変態暗殺令嬢Mは王子を守りたい! 王子暗殺に巻き込まれた女たちのレクイエム 

二廻歩

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不届き者

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ついに始まる晩餐会。何も起こらないといいのですがそれは幻想か。
「待ってよビアンカ。寒いんだってば」
「我慢願います。ラクエラは夜になると急激に冷え込むようなところ。
ただ雪が降るようなことはないので心配ありません」
ビアンカは大丈夫だと適当。寒くないのかしら?
大体その情報どこから? 信用ならないのよね。
確かに雪は降ってない。でもいつ降ってもおかしくない空模様。
随分と冷え込んで来た。帰り際には雪が降り積もっていたりして?
ふふふ…… それは帰れたらの話。それもまた運命。受け入れなくてはいけません。
 
「お年を取ると冷えは感じられないの? 」
「それは違います。気合です! 」
何とビアンカは気合と根性で乗り切れと無茶を言う。寒いのは寒いままでしょう。
「寒いのは恐らくこの風のせいかと」
元気なビアンカ。どうしたのでしょう? あんな地獄に乗り込むと言うのに明るい。
どこかおかしいのかしら? それとも本気で王子に心を奪われた?
そうするとやはりおかしいことになる。誰があのガキ王子に命を張れって言うの?

「王子を気に入ったの? あのクソガキが? 」
「あらあらマリオネッタお嬢様。お口が悪いですよ。そのようなこと一言も…… 」
嬉しそう。あるじゃないそんなこと。まったく呑気なんだから。まあいいか。
王子になぜかご執心のビアンカ。

どこがいいんでしょう? 確かに王子と言うだけで憧れはもちろんありますよ。
ですがそれは出会う前までの話。一目会えば気持ちは幻想だったと気づかされる。
それが現実と言うものでしょうがそれでももう少し素敵な方であって欲しかった。
王子を馬鹿にするつもりも貶すつもりもない。ですがもう少しでも大人であったら。
そうすれば王子とお嬢様の恋模様だって描けたかもしれない。
惜しい。残念でなりません。

「ビアンカ! 待って。置いて行かないで! 」
「ほら急ぎましょう。晩餐会が始まってしまいますよ」
気合十分のビアンカ。まさか本気で暗殺する気? 
王子への想いを封印して任務を遂行する? 
もしそうなら甘い考えを捨てるべきでしょう。それが割り切りってものでしょう。

「おい! そこのきれいな姉ちゃんたち! 」
道を塞ぐように横に広がる輩三名。奴らの寄越した使者とは思えない振る舞い。
目立つような行動は避ける。それが求められているはず。だから彼らはただの悪党。
大げさに言えば町に巣食うダニ。変なのに目をつけられたみたい。
「失礼。先を急いでますので」
相手にせずに通り抜けようとすると肩を掴まれ動きを止められてしまう。
すぐに囲まれる。ここは晩餐会場への一本道で遠回りさえできない。
それを見越しての嫌がらせ? 
頭が悪いくせにこう言うところだけは知恵が回るんだから。

「へへへ…… どうだ今晩? 退屈させないぜ」
そうやって動きを封じ無理やり首を縦に振らせようと言う魂胆。
どこまで無能なのこいつらは? やはり故郷とは違いラクエラは危険が一杯。
でも本当に危険なのはこいつらの方。なぜなら私たちは暗殺者。彼らなど一発。
ふふふ…… あまりしつこくしてると制裁を加えますよ。

「ビアンカお願い! 」
こう言えば後始末してくれるのがメイド。今はしがない暗殺者ですが。
「ダメですよ。こんなクズどもを始末してどうするんです? 」
面倒だから頼んだのに諭されてしまう。しかしどうしろと?
このままでは本当に目立ってしまう。早いところ処分しないと。
まだ第一関門には早過ぎない? 

「だったらどうするの? 」
ダメだ。話がまとまらない。急がないと晩餐会に遅れてしまう。
ここでは遅刻は厳禁。大体目立って仕方がない。
だから急いで邪魔をするこいつらを排除したいのですが。

「へへへ…… 姉ちゃんたち何を話してる? 大往生際が悪いぜ。イヒヒ…… 」
ダメだ。話にならない。ここは強行突破あるのみ。
背中に隠したナイフで奴らを黙らせる。もうここで手を拱いていては後れを取る。
王子はいつ狙われるか不明。急いで会場に向かう必要がある。
余計なことに構ってられない。さあ邪魔者をすぐに排除してしまいましょう。
それがこの街の為でもありこの国の為にもなる。

「通しなさいよあんたたち! 殺されたいの? 」
つい怒りから雑に振る舞う。これでいいはずないが頭に来てるから言葉も荒い。
「へへへ…… 姉ちゃんたちが俺たちを? ははは! それは悪い冗談だぜ」
ダメだ。頭が悪いから何一つ理解できてない。絡む相手を間違えている。
もう遅いが急いで震えなさい。もう私たちはただの女じゃない。
王子のお命を狙う一味の仲間で暗殺者なのだから。

「おいそこで何をやってる! この不届き者が! 」
刃を向けようとしたところで救世主が現れる。
「くそ! こいつらには逆らえない。行くぞお前ら! 」
「仕方ない。おう! 」
「待ってくれよ兄貴! 」
こうして情けない三人組は姿を消す。このラクエラに巣食うゴミども。
次会った時は確実に排除するとしましょう。うっとうしくて堪らないから。

これで邪魔者はいなくなった。
追い払ってくれた救世主に感謝を伝えましょう。

                  続く
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