夏への招待状 失われた記憶と消えゆく少女たち 無人島脱出お宝大作戦

二廻歩

文字の大きさ
24 / 61

上陸一日目 魚と缶詰

しおりを挟む
目の前にはちょうど建物が。
ラッキー!
よしちょうどいい。ここを宝さがしの拠点としよう。
まずは掃除だ。
荷物を置きすぐに清掃に取り掛かる。
「任せたぞ」
「博士はやらないんですか? 」
「お前を連れてきた意味がないだろ」
「確かに…… 」
「急いで済ませろ! 私も長旅で疲れた」
そう言うとベットに腰かけた。
「そうだゲンシ君。悪いが夕食の準備も任せたよ。私はその間に仮眠を取るから」
「へいへい」
こき使って自分ではまったく動こうとしないんだから。
助手を辞めたくなった。
まあ今日に限ったことじゃないが。
「ゲンシ君。一時間経ったら教えてくれ」
本気で寝るようだ。
「でもあの…… 」
「おやすみ」
「博士! 」
ダメだ。もう寝てしまった。
よくこんな埃臭い所で寝れるよ。不潔極まりない。
そんなこと言っていると博士に雷を落とされるのがオチ。
軟弱者と馬鹿にされる。

博士の助手になってと言うか無理矢理させられてから一年以上経つがどうも慣れない。博士はどちらかと言うと大雑把でいい加減。もちろん研究については真摯に取り組んでいる。そこは尊敬している。それに比べて俺はきれい好きで細かいと博士に指摘される。二人のバランスが取れているとも言えるがこちらが非常に苦労しているだけで良いことは無い。爺さんだからこちらの言うことなど聞こうともしない。機嫌がいい時は君をつけて微笑んでいるが今はと言うとただスムーズに事が進むように君付けをしているのだ。見誤ってはいけない。

博士を起こさないようにまたは逆に騒音で起こすように部屋中を雑巾がけ。それが終わったら整理整頓。塵一つ残さないように入念に掃除をする。
最後に持ってきた荷物の整理にかかる。
それが終わるころにはとっくに一時間が過ぎていた。
あーもうようやく終わった。
疲れたなあ。まったくやってられない。
無理矢理連れてきてしかもバカンスだと騙しやがった。
こんなことが許されると思っているのか?
自分ばかりベッドでくつろぎやがって。挙句の果てに寝やがった。
何が一時間経ったら起こせだ。ふざけるのもいい加減にしろ!
この偏屈爺!
ふう、すっきりした。
さあ起こすとするか。いやこのままでいいか。

まだ寝てるよ。
しょうがないなあ。
急いで博士を起こす。
しかし寝つきがいいだけあって深い眠りについている。
困ったなあ。どうしよう……
目覚まし持ってくればよかった。
まさか引っ叩くわけにもいかないしな。
結局一時間オーバーしてしまった。
「博士! 起きてください! 」
いつものように寝起きは最悪。
こちらに文句を垂れて怒鳴り散らす。
「起こせと言っただろ! 使えない奴め! 」
「無理言わないでくださいよ…… こっちは言われた通り…… 」
「口答えするな! 夕食の準備はどうした? 」
まったく助手をこき使いやがって。今に見てろ。
沸々と怒りが湧く。
いやダメだ。今日からしばらく博士と二人きりだ。
怒っていては進むものも進まない。
笑顔だ。

心を落ち着かせ晩飯を調達する。
一時間粘ってカラフルな魚一匹ゲット。
まあこれで何とかなるだろう。
「博士。釣れましたよ。なんていう魚でしょうか? 」
「知るか! 私は海洋博士ではない! 」
もっともだが。釣って来てやったのにその言い方はないだろ。
大人げない。まだ怒っているのか? 困った爺さんだ。

下処理を済ませ調理開始。
豪快に焼くことにする。
「お前はそれを食ってろ! 私は缶詰を開ける」
ええっ?
「せっかく釣ってきた魚なんですよ。食べないんですか? 」
機嫌の悪い老人を宥める。
「そんなヘンテコでまずそうな魚が食えるか! 」
焼けば何とか食える。
固くはなく薄味だが塩と醤油があれば食えなくもない。
「塩か醤油をかければ何とか…… 」
「あればな! どこにあると言うんだ? 」
「その辺に」
「塩は何とかなるが醤油は? 醤油は? 醤油は! 」
「すみません」

「うまい! 」
「お前本気で食っちまったのか? 」
「美味しいですよ。博士もいかがですか? 」
「私は魚は食べない」
このサバイバル生活で何とワガママな御仁だこと。
「お前は魚。私は缶詰でいい」
甘辛味噌だれの缶詰。
ゆっくりと時間をかけて一口ずつかみしめるように食べる博士。
匂いが堪らない。食欲がそそられる。
「どうだ食いたいか? 」
頷く。
「ではならば一口だぞ」
遠慮して少なめに口に運ぶ。
「おい一口だって言っただろうが! 」
「ですから一口です。しかも少なめですよ」
「嘘を吐け! こんなに食っちまいやがって! 」
自分が食った分まで足して大げさに騒ぐ。
まったく意地汚い爺だ。
「はいはい」
明らかにわざとやっている。
しかしこの程度のこと気にしない。
笑顔で対応。
「何だその顔は! 」
逆効果だったようで余計に怒らせてしまった。

「もう寝るぞ! 」
博士はベッドに向かった。
「待ってください博士。私はどこで寝れば? 」
「好きなところで寝ればいいだろ。困った奴だな」
さも当然とベッドを占領する。
いくら助手だからってそれはないだろ?
まさか博士と共にするわけにもいかない。
大人しく床で寝る。
腰が痛い。
これでは寝ることは不可能。
睡眠不足では宝さがしもままならない。
明日からどうにかしなければ。
おやすみなさい。
一日目を終える。

               【続】
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

黒に染まった華を摘む

馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。 高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。 「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」 そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。 彼女の名は、立石麻美。 昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。 この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。 その日の放課後。 明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。 塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。 そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。 すべてに触れたとき、 明希は何を守り、何を選ぶのか。 光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。

処理中です...