ドスグロ山の雷人伝説殺人事件 

二廻歩

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ダイイングメッセージの謎

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相棒が現場から戻って来た。何か分かったらしい。
犯人につながる新発見に期待が高まる。
「残念だけど不審な点はなかったよ。ただ…… 」
ダイイングメッセージを見つけたらしい。
私が調べた時に気付かなったのはおそらく遺体の影で隠れていたからだろう。
相棒が隈なく調べ直した結果であり決して私が無能な探偵な訳ではない。
こそこそ耳打ちするので皆の前で発表するよう指示。
これでいい。相棒は秘密厳守のつもりらしいが。

確かに真犯人にしか知り得ない情報をついうっかり漏らすこともあるだろう。
口が滑るのは誰にでもあること。
期待してない訳ではない。ただ真犯人は冷静でかなりの知能を有している。
単純にダイイングメッセージの言葉を投げかけても何も返ってこないだろう。
それよりも今皆の前で発表してしまい様子を見る方がいい。
真犯人はダイイングメッセージを恐れてるに違いない。
己を示す何かが書かれてるのだから。
それに気づきながら消さなかった。いや消せなかった?
「でも…… 」
「いいんだ。どうせ知られたところで誰も何も出来やしない」
ただ真犯人を焦らすことが出来る。

相棒は咳ばらいをして話し始めた。
「報告します。【ドスグロ山】の血文字が残されていました」
ドスグロ山? どう言うことだ?
その場にいた者全員が困惑し見合う。
もう何が何やら訳が分からない。

【ドスグロ山】の五文字。
血で書かれていたが何とか判読可能。
もしかしたらこれ以外にも書いたか書こうとした可能性がある。
そこは慎重に捜査を続けるべき。

被害者の雑見が最期に残したダイイングメッセージ。
その血文字を映した写真が一枚。
決していい趣味とは言えないがこれも事件解決の為だ。
赤黒い血文字で【ドスグロ】と。それから少し間隔を空けて黒ずんだ【山】の文字。
感覚としては赤黒い血文字は左に。【山】の文字は右に。

「これは本当に被害者が残したものなのか? 」
あまりにも鮮明で真犯人が見逃すとは到底思えない。
分かっていて放置したか? それとも気付かずに部屋を出たか?
後者の可能性が高いがまだ何とも。
ここまで尻尾を出さず用意周到な犯人が今回決定的な証拠を残した。
あまりのお粗末さに強烈な違和感を覚える。
「疑う気か? だがこれは間違いなく被害者が残したものだよ。それだけは確かさ」
相棒は自信満々。
相棒によってもたらされたダイイングメッセージの謎。
探偵として一度は挑戦してみたいがもちろんお遊びではない。
鑑定士からの最後のメッセージを読み解く必要がある。

ダイイングメッセージはとりあえず後回しに。
昼のうちにやっておくことがある。
それは全部屋の点検と脱出ルート。それから本当に誰も潜んでないかの確認だ。
今残っているメンバーを三組に分け行動開始。

チーム分けの詳細。
相棒と料理人と山田さんで点検。
俺とお婆さんとマジシャンで探索。
ガイドと龍牙と奈良で脱出ルート。
残った黒木と千田には籠ってもらうことに。

「ねえあんた。もう犯人分かったんだろ? ケチケチしないで教えなよ」
三人も殺されていると言うのに楽しんでいる節がある呑気なお婆さん。
確かに怖いものはないと豪語していたがただの婆さんにしては落ち着き過ぎだ。
ホテルの周りにはもちろん何も建物がない。
怪しいところは一つもない。ただもっと捜索範囲を広げれば何か見つかるかも。
草叢を手で分けて行くがもちろん何もない。
こんな単純な作業ではすぐに終わってしまう。

「ねえ聞いてるのかい? 」
「聞いてますが答えられません」
さすがに心当たりがないとは言えない。困ったな。買い被りすぎだよ。
「ねえったら。ちゃんと聞いてるのかい? 」
ダメだ。離してくれそうにない。
「もうしつこいですね。犯人は山田さんでしょう? 」
昨日から閉じ込められてる男を犯人と断定して様子を見る。
「山田さん? それは無理があるんじゃないかい」
探偵気取りのお婆さん。最年長の彼女の意見を聞いてみたい。

「でしたら誰だと? 」
「それはうーん。あの黒木がやっぱり怪しいよ」
黒木による仲間割れ説を採用するらしい。
「では怨恨ではないと? 」
「ああ。事件は案外単純なものだよ」
密室な上に凶器が同じだと言うのにまるで黒木が犯人であって欲しい言い方。
「どうしてそうまでして彼を犯人に仕立て上げたいのですか? 」
「いやだからさ…… 」
詰まってしまったお婆さんに代わりマジシャンが答える。
「実行不可能だからですよ探偵さん」
マジシャンは消去法だと言う。
「第一の事件で実行可能だったのは山田さんと第二の被害者のミサさん。
それから黒木さんに絞られますよね」
この事件は意外にも犯人は絞られていると指摘するマジシャン。

                 続く
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