変態暗殺令嬢Mは王子を守りたい! 王子暗殺に巻き込まれた女たちのレクイエム 

二廻歩

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血塗られた招待状

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男と別れ森を抜け戻ることに。
正体を隠し王族関係者とだけ。
信じていいものか? それさえ不確か。 

「まずいですよお嬢様。どうしましょう? 」
何事かと思えば迷ったと。そんな情けない報告しないで。
正直なのはビアンカの美点であるができるなら自分で何とかして欲しい。
お嬢様を無事に屋敷まで連れ帰るのが専属メイドの役割。
エラになって情熱が空回りしている気が。どうもふわふわしてるのよね。

「どうして迷うの? 」
信じられないことに地図を手にして迷えるんだから。それも一種の特技か。
だからってお嬢様の私が分かるはずない。
「それが…… 地図が古すぎて地形が変わってるようなのです」
「それなら仕方ありませんね」

まずい。これは本気でまずい。帰りは任せっきりで何も見てなかった。
この森を抜ければお屋敷ではないの? 
混乱して決断できずにいるビアンカ。まだ新人ですものね。
だったら勘に頼るしかない。とにかく行く方向を決めないと。

「どっち? 」
「左に行けばいいかと思うんですけど…… でもその後がまったく」
焦って混乱するビアンカ。地図読むのは実は苦手だそう。
今言われてもどうしようもない。
ここで言い争いをしては更に混乱するだけ。冷静に解決策を探る。

「あの方に聞いてみたら? 」
ちょうどいい具合に女の人が木陰で一休みしてる。ここは思い切って聞こう。
この方だってどこからか来た訳で。同様に道に迷ってなけれ分かるはず。
ここはビアンカに任せましょう。

「済みません…… うわちょっと! 」
何をしてるのかしらビアンカは? ふざけてるの?
迷ったのは彼女のせいなのに。もういい加減なんだから。
「きゃああ! いやああ! 」
どうやらまた混乱してるよう。まったく何だって言うの? 困ったな。
仕方ない。行くとしますか。
実際は叫び声があれば近づかない。即刻逃げるべきでしょうね。
でもビアンカを放っておけない。ここは危険を冒してでも救出に向かう。

「いやああ! 誰か! 」
「もう何をしてるのビアンカ? 」
「お嬢様これを…… 」
手には血が。よく見れば血が溢れている。
まさか刺された? でも……

「大丈夫ビアンカ? 何がどうなってるの? 」
まったく訳が分からない状況。
「この方が刺されてるんです。どう致しましょう? 」
そんな風に助けを求めるが私にどうしろと?
怪我してるなら手当してあげるべきでは? でも無闇に助けると災いが……
ダメ。つまらないことで逃げ出してどうするの?

「いいから離れなさい! 」
そう言うだけで精一杯。混乱を来す。どうしたと言うのでしょう?
「これを…… 」
まだ生きていた。辛うじて息をしている。
でもこのままでは助からない。そんな気がする。
「これを早く! 届けて…… 」
そう言って果てる。最後の力を振り絞って託されたもの。
一体何だと言うの? 命を落とすような代物。
平和な田舎で呑気に暮らしている私にはまったく想像がつかない。
しかし遺志を無視できない。

急いで血まみれの服を漁る。
ポケットに一枚のカードが。
「何でしょうかこれ? 」
ようやく冷静さを取り戻したビアンカ。勝手に触らないように命じる。
血の付いた手で掴めば余計に見えなくなる。
半分以上血に染まっていて文字が潰れてしまっている。

とにかく中身を確認。
「どうやら招待状みたいね」
「招待状ですか? まさか王子主催の晩餐会ではありませんか? 」
ビアンカが閃く。
確かにそれはあり得るかもしれない。
極秘に送られた招待状。それを奪い合っていると言うことは情報が洩れている?
王子に危険が迫っているのかも。
これは急いで王子に会って…… ダメだ。信用されるはずがない。
どうすれば? とにかく王子に伝えなくては。

「あの…… お嬢様。これは本当に招待状でしょうか? 」
ビアンカが訝しむ。血で汚れて文字が隠れてしまっている。
確かに鋭い指摘ですが多少見えなくなっていても最後の招待状はどうにか読める。
まず間違いなく王子の晩餐会の招待状。
だからこそ奪い合いに。殺し合いにまで発展した。招待状はそれほどの価値がある。

私だってこれさえあれば晩餐会に参加し王子に気に入られるかもしれない。
いえ必ず気に入られる! 自信はある。その場で求婚されるに違いない。
待っていてくださいね王子。マリオネッタが必ずお迎えに上がります。
逆か? お迎えに上がるのは王子の方。妄想するにしても立場を弁えないと。
王子から愛の告白をされるのですから。
大丈夫きっと二人は幸せになれる。

「どうしましょうお嬢様? 」
「へえ…… 私に言われても…… 誰が狙って襲って来るかも分からない。
これ以上は余計な騒ぎを起こさないで大人しくここから離れましょう」
もうここにいても危険なだけ。急いで離れることにした。

「それでどちらに? 」
「もう知らないわよ! あれ…… 声が聞こえませんか? 」
どうやら私たちを心配して屋敷の者が手分けして探してくれていたらしい。
助かったみたい。

こうして日が暮れた頃にお屋敷に無事到着。
随分遅いお帰りとなった。

                  続く
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