ドスグロ山の雷人伝説殺人事件 

二廻歩

文字の大きさ
41 / 122

事件解決? 雲の向こう側だけど

しおりを挟む
その頃。
お隣の薄曇り山では天気が回復し、ようやく警察が到着した。
ずいぶん遅い到着だったこともあり事件はすでに解決済み。
「ご主人が殺されたそうですが」
「ご苦労様です。本当に情けない」
奥様に連れられて二男と三男が姿を見せる。
入れ替わるように警察官が現場へ。
すぐに現場検証を始める。

「遺体はそちらですか」
「はい旦那様はここに。奥様により後のことは一任されております」
執事が畏まる。
「動かしてなどいませんよね? 」
「はいもちろん。誰も近づけておりません」
「分かりました。ああ大体でいいので事件の概要を話してください」
執事は旦那様が殺されたこと。二男と三男による共謀だったことを伝える。
「それで動機はやっぱり相続関係? 」
「はい。旦那様がお二方に相続させない旨を明言しトラブルとなりました」

「それでこちらの方は? 」
できるだけ大人しくしていたがやはり気になるらしい。
刑事の鋭い目に冷や汗が止らない。
「はい。長女の代理で出席してもらった探偵の方です」
「うん何だお前? 部外者か」
睨みつける刑事。人相の悪い人だ。心臓に悪いよ。
「誰だ? 誰だと聞いてるんだ? 」
横柄な態度で威嚇する。

「申し遅れました。探偵の…… 」
「ああん? だから探偵が何の用だってんだ? 」
「代理で出席したんです。何か起きるのではと相談を受けまして仕方なく」
依頼を果たしたことになるのだろうか? 結局依頼人の願いは叶わなかったしな。
「探偵は邪魔なんだよ! 目障りだから消えろ! 」
いくらイライラしてるからってストレス発散で僕に当たらないで欲しい
関係者の上代理で来ているのだからそうもいかないってば。
「いえ…… 正確には探偵ではありません。助手です。探偵の助手をしております」
正直に答える。
「どっちだっていい! これ以上俺の前に姿を見せるな! 」
ああ本当に困った人だ。一般市民に声を荒げるなんて。これではただの恫喝。
本当に大人げないんだから。一体探偵に何の恨みがあるって言うんだ?
理由もなく邪魔者扱いされては堪らない。不愉快なので帰ることにした。

もちろん嫌がらせで残ってもいいが先生がなるべく揉めごとを起こすなって言うし。
それに警察との関係を拗らせては後々に響く。
ここは退くのが探偵の助手としての役割。
「それではこれで。皆さんによろしく」
執事に挨拶し迎えの車へ。
これで任務完了。

あーあ。やっぱり来なかったよ先生たち。これで何回目?
二人もいてどうして辿り着けないのかな。不思議でたまらない。
これでは僕にばかり負担が掛ることになる。
報酬もたぶん払われないんだろうな。
まさかもう事件が解決するんだもんな。簡単だ。簡単すぎる。
もう少し捻ってくれなくちゃ面白くも何ともない。
先生が来るまでどうにか引き延ばしたかった。
でも警察が来てはもうそんなこと言ってられない。撤退するしかない。

それにしてもいつになったら来れるんだろう。先生たち。
僕が助手になってからほとんど僕の力で解決してる。
愚痴を言うつもりはないけど僕を先行させて自分たちはゆっくりのんびり。
それでいて美味しいところを持って行こうとするんだもんな。困っちゃうよ。
それも今回みたいに間に合わずに依頼人を呆れさせるし。
やっぱり依頼料はもらえないだろうな。それも仕方がないこと。
先生がもう少し早く来てくれればな。まあ無理だろうけど。
いつも何かしらミスをしたり迷ったりして辿り着けないパターン。
待ってるこっちの身にもなってよね。

近くまでやって来てるのは何となく分かる。でも今どこにいるかは不明。
今回もきっと迷ってるんだろな。迷子願いでも出すかな。
でも前回やったら凄い剣幕だったからな。あーあやってられない。
正直二人を当てにはしてない。でも立場を弁えてくれなくちゃ。

車が下り始めた。
ようやく薄曇り山から脱出できる。
何日振りだろうか?
先生一体どこにいるんですか? 先生!
依頼人も呆れてましたよ。まったく困った先生たちだ。
やはりこの薄雲の向こうに先生たちがいるんだろうか?
お願いだから約束の場所まで辿り着いてよね。


                    続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

レオナルド先生創世記

山本一義
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

【完結】恋人代行サービス

山田森湖
恋愛
就職に失敗した彼女が選んだのは、“恋人を演じる”仕事。 元恋人への当てつけで雇われた彼との二ヶ月の契約が、やがて本物の恋に変わっていく――。

〈銀龍の愛し子〉は盲目王子を王座へ導く

山河 枝
キャラ文芸
 50人もの侍女をクビにしてきた第三王子、雪晴。  次の侍女に任じられたのは、異能を隠して王城で働く洗濯女、水奈だった。  頬に鱗があるため疎まれている水奈だが、盲目の雪晴のそばでは安心して過ごせるように。  みじめな生活を送る雪晴も、献身的な水奈に好意を抱く。  惹かれ合う日々の中、実は〈銀龍の愛し子〉である水奈が、雪晴の力を覚醒させていく。「王家の恥」と見下される雪晴を、王座へと導いていく。

物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜

丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。 与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。 専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、 失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。 そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、 セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。 「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」 彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、 彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。 嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、 広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、 独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。 栄養と愛情を取り戻したセレナは、 誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、 社交界で注目される存在となる。 一方、セレナを失った伯爵家は、 彼女の能力なしでは立ち行かず、 ゆっくりと没落していくのだった――。 虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。

大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~

菱沼あゆ
キャラ文芸
華族の三条家の跡取り息子、三条行正と見合い結婚することになった咲子。 だが、軍人の行正は、整いすぎた美形な上に、あまりしゃべらない。 蝋人形みたいだ……と見合いの席で怯える咲子だったが。 実は、咲子には、人の心を読めるチカラがあって――。

カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~

伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華 結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空 幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。 割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。 思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。 二人の結婚生活は一体どうなる?

ゲームのシナリオライターは悪役令嬢になりましたので、シナリオを書き換えようと思います

暖夢 由
恋愛
『婚約式、本編では語られないけどここから第1王子と公爵令嬢の話しが始まるのよね』 頭の中にそんな声が響いた。 そして、色とりどりの絵が頭の中を駆け巡っていった。 次に気が付いたのはベットの上だった。 私は日本でゲームのシナリオライターをしていた。 気付いたここは自分で書いたゲームの中で私は悪役令嬢!?? それならシナリオを書き換えさせていただきます

結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~

馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」 入社した会社の社長に 息子と結婚するように言われて 「ま、なぶくん……」 指示された家で出迎えてくれたのは ずっとずっと好きだった初恋相手だった。 ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ ちょっぴり照れ屋な新人保険師 鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno- × 俺様なイケメン副社長 遊佐 学 -Manabu Yusa- ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 「これからよろくね、ちとせ」 ずっと人生を諦めてたちとせにとって これは好きな人と幸せになれる 大大大チャンス到来! 「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」 この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。 「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」 自分の立場しか考えてなくて いつだってそこに愛はないんだと 覚悟して臨んだ結婚生活 「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」 「あいつと仲良くするのはやめろ」 「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」 好きじゃないって言うくせに いつだって、強引で、惑わせてくる。 「かわいい、ちとせ」 溺れる日はすぐそこかもしれない ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 俺様なイケメン副社長と そんな彼がずっとすきなウブな女の子 愛が本物になる日は……

処理中です...