夏への招待状 失われた記憶と消えゆく少女たち 無人島脱出お宝大作戦

二廻歩

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鳥たちの楽園

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翌日。
じりじりと暑い。
何度になっているのだろうか?
時計を見る。
十二時過ぎ。
あーあ。だらしないなあ。
温度はえっと…… 三十度を超えている。
この島に来て一番の暑さだ。
夏とは言え湿度が五十前後。
カラッとしていて過ごしやすい。
ただこの暑さだとスコールになるかもしれない。
念のため今日は近くで過ごすことにする。
これも無人島生活で得た数少ない経験から来るものだ。
間違いはないはず。

さあ昼飯だ。
昨日の魚の余り。
火をおこし二日目の魚に挑戦だ。
くさ! まあ大丈夫だろう。下痢になる程度だ。

外へ。
海で体を冷やす。
ああ気持ちいい。夏はやはり海が不可欠だ。
よしもういいだろう。

続いて砂浜で貝採りに励む。
飽きてしまわないように日ごとに獲物を変える。
これが長続きするコツだ。
食べられるものを選ぶ。
大きい物から小さい物まで。
手を切らないように気をつけながら。
夢中で採り続ける。

一時間が経過。
ああ、もうこんな時間か。急ごう。
コテージに置いてあった大きなスプーンが役に立つ。
ざくざく。
ざくざく。
辺りをつけたところを集中的に掘り返す。お宝さがしみたいで面白い。
あれ……
何かを思い出したような…… いや気のせいか。
目当ての貝も取れ、夕飯は確保できた。そろそろ切り上げよう。
ついつい貝採りに夢中になってしまった。

ぴとぴと
後片付けに入ってすぐ雨が降り出してきた。
最初は静かにゆっくりと。
三十分もしないで大粒の雨に。
スコールとなった。

まずい帰ろう!
コテージはもうすぐだ。
雨にぬれグショグショの服でコテージに駆け込む。
ふーう。危なかった。
スコールは一時間ほどで収まったが戻ってきて正解。
自分は水恐怖症だという自覚はないがなぜか息苦しくなり最悪の事態が頭をよぎる。
何かあったのだろうか? 過去が思い出せない。
だから余計に不安になる。

俺はなぜこの島にいるんだ?
なぜ一人なんだ?
誰か! 誰か助けてくれ!

疲れた。
晩飯を食べてすぐに横になる。
さあ明日だ。
嫌なことは忘れよう。
もう寝る。

翌日。
ああ。良く寝た。
清々しい朝だ。
と思ったがやはり正午過ぎ。
どうしたのだろう?
一度慣れてしまうと人間は決まった時間にしか起きられなくなる。
習慣って奴か?
不思議だがそれしか考えられない。
まあいいか。
別にここはのんびりした島だ。何かする訳でもない。
ゆっくり時間が過ぎていく。
良いんだか悪いんだか。
昨日の余りを掻き込んで外へ。

日課のスイム。
今日は波打ち際でクロールの練習。
たまに来る大波を警戒し浮輪を用意。
これで溺れる心配はない。
水は得意じゃないが体を冷やすには手っ取り早い。
うわっ!
波が襲い掛かってきた。
流されないように浮輪に掴まる。
ゴッホ ゴッホ
ハアハア ハアハア
大量の海水を飲み込んでしまった。
まあいいか。助かったのだから。
いつも飲んでいるしね。
飲み水を確保できずにヤシの実や果物、スコールの水で凌いでいるがやはり真夏の暑さは堪える。
知らず知らずのうちに喉が渇いてしまう。
体に影響があると分かっていても海水を含むしかない。
危険だが体も慣れてきた。
問題ないだろう。

さあ今日はどこに行こうかな。やはりここは右に行ってみるか。
今まで足を運んだことのない東側を散策。
果たして何があるのか?
新しい発見があればいいが……
深い緑に囲まれていてすぐに迷いそうだ。
サバイバル未経験の俺にはまだ早いか?
コテージにあったコンパスを頼りに進む。
生い茂った木々を掻い潜って急ぐ。
ドンドン東進。
しかしいくら行っても緑、緑。
また緑か。
奥へ奥へと向かう。
コンパスがあっていれば順調に進んでいるはず。
捲っては進み捲っては進み。
グリーンロードを開拓していく。
捲っては……
危ない!
大声で叫ぶ。
惰性で続けていたらどうなっていたことか。
目の前に突如崖がお目見えになった。
危うく滑落するところだった。
下は海らしく打ち付ける波の音が聞こえる。
どうやら島はここまでらしい。
とりあえず島の東端に辿り着く事ができた。

引き返す。
行きとは違う道を進む。
少し南に針路をとる。
一歩ずつゆっくり歩く。
崖や危険地帯を通り過ごし進んでいくとすぐに泉が見えてきた。
助かった。これで水を確保できる。
手で水を掬う。
うん。大丈夫。変な味も臭いもしない。
とりあえず飲めるだけ飲んで腹を膨らませる。
次からは水筒を持ってこよう。
それからは水汲みは日課となった。

ぎゃあ!
ぎゃあ!
どこからともなく鳥が降りてくる。
大声でこちらを威嚇する。
邪魔だどけ!
二羽三羽と増えて行き最後には十羽以上の集団。にらみを利かす。
彼らも泉の水が目当てなのだろう。
赤に緑、黄色とカラフルな鳥が舞い降りてくる。
飲み場を代われと訴えかけている。
仲良く一緒にという訳にも行かないらしい。
俺は仕方なくその場を立ち去った。
どうやらこの泉は鳥たちの憩いの場。
大げさに言えば鳥たちのオアシス。
いや楽園だろうか。
また新たな出会いと発見があった。
まあこの島にも鳥ぐらい居て当然。
不思議でも何でもない。
そうするともっと大きな動物なんかもいるかもしれない。
夜は出歩くのはよそう。
襲われたら最後。逃げ切る自信など無い。

空の様子がおかしい。
雲が湧いてきた。
スコールがまたありそうだ。
これはまずい。降ってくる前に急いで戻ろう。

今日も無事に一日を終える。
それにしても俺はなぜここに来たのだろう?
未だに思い出せない。
目的は何だ?
まさか一生このままなんてことはないよな。
時が経てば経つほど不安が大きくなっていく。

                     【続】
また明日。

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