてしまう。
「申し訳ない。着替えてるなら言ってくれればいいのに」
「そうしたら覗くでしょう? 今朝みたいに」
アリバイを聞こうとしてごまかされた?
何て巧妙な。これは知能犯?
すっかり今朝のハプニングから変態探偵のレッテルを張られてしまった。
そんなコミカルなものか。
もうすでに事件が起きているんだぞ?
どっかの高校生探偵でもあるまいし。
そうだろおっさんと囁く。
それにしても昨夜はなぜ潜り込めたのだろう。
自分でも分からない。それは相棒のみぞ知る。
だって私は酔っぱらっていたから相棒に従ったまで。
確かに信用はしてないが部屋ぐらい分かるでしょう?
「では始めます」
着替えが終わったのを見計らって私見を述べる。
私見だ。あくまで私見だから何を言っても気にしない。
これが私のやり方。
「被害者は身分証やお話から美術商だと分かりました」
「美術商? 今回の件とどのような関わりが? 」
年上の女性が積極的。
「ちょっとこれ以上は関わらない方が」
「いいじゃない。ねえ探偵さん」
深入りしたくないガイドと興味津々の先輩の料理人。確か田中さん。
「まあ分かるのはそれくらいですね。ただ凶器を見てください。
壺ですよね。壺が粉々になっていたところからも断定できます。
ここに元々あったものかどうにか持ち込んだものかは分かりません。
ただ凶器が壺なら骨董と深く関わりがある。
凶器に使ったにしても何らかのメッセージが込められている可能性が極めて高い」
警察は来ず生憎の天気でこのホテルから出るに出れなくなった参加者。
どうにか警察と連絡が取れたと言っていたがどうも怪しい。
最初は繋がらないと言っていたのに。勘違いしていたと白々しい。
彼女たちも何かを隠している?
天候が回復次第すぐにやって来ると言っていたがどこまで当てにできるものか。
ヘリも動かないそうだ。
こんな時に何か起きればもう我々に逃げ場はない。
飢えた殺人鬼の格好の標的になる。
いや探偵であって被害者ではない。出来れば助けて欲しい。
代わりに相棒を差し出す所存。それで勘弁してもらいたい。
そんな強い思いでこの事件に臨んでいる。
「それからもしかするとこのホテルに隠された謎が解けるかもしれません。
今朝の出来事からもどうも気になることがあるんですよ。
ほらあのレストランの絵が気になりませんでしたか?
このホテルには不釣り合いなクジラとイルカの絵。
詳しくないがどちらも同じ種類の動物。
それだけではないのです。蛹と蝶、猪とブタ、家鴨とカモ。
カエルとオタマジャクシ。羊とヤギ、狼と犬。
どれも親子だったり野生と家畜だったり仲間だったりと。
どうも似通ってませんか? あえて並べる意味が分からない」
推理とも言えない私見を聞かせて反応を見る。
続く
昨夜は酔っぱらって相棒といつの間にか。
今夜は正式に招待を受けた。これなら叫ばれることも土下座することもない。
ああこれが捜査じゃなかったらなあ……
「それでここからは大事なことなので確認です。あなたは犯人ではありませんよね」
これも念のためだ。そうだと言う犯人はもちろんいない。
ただまれに自白してしまう心優しい者もいる。
実際何度か見て来たので分かるが目で訴えてる場合が多い。
それほど真犯人は緊張とプレッシャーがある。
だから私は探偵として彼らを解放してやりたい。
まあこの場合さほど複雑な事件ではなくすぐ解決するのだけど。
不倫だとか浮気だとか窃盗だとか。
「失礼ですね。私が犯人な訳ないじゃない」
顔を紅潮させている。うーんどっちだ?
はっきり言って俺は明後日探偵だから人の表情を読むのは苦手。
勘だって働かない。こう言うのは相棒に頼っているが。それも調子がいい時だけ。
ここに来てからの相棒はいつにも増して口数が少ない。やる気も感じられない。
俺の質問には辛うじて答えるが何か積極的に関わろうとはしない。
念の為に相棒を見るがただ欠伸をしてるだけ。これは問題ない?
「ではそちらのあなた」
壁に隠れるように歩いて行く。何をしてるのやら怪しい行動を取る料理人。
「聞いてるんですか? 」
「きゃああ! 」
ここは彼女たちの部屋。だから好きなようにさせている。
トイレは狭いので着替えるには不便。
だから見えない死角の壁際で着替えようとしていた。
それをアンラッキーなことに嗅ぎつけてしまう。
「申し訳ない。着替えてるなら言ってくれればいいのに」
「そうしたら覗くでしょう? 今朝みたいに」
アリバイを聞こうとしてごまかされた?
何て巧妙な。これは知能犯?
すっかり今朝のハプニングから変態探偵のレッテルを張られてしまった。
そんなコミカルなものか。
もうすでに事件が起きているんだぞ?
どっかの高校生探偵でもあるまいし。
そうだろおっさんと囁く。
それにしても昨夜はなぜ潜り込めたのだろう。
自分でも分からない。それは相棒のみぞ知る。
だって私は酔っぱらっていたから相棒に従ったまで。
確かに信用はしてないが部屋ぐらい分かるでしょう?
「では始めます」
着替えが終わったのを見計らって私見を述べる。
私見だ。あくまで私見だから何を言っても気にしない。
これが私のやり方。
「被害者は身分証やお話から美術商だと分かりました」
「美術商? 今回の件とどのような関わりが? 」
年上の女性が積極的。
「ちょっとこれ以上は関わらない方が」
「いいじゃない。ねえ探偵さん」
深入りしたくないガイドと興味津々の先輩の料理人。確か田中さん。
「まあ分かるのはそれくらいですね。ただ凶器を見てください。
壺ですよね。壺が粉々になっていたところからも断定できます。
ここに元々あったものかどうにか持ち込んだものかは分かりません。
ただ凶器が壺なら骨董と深く関わりがある。
凶器に使ったにしても何らかのメッセージが込められている可能性が極めて高い」
警察は来ず生憎の天気でこのホテルから出るに出れなくなった参加者。
どうにか警察と連絡が取れたと言っていたがどうも怪しい。
最初は繋がらないと言っていたのに。勘違いしていたと白々しい。
彼女たちも何かを隠している?
天候が回復次第すぐにやって来ると言っていたがどこまで当てにできるものか。
ヘリも動かないそうだ。
こんな時に何か起きればもう我々に逃げ場はない。
飢えた殺人鬼の格好の標的になる。
いや探偵であって被害者ではない。出来れば助けて欲しい。
代わりに相棒を差し出す所存。それで勘弁してもらいたい。
そんな強い思いでこの事件に臨んでいる。
「それからもしかするとこのホテルに隠された謎が解けるかもしれません。
今朝の出来事からもどうも気になることがあるんですよ。
ほらあのレストランの絵が気になりませんでしたか?
このホテルには不釣り合いなクジラとイルカの絵。
詳しくないがどちらも同じ種類の動物。
それだけではないのです。蛹と蝶、猪とブタ、家鴨とカモ。
カエルとオタマジャクシ。羊とヤギ、狼と犬。
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どうも似通ってませんか? あえて並べる意味が分からない」
推理とも言えない私見を聞かせて反応を見る。
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