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第一村人
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危険な第一村人を発見。
ここは礼を言って次の人を探すことに。
それから一キロ。
十分経過したところでお婆さんが走って来る。
お年寄りが走るとはこれはただ事ではない。
ハアハア
ハアハア
「大丈夫ですか? 」
「おう小僧さんかい。ああ、ありがたや。ありがたや」
ここのお年寄りは基本他人のことを小僧と呼ぶふざけた文化が定着しているのか?
失礼なんだからもう。見た目は童顔でもここまで言われたことはない。
「お爺さんが。ひひひ…… 」
苦しくて笑ってるようにしか聞こえない。
一緒に笑ってあげるのが良いのか? そんな訳ないよね。
「どうしたんですかお婆さん? 急いでるみたいですけど」
本当は関わりたくないがせっかくの地元民。温泉宿ぐらい知ってるでしょう。
それに第一村人候補。爺さんの件はなしにしてこのお婆さんが第一村人でいいや。
「あのお爺さんを見んでしたかい。この道を行ったと思うんだがね」
うわ…… これはトラブルの臭い。
どうも二人は夫婦らしい。忘れ物を届けに来たとか。
放ってもおけない。仕方なく引き返す。
お婆さんを連れてお爺さんの元へ。
「おう小僧。何じゃ婆さんを届けてくれたか。これは本当に助かったわ。
もうよい。後は母ちゃんのところに戻ってくれ」
はあはあ疲れた。もう嫌。
「小僧さん助かったよ」
「あのさっきから小僧さん小僧さんって。僕もう立派な大人なんですけど」
つい堪えきれずに訴える。少々大人げなかったかな。でも子ども扱いしてるし。
「あれまあ。人間かいな」
「人間? 小僧って人間じゃないの? 」
変な質問をしてしまった。そもそも小僧の身分なら己を理解してるはず。
「ごめんなさいね。てっきり私はドスグロ山の雷人かと」
ドスグロ山の雷人? ますます意味不明。
お婆さんが訳の分からない話をする。これはまさか……
「ああ儂も。この辺を根城にしてる雷人かと」
これは新手の詐欺では? まさか若者を勧誘する怪しい団体?
今逃げるべきなのか? それとも…… まあ面白そうだから付き合うか。
「さっきからドスグロ山だとか雷人だとか訳が分からないんですが」
「ああごめんよ。巻き込んでしまって」
お婆さんは飴玉を一つ取り出す。
お詫びの印だそうだ。
「いやだから…… 」
だから小僧じゃないって。小僧って飴食うの?
「おうおう何か言いたそうだな? 」
「いえ僕は…… 遠い国から参りました」
取り敢えず自己紹介。これで失礼はない。
いつも先生に目上の者にはしっかり挨拶しなさいと言われている。
それから敬えとも。これくらい常識だと。
常識であり基本。疎かにすれば探偵として成長しないと。
まず常識を知りそして疑う。
これが先生がいつも口を酸っぱくして言っている言葉。
まあどうせ遠回しに尊敬しろとか口答えするなと言いたいのだろうな。
それを直接言わないのが先生の情けないところ。
「おうやはり天界からやって来た小僧さんじゃ」
「ありがたや。ありがたや」
なぜか勘違いされる始末。
いちいち説明するのが面倒。勘違いしたままでもいいか。
「それでお爺さんはどこに向かっていたんですか? 」
疑問はそれだけ。それと温泉の場所を聞いたら別れるつもり。
「実はな小僧さん。この道を真っ直ぐ行くとドスグロ山でな。
儂はそのドスグロ山の専門家。若き頃から良く登っておって詳しい。
それで今都会の者がドスグロ山に閉じ込められたと連絡が来た。
この辺で待ち合わせの予定がどうもまだ来んようだ。
ドスグロ山? 薄雲山の隣の山だっけ。
そう言えば薄雲山に来る車内で聞いたような。
ドスグロ山の雷人だっけ。ただの噂に過ぎないはずだが。
まあ何にせよ僕には関係ない話。
「小僧さんも心配して姿を見せた。もう雷も収まるじゃろ」
誰も近づかせないように雷雨になる噂。
「だから違うって! 」
「ホホホ…… ねえお爺さん」
「まあ人間には明かせないわな。その正体」
もう完全に信じ込んでしまっている。
信じるのは構いませんからせめてその小僧さんの話を真剣に聞いてよね。
いつになったら温泉に辿り着けるんだろう。
続く
ここは礼を言って次の人を探すことに。
それから一キロ。
十分経過したところでお婆さんが走って来る。
お年寄りが走るとはこれはただ事ではない。
ハアハア
ハアハア
「大丈夫ですか? 」
「おう小僧さんかい。ああ、ありがたや。ありがたや」
ここのお年寄りは基本他人のことを小僧と呼ぶふざけた文化が定着しているのか?
失礼なんだからもう。見た目は童顔でもここまで言われたことはない。
「お爺さんが。ひひひ…… 」
苦しくて笑ってるようにしか聞こえない。
一緒に笑ってあげるのが良いのか? そんな訳ないよね。
「どうしたんですかお婆さん? 急いでるみたいですけど」
本当は関わりたくないがせっかくの地元民。温泉宿ぐらい知ってるでしょう。
それに第一村人候補。爺さんの件はなしにしてこのお婆さんが第一村人でいいや。
「あのお爺さんを見んでしたかい。この道を行ったと思うんだがね」
うわ…… これはトラブルの臭い。
どうも二人は夫婦らしい。忘れ物を届けに来たとか。
放ってもおけない。仕方なく引き返す。
お婆さんを連れてお爺さんの元へ。
「おう小僧。何じゃ婆さんを届けてくれたか。これは本当に助かったわ。
もうよい。後は母ちゃんのところに戻ってくれ」
はあはあ疲れた。もう嫌。
「小僧さん助かったよ」
「あのさっきから小僧さん小僧さんって。僕もう立派な大人なんですけど」
つい堪えきれずに訴える。少々大人げなかったかな。でも子ども扱いしてるし。
「あれまあ。人間かいな」
「人間? 小僧って人間じゃないの? 」
変な質問をしてしまった。そもそも小僧の身分なら己を理解してるはず。
「ごめんなさいね。てっきり私はドスグロ山の雷人かと」
ドスグロ山の雷人? ますます意味不明。
お婆さんが訳の分からない話をする。これはまさか……
「ああ儂も。この辺を根城にしてる雷人かと」
これは新手の詐欺では? まさか若者を勧誘する怪しい団体?
今逃げるべきなのか? それとも…… まあ面白そうだから付き合うか。
「さっきからドスグロ山だとか雷人だとか訳が分からないんですが」
「ああごめんよ。巻き込んでしまって」
お婆さんは飴玉を一つ取り出す。
お詫びの印だそうだ。
「いやだから…… 」
だから小僧じゃないって。小僧って飴食うの?
「おうおう何か言いたそうだな? 」
「いえ僕は…… 遠い国から参りました」
取り敢えず自己紹介。これで失礼はない。
いつも先生に目上の者にはしっかり挨拶しなさいと言われている。
それから敬えとも。これくらい常識だと。
常識であり基本。疎かにすれば探偵として成長しないと。
まず常識を知りそして疑う。
これが先生がいつも口を酸っぱくして言っている言葉。
まあどうせ遠回しに尊敬しろとか口答えするなと言いたいのだろうな。
それを直接言わないのが先生の情けないところ。
「おうやはり天界からやって来た小僧さんじゃ」
「ありがたや。ありがたや」
なぜか勘違いされる始末。
いちいち説明するのが面倒。勘違いしたままでもいいか。
「それでお爺さんはどこに向かっていたんですか? 」
疑問はそれだけ。それと温泉の場所を聞いたら別れるつもり。
「実はな小僧さん。この道を真っ直ぐ行くとドスグロ山でな。
儂はそのドスグロ山の専門家。若き頃から良く登っておって詳しい。
それで今都会の者がドスグロ山に閉じ込められたと連絡が来た。
この辺で待ち合わせの予定がどうもまだ来んようだ。
ドスグロ山? 薄雲山の隣の山だっけ。
そう言えば薄雲山に来る車内で聞いたような。
ドスグロ山の雷人だっけ。ただの噂に過ぎないはずだが。
まあ何にせよ僕には関係ない話。
「小僧さんも心配して姿を見せた。もう雷も収まるじゃろ」
誰も近づかせないように雷雨になる噂。
「だから違うって! 」
「ホホホ…… ねえお爺さん」
「まあ人間には明かせないわな。その正体」
もう完全に信じ込んでしまっている。
信じるのは構いませんからせめてその小僧さんの話を真剣に聞いてよね。
いつになったら温泉に辿り着けるんだろう。
続く
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