夏への招待状 失われた記憶と消えゆく少女たち 無人島脱出お宝大作戦

二廻歩

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無人島生活

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一度は考えたことがあるだろう。
無人島に何を持って行くか。
ナイフでもいいしライターでもいい。
何なら持てるだけの非常用グッズだっていいと思っている。
もちろん真剣に答えるのもばかばかしいかもしれない。
適当にその場のノリで答えればいい。
面白おかしく笑い合えればいい。
でも…… 実際に無人島で生活することになったらそうはいかない。

一人きりの無人島生活。

誰にでもある少しの不安。
俺は何者なのか?
どこから来てどうしてここに居るのか?
解決などしようもない疑問であり愚問である。

分からない! 分からない! 
ここはどこなんだ?
朝叩き起こされたことは覚えている。うっすらと。
だがそれ以降の記憶がない。まるっきりない。
確か……
ダメだ。思い出せない。
思い出そうと努力しているが何かが邪魔をして頭が混乱する。
どうしたのだろう? 
自分が何者だったかも覚えていない。
完全な記憶喪失だ。
まあいいかそんなことはどうでも。
この無人島生活では些細な問題だ。

ふあーあ
そろそろ起きるとするか。
ああよく寝た。今は何時かな?
ここは建物の中。
そう運よく見つけたオンボロ小屋。
お洒落な言い方でコテージとでも呼ぼうか。
コテージには時計がかかっている。
だが今は動いていない。
もう壊れていて使い物にならないのだ。
代わりに机に置いてある腕時計で確認。
もちろんこれは俺の時計だ。
盗んだり拾ったりしていない。信じてくれ!
ううん? おかしいな……

もう一時。
朝だと思って起きたがまさかもう昼になっていたとは……
どおりで日差しが強い訳だ。
ああ肌が灼けるように痛い。
日焼け止めでもあればいいが生憎ここにはない。

お腹が空いた。そろそろお昼にしよう。
昨日食いきれなかったカニの残りと非常食の缶詰、パンを並べる。
うーん。うまいがさすがに飽きたな。
魚と缶詰とパンばかりでは三日が限界。
毎日フランス料理やイタリアンなどのご馳走とはいかなくてもせめてバリエーションに富んだものを食べたい。
いくら願望を言おうと決して叶えてはくれない現実。
もう嫌だ!
とにかく次の手を考えなくてはいけない。
腹を満たし一息ついて外へ出る。

コテージから下ること五分見えてきました紺碧の海。
うーん気持ちいい。
暑さにも体が慣れてきた。
やはり俺は夏が好きだ。
夏の暑さが俺を男にする。
さあ泳ごう。誰もいない砂浜。
俺だけのプライベートビーチ。
浅瀬を泳ぐ。
波は高くない。無理をしなければ満喫できる。
体の力を抜きぷかぷか浮かぶ。
空を見る。
ああ誰か!
ここはどこなんだ?
俺はどうすればいいんだ?
空は何も答えてはくれない。
代わりに太陽が視界に入る。
直接見ないように目を瞑る。
ああ暑い!
もういいよ。

海を満喫したところで島を散策。
ヤシの実で水分を補給するのを忘れない。
ぬるくてボケたような味だが命の水に変わりはない。
コテージを中心に海のある方を北と定める。
北には海がある。
南は小さな山になっている。
海からコテージに山と徐々に上りとなっている。今のところ山の頂上には行けていない。
いくらここから頂上が見えると言っても上りでは何時間かかるかも分からない。
下手に登って迷っては命取りだ。
慎重にならざるを得ない。
まあいつかは登る必要があると思っているが。今ではないのは確かだ。
俺一人だ。怪我して動けなくなっても誰も助けには来ない。
そんな度胸はない。

とりあえず山は後回し。
左。西へ向かう。
ここには赤黄色紫と鮮やかな花を咲かせた一画があり発見した時は興奮したものだ。
まあ今は慣れてしまったのでさほどの感動はない。
もしかするとこの島の住民が手入れをしていたのかもしれない。
今のところ住んでいた形跡が見つからないので想像でしかないが少し前まで誰かが居たのかもしれない。まあ俺には関係ないことだが。
一画を抜けると山に繋がっているのかぼうぼうの緑が行く者を阻む迷路のようになっている。
仕方なくいつものように引き返す。
今日は特に新しい発見は無かった。

岩場が見えてきた。
さあ即席の針と糸で釣り竿を作り投入。
夕暮れとなり波は高く勢いもある。
もし岩場から落ちればひとたまりもない。
危険は承知。
つるつると滑る岩場を慎重に前へ。

さあ釣るぞ!
大型の魚が釣れる絶好のポイント。
さて今日は何が釣れるかな?
一時間ほどで戻る。
大量大量大量!
カラフルな魚を五匹ほど持って帰る。
名前は分からないが熱帯特有の派手な魚。
本来なら天ぷらか漬けて食べるのだろうがそこまでの料理の知識も腕もない。
だから大胆に焼く。
毒さえなければ何とかなる。
ほら大丈夫。
うまい。これはいける。
サバイバル生活にも慣れてきた。
おこした火の後始末をしてコテージに戻る。

ふう…… 疲れた。
昼間たくさん歩いたせいか足が凝っている。
明日に響かなければいいが。

今日も一日が終わろうとしている。
後は寝るだけだ。
味も臭いも強烈な梨の形をしたフルーツを頬張りながら満天の空を窓越しに眺める。
今夜も星がきれいだ。
明日も晴れるかな。暑くならなければいいが。

もう遅い。眠るとしよう。
おやすみなさい。

               【続】

また明日

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