変態暗殺令嬢Mは王子を守りたい! 王子暗殺に巻き込まれた女たちのレクイエム 

二廻歩

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トルド

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広域貿易都市ラクエラにて晩餐会。
国王の代理で近くの鉱山の視察まで来るついでだからといつの間にか。
我々としてもラクエラは要衝の地。友好関係を築くべきだろう。

「準備万端整いました! 」
「ほう…… これは楽しみだ。ふふふ…… ははは! 」
「笑い過ぎです。体に障ります王子」
「問題ないさ。わははは! フゴッ…… 」
「ほらまた無理なさるから」
「案ずるな。ただの気のせいだ」
「そんなことおっしゃらずに。薬をお飲みください」
「済まないな。しかしもう少しどうにかならないか? 苦くて敵わん」
薬は白くて飲みやすく見えるのに口に入れた途端吐き気に襲われる。
それは苦みと言うよりも臭みとか渋みだろうか。
寄越した医者を叩き切りたい衝動に襲われる。それほどの感覚。
当然そんなことをすれば医者はいなくなるので大人しく従っているが。

「良薬は口に苦しですよ」
馬鹿の一つ覚えのように毎日言うので嫌になって来る。
「できれば飲みたくはない。それが本音だ」
「我がまま言わずに! 元々お体も弱く心臓もよろしくないのですから」
この苦い薬を飲み続けていれば問題ない。
トルドが心配することでなはいさ。ただ飲まない選択肢はないが。

「それでめぼしい相手は見つかったか? 」
新たな資源開発にと鉱山の視察。これは元々国王の仕事だった。
だが外国との関係が悪化し国王が動きがとれない。代わりに視察することに。
ちょうどよいので晩餐会を開き思い切って舞踏会まで。
そこで花嫁候補を見つける。それが今度の旅の目的の一つ。
別に急ぐ必要はまったくないと思うが国王からの圧もあるしトルドの勧めもある。
ここは顔を立てる意味でも真剣になる必要がある。

「しかしな。アメリーナもいるし無理することはないと思うが」
「アメリーナ様はよろしくありません。何度もそう申し上げている通り。
とんでもなく浪費家で贅沢に慣れており国が破綻してしまいます」
そんなはずはないがトルドはなぜかアメリーナを毛嫌いしている。
もちろんアメリーナが相手に相応しいなどと思ってない。
しかし王子の相手は見知らぬ者から選ぶより身近な者の方が……
「分ってはいるが昔からの関係で認められてもいる。それでも良くないと? 」
「はい。相応しくありませんしまったくよろしくありません! 」
強く否定するから困る。一体アメリーナのどこを見ているのだろう?

「それにしてもうまく化けたものです」
「ははは…… どうだ王子に見えるか? 」
「はい…… いえ見えてはダメなんですって。目立たぬようにと何度言えば」
「大丈夫。誰も王子が呑気にトレインで来るとは思ってない。
僅かな家来だけを引き連れて来るとは夢にも思わないさ。
それに狙われてると決まった訳でもないだろう? 」
呑気に旅に出る感覚。

トントン
トントン
噂をすればアメリーナ。
「どうしたこんな夜中に? 」
「月がきれいでございます。今晩は共に月を愛でるのはいかがでしょう? 」
そうやって笑う。何がおかしいのか? まったく女って奴は。
「申し訳ないが王子は疲れておるし明日も早い。遠慮願いますかな」
本人目の前に勝手に断ろうとする。
「いいではないか。ははは…… アメリーナはかわいいな」
「はい。王子と月を肴にお酒を酌み交わしたく存じます」
と言いながらもうすでに顔が赤い。酒癖は信じられないほど悪いアメリーナ。
付き合っていては持たない。それがトルドには分かるのだろう。

「王子? 」
「よい。さあアメリーナよ行こう」
こうして夜の誘いに乗る。
ははは!
ふふふ……
大いに盛り上がったが酒癖の悪いアメリーナに付き合って泥酔してしまう。

翌日。
トレインに乗り王子一行は晩餐会が開かれるラクエラへ向かう。
ラクエラまでは一気にとは行かずに途中で何駅か挟む。

最高級特別室。
ここは王族の者がトレインを利用する時に特別に用意される個室。
一般市民は立ち入ることを禁じられているがそのお隣は問題なく解放されている。
とは言っても隣に乗って来る愚か者はいない。
監視の目で落ち着いて座っていられないから。

「どうした?  さっきから落ち着かずに歩き回りおって。少しは静かにしろ」
心配する気持ちは分かるが我々がこのトレインに乗車しているのは秘密。
知っているのはトレイン保安員と隊長とお前にアメリーナだけ。
そのアメリーナも同行してないのだから実質保安員と隊長の二名。
我々が来るのは噂になっているだろうがいつどのトレインかまでは不明。
狙われる心配はないさ。その為に僅かな者しか連れてきていない。
目立っては危険と言う判断をした。これも一種の賭け。
考え過ぎはよくない。体にも悪い。
そもそもこれも作戦のうち。自分で立てたのになぜ心配する?

昨夜のアメリーナは本当にしつこかったな。いつどのトレインに乗るかまで。
寂しくて不安で心配なのは分かるがいくら何でもやり過ぎ。
言えるはずはないが隊長とトルドと数名の少数精鋭で行くと正直に伝えてしまった。
少し浅はかであったかな? しかしこれくらい大丈夫だろう。心配ない。

                  続く
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