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トレインで情報収集
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一号車。一般市民専用。
間違ってもお嬢様が乗るような場所ではない。
私はいつも五号車に。広くてのんびりしたところにゆったりと。
座れないことなどない快適な旅。
ですが今は違う。まったくの逆。お嬢様を捨て一般市民に混ざる。
これもいい勉強だとストなら言うんだろうな。でも私にはもう耐えられない。
この程度と思うでしょう? でもそれがお嬢様なのです。
いえお嬢様でも耐えたり我慢を強いられる末の娘。
甘やかされることはなく常に厳しく躾けられている。
そんな私でも耐えられない。これ以上の屈辱も地獄もない。
大げさ? そんなことはないはず。もう戻りたくて堪らない。
でも我慢しなくては。王子に会うまでは絶対に耐え抜くんだから。
でもきっともう大丈夫。これ以上の試練はないはず。
王子に会うのに試練が待ち構えてるのは当然ですものね。
さあ切り替えてこのギュウギュウトレインを乗りこなしましょう。
「そこの方どちらまで行かれるのかな? 」
混雑したトレイン内部。そこには珍しい白髪の老紳士がハットを取って挨拶。
どうも暇らしい。こっちもある意味暇なので自己紹介することにした。
これで多少気分が紛れるならいいか。
「私は名の知れたお屋敷のお嬢…… 」
「失礼。彼女は妹のマリオネッタで私はビアンカ。
大きなお屋敷でお手伝いをしております」
自己紹介途中で勝手に割り込むビアンカ…… お姉様?
「ああメイドですか納得。どちらまで? 」
「はい。ラクエラに旦那様の友人宅へ届け物でございます」
ビアンカがスラスラと嘘を吐くのでつい顔に出てしまいそうになる。
大丈夫この人? 平気で嘘を吐く癖は幼い頃の教育に問題があるのでは?
「ビアンカ…… 」
「ダメでしょう。 きちんとお姉様と付けないと。失礼に当たりますよ」
「はいお姉様。ラクエラには王子に会いに行くのでは? 」
つい本当のことを言ってしまう。お嬢様だから仕方ないとはなりそうにない。
「もう! 失礼しました。妹は憧れるあまり王子に会うんだと妄想してるんですよ。
いくらラクエラが都会でも王子がその辺を歩いているはずありませんよね? 」
私を貶めて笑いものにしようとする。すべて事実なのに笑うって何?
馬鹿にしてる? ビアンカったら調子に乗って。何がお姉様よ。
「ははは! 王子と来ましたか? それはかわいらしい娘さんだ。
確かに王子はラクエラには間もなく来るかと。しかし会えるかとなると別ですね……
一ついいことを教えましょう。王子は幼少期より病弱で心臓に不安があるようです。
ですので優しく気遣えばもしかすると心を開いてくれるかもしれませんよ」
そう言って大笑い。いくら周りも車輪のけたたましい音があるとは言え大胆だな。
老紳士とは言え口が軽い気もする。
「あなた様は? 」
ビアンカが興味を示す。ただのおしゃべり好きの老紳士ではないらしい。
「それは秘密です。ただ関係者とだけ伝えておきましょうか」
そう言うと移動を始めた。
ついて行こうか迷うもビアンカに止められる。
派手に動き回って目立ってどうするのと諭される。
そう私は特別美しいお嬢様なので人々をどうしたって魅了してしまう。
メイドだろうと妹だろうと美貌に惹きつけられてしまう。それは大変罪なこと。
もっと言えば罪深過ぎて嫉妬と羨望を向けられ大罪となる。
それが分かっていながら日々生活している。それでもつい無自覚に。
ああ本当に何て罪深いのかしら?
「ほらマリオネッタきちんと帽子を被るのです」
「でもきついの嫌! 」
「我がまま言わない! 走らない! 混雑してるんだから! 」
どうにか妹は受け入れてそれっぽくしてみる。
そもそも私には姉が二人。ブランチを邪魔するような怖い姉がいる。
それに比べればビアンカはかわいいもの。プレッシャーもない。
「落としたぜお嬢さん」
親切にも拾って頂いた。
「あなたは? 」
「俺はブレンド。ホウソー地区で暮らしてる。ただの男さ」
年は十三だと言うが見た目が分からないほど煤だらけ。
炭鉱をねぐらにしてるのだとかで自信満々。
「こらガキが! 生意気な口を利かない! 」
つい生意気な子に文句を言いたくなる。たぶんビアンカのせいでしょう。
メイドのくせにが子供のくせに変化。
「うるせいよ! 見た目はきれいなのに性格はとんでもないな! 」
一瞬で見抜いた? お嬢様だと見破られたとしたら物凄い洞察力。
ただの子供だと侮れない。いやどう見てもただの子供ではないか。
「ふふふ…… ありがとう。これは大事なものなの。それでお礼だけど…… 」
「いやいいよ。俺がぶつかったのが原因なんだから。それよりももう落とすなよ」
生意気なガキ…… ではなく子供が仲間の元へ。
こちらをじっと見ている。どうやら私の美貌に虜になってしまったのでしょう。
仕方ないか。これも出会いですからね。
「もう何をやってるの! 」
ビアンカが厳しい。
目立つなと何度言ったら分かるのかと無理やり腕を引っ張て行く。
どうやら私の美しさに嫉妬したらしい。もう困るな。
屋敷でも領地でもトレインでも敵わないからって攻撃的にならないでよね。
ふう…… 疲れてしまう。一応は報告しておく?
続く
間違ってもお嬢様が乗るような場所ではない。
私はいつも五号車に。広くてのんびりしたところにゆったりと。
座れないことなどない快適な旅。
ですが今は違う。まったくの逆。お嬢様を捨て一般市民に混ざる。
これもいい勉強だとストなら言うんだろうな。でも私にはもう耐えられない。
この程度と思うでしょう? でもそれがお嬢様なのです。
いえお嬢様でも耐えたり我慢を強いられる末の娘。
甘やかされることはなく常に厳しく躾けられている。
そんな私でも耐えられない。これ以上の屈辱も地獄もない。
大げさ? そんなことはないはず。もう戻りたくて堪らない。
でも我慢しなくては。王子に会うまでは絶対に耐え抜くんだから。
でもきっともう大丈夫。これ以上の試練はないはず。
王子に会うのに試練が待ち構えてるのは当然ですものね。
さあ切り替えてこのギュウギュウトレインを乗りこなしましょう。
「そこの方どちらまで行かれるのかな? 」
混雑したトレイン内部。そこには珍しい白髪の老紳士がハットを取って挨拶。
どうも暇らしい。こっちもある意味暇なので自己紹介することにした。
これで多少気分が紛れるならいいか。
「私は名の知れたお屋敷のお嬢…… 」
「失礼。彼女は妹のマリオネッタで私はビアンカ。
大きなお屋敷でお手伝いをしております」
自己紹介途中で勝手に割り込むビアンカ…… お姉様?
「ああメイドですか納得。どちらまで? 」
「はい。ラクエラに旦那様の友人宅へ届け物でございます」
ビアンカがスラスラと嘘を吐くのでつい顔に出てしまいそうになる。
大丈夫この人? 平気で嘘を吐く癖は幼い頃の教育に問題があるのでは?
「ビアンカ…… 」
「ダメでしょう。 きちんとお姉様と付けないと。失礼に当たりますよ」
「はいお姉様。ラクエラには王子に会いに行くのでは? 」
つい本当のことを言ってしまう。お嬢様だから仕方ないとはなりそうにない。
「もう! 失礼しました。妹は憧れるあまり王子に会うんだと妄想してるんですよ。
いくらラクエラが都会でも王子がその辺を歩いているはずありませんよね? 」
私を貶めて笑いものにしようとする。すべて事実なのに笑うって何?
馬鹿にしてる? ビアンカったら調子に乗って。何がお姉様よ。
「ははは! 王子と来ましたか? それはかわいらしい娘さんだ。
確かに王子はラクエラには間もなく来るかと。しかし会えるかとなると別ですね……
一ついいことを教えましょう。王子は幼少期より病弱で心臓に不安があるようです。
ですので優しく気遣えばもしかすると心を開いてくれるかもしれませんよ」
そう言って大笑い。いくら周りも車輪のけたたましい音があるとは言え大胆だな。
老紳士とは言え口が軽い気もする。
「あなた様は? 」
ビアンカが興味を示す。ただのおしゃべり好きの老紳士ではないらしい。
「それは秘密です。ただ関係者とだけ伝えておきましょうか」
そう言うと移動を始めた。
ついて行こうか迷うもビアンカに止められる。
派手に動き回って目立ってどうするのと諭される。
そう私は特別美しいお嬢様なので人々をどうしたって魅了してしまう。
メイドだろうと妹だろうと美貌に惹きつけられてしまう。それは大変罪なこと。
もっと言えば罪深過ぎて嫉妬と羨望を向けられ大罪となる。
それが分かっていながら日々生活している。それでもつい無自覚に。
ああ本当に何て罪深いのかしら?
「ほらマリオネッタきちんと帽子を被るのです」
「でもきついの嫌! 」
「我がまま言わない! 走らない! 混雑してるんだから! 」
どうにか妹は受け入れてそれっぽくしてみる。
そもそも私には姉が二人。ブランチを邪魔するような怖い姉がいる。
それに比べればビアンカはかわいいもの。プレッシャーもない。
「落としたぜお嬢さん」
親切にも拾って頂いた。
「あなたは? 」
「俺はブレンド。ホウソー地区で暮らしてる。ただの男さ」
年は十三だと言うが見た目が分からないほど煤だらけ。
炭鉱をねぐらにしてるのだとかで自信満々。
「こらガキが! 生意気な口を利かない! 」
つい生意気な子に文句を言いたくなる。たぶんビアンカのせいでしょう。
メイドのくせにが子供のくせに変化。
「うるせいよ! 見た目はきれいなのに性格はとんでもないな! 」
一瞬で見抜いた? お嬢様だと見破られたとしたら物凄い洞察力。
ただの子供だと侮れない。いやどう見てもただの子供ではないか。
「ふふふ…… ありがとう。これは大事なものなの。それでお礼だけど…… 」
「いやいいよ。俺がぶつかったのが原因なんだから。それよりももう落とすなよ」
生意気なガキ…… ではなく子供が仲間の元へ。
こちらをじっと見ている。どうやら私の美貌に虜になってしまったのでしょう。
仕方ないか。これも出会いですからね。
「もう何をやってるの! 」
ビアンカが厳しい。
目立つなと何度言ったら分かるのかと無理やり腕を引っ張て行く。
どうやら私の美しさに嫉妬したらしい。もう困るな。
屋敷でも領地でもトレインでも敵わないからって攻撃的にならないでよね。
ふう…… 疲れてしまう。一応は報告しておく?
続く
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