夏への招待状 失われた記憶と消えゆく少女たち 無人島脱出お宝大作戦

二廻歩

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地図作りは大変 天使のようなハル博士①

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二日目。
「おい! おい! 」
「ううん? もう朝? 」
「寝ぼけてないで出発するぞ」
「あれここはどこ? 」
「まだ寝ぼけてるのか? ここはゲンシ島だろ。お前の島じゃないか忘れたか? 」
そうだ。無理矢理連れていかれたんだった。
俺の島か…… うーん。悪くない。
博士は支度を終えてやる気満々。
待ってはくれない。
「ほら早くしろ! 」
「まだ眠いっすよ」
「知るかそんなこと! 置いていくぞ! 」
博士は我慢ができない。特に待つ事ができない。
数ある博士の欠点の一つとして放置していたが悪化したようだ。
待てができいないようでは良い飼い犬にはなれない。
せっかちで困る。
老人病と言ってもいいかもしれない。
急いで準備をする。
外へ。

「博士。今日はどうします? のんびりします? 」
「馬鹿者! 観光に来たのではないぞ! 」
確かにそうだが…… 無理やり連れてきてよく言うよ。
爺だからもう忘れちまったか?
都合よく忘れるんだよなあ。困ったものだ。
「もちろん冗談ですよ。どうしますか? 」
「そうだな。地図でも作るとするか」
「地図? 地図って作るの? 」
「当たり前だろ! ここに観光案内があるか! 人など住んでいないんだぞ! 」
うわ! 最悪だ。
「地図ですか…… 」
「ああ。ここは広くない。とは言え迷わない保証はない。
詳細に調査するには地図が欠かせない。最初が肝心ってわけだ。」
「そうすると俺が…… 」
「ああ頑張ってくれ。できたら全体を把握しておきたい。頼んだぞ! 」
「博士は? 」
「私は中で資料の整理と夕食の準備をしといてやる」
どうせ缶詰だろう。
優しい博士はパンを渡す。
もちろんこれでは体は持たない。
分かっているのか? それともわざと……
「夕方にまでは戻れよ」
優しいお言葉で。

憎たらしいほど照り付ける太陽。
もうとっくに三十度を超えている。
これで風でも吹けばまだいいが無風だ。
厳しい暑さの中地図作りを始める。
暑いなあまったく!
まずはどちらに向かおうか。
東がいいか西がいいか?
南に見える山は後回しにするのがいいだろう。
ビーチで一泳ぎも悪くない。
さあどうしようかなあ……

靴を投げる。
こっちだ。
つま先の方に歩き出す。
もう喉が渇いてきた。
手入れのされていないぼうぼうの緑の道を突き進む。
くそ! 暑すぎる!
汗が止まらない。
誰か助けてくれ!
おーい!
やはり無人島だけあって人の気配がしない。返事は皆無。
虚しい限りだ。
遠くの方から耳を貫く獣の鳴き声。
ギャア! ギャア!
化け物? いやこれは鳥だ。
音のする方に歩き出す。
うん? 水の匂いがするな。
昨夜は海水で我慢したがどうやら飲み水がありそうだ。
音の方に走り出す。
鳥の集団。
こちらに気付き威嚇を始めた。
無視して近づく。
狂った鳥が襲ってきた。
まさかこいつ俺を喰う気か?
まだ威嚇を続けている。
仕方がない。鳥が退くのを待つ。
五分もしないで邪魔者はいなくなった。
泉が目の前に出現。
まさしく命の水。オアシスだ。
手で掬って臭いを嗅ぐ。
うん。臭くない。飲んでも問題なさそうだ。
もちろん海水ではなく真水だ。
うん。うまい!
渇きを癒す。
よしさっそく地図作りを始めるか。
ここは泉。
命の水。
オアシス。
鳥たちの楽園。

おっと来客のようだ。
翼を広げた巨大鳥が近づく。
これは失礼。
順番らしい。
泉を後にする。
島の東端まで歩いてきた。
これ以上は無理だ。
後は南に向かうのだが。
道が見当たらない。どうやらこれ以上は道事体が無いらしい。
先には山。ここからは登るのは不可能。
よし仕方がない。戻るか。
東端に沿って北進。

うん。
歩いてすぐに崖にぶち当たった。
危ない危ない。
恐怖から身がすくむ。
あれ? 
足が震える。
崖下はどうなっているか覗きたところだがこれ以上は近づけない。
体が動かない。
どうしたのだろ?
高所恐怖症らしい。
子供の頃は何ともなかったのに大きくなるにしたがって症状が現れ始めた。
まさかここまでとは自覚していなかったが。
とりあえず泉に戻って出直しだ。
水を飲み心を落ち着かせる。
暑さで溶けそうなパンを取り出す。
うん。まずい。
もう少しこの辺を見て回る。

これと言って新しい発見はなし。
仕方がない戻るとしよう。
海岸沿いに出る。
暑くなった体を冷やす為少しだけ泳ぐ。
うーん気持ちいい。
少しのつもりだったがいつの間にか一時間以上が経過。
今日はこれくらいにして戻るとするか。
砂浜を歩く。
博士の話が本当ならこの辺に宝が埋まっているかもしれない。
博士を出し抜いて宝を独り占めするのも悪くない。ははは!
疲れからか歯止めが利かなくなる。
まずい! コントロールできない。
とりあえず早いが博士の元へ。

「お疲れ様」
なぜか穏やかな博士。良いことでもあったのか?
「博士どうしたんですか? 」
「何。ゲンジ君が一生懸命やってくれたから。大助かりだよ」
稀に見るご機嫌のようだ。穏やか過ぎて調子が狂う。
悪いことではないが…… 酒でも飲んだか? 気持ち悪くて仕方がない。
優しい博士と楽しい夜を過ごし二日目を終える。

                      【続】
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