34 / 61
財宝の歴史
しおりを挟む
侵入者から財宝と少女たちを守った。
結果的に島を守ることにもなった。
一体奴らは何者だったのだろうか?
聞き出す前に息絶えた者ども。
やり過ぎたかなあ。
アイミに唆されなければこんな惨劇にはならなかったはずだ。
いくら煽られようと本来の俺だったらこんなことはしない。
まるで島に毒されてしまったかのように。
自分が自分でない気がする。
ふう……
今更後悔しても遅い。
反省は大事だが過ぎたことに拘り過ぎも良くない。
未来が大事だ。前を向く。
最終章へ。
その前に……
歴史を少しだけ振り返る。
海賊史。
一隻の船が何も知らずに危険地帯に侵入。
海賊たちの格好の獲物となった。
ハアハア
ハアハア
「もうダメ! 」
「ここを通りたければ通行料を払え! 」
海賊船が二隻通行を邪魔する形で止まる。
完全に進路を塞がれてしまった。
「分かりました。おいくらでしょうか? 」
ここは相手の機嫌を損ねないように従う。
「物分かりがいいな。よし積み荷を全部頂く」
「それはちょっと…… 」
「抵抗する者は消えてもらう。いいな? 」
ははは!
うおおお!
「いいぞ! いいぞ! 」
海賊たちは酒を喰らい大騒ぎ。
本来なら気づくであろう違和感に気付いていない。
「これが全てです。お引き取り下さい」
「おいおい。まだ隠しているだろう? 全部と言ったはずだ」
「これは献上する品。どうかこれ以上はお止めください」
海賊相手に粘り強く交渉するも奴らも慣れている。
「さっさと出せ! 」
脅しをかける。
「分かりました。少々お時間を頂ければ」
「嫌だね! お前は信用ならない」
まさかこの私を信用していた?
「これだけは! これだけは! お止めください」
「中身は何だ? 正直に答えろ! 」
「金銀財宝です」
「ほう。それは珍しい物を運んでいるな。まず半分をこちらの船に積め! 」
「どうか…… 」
「お前らの命と引き換えだ。安い物だろう」
「しかし…… 」
「親分来ちまいますぜ! 」
手下が騒ぎ出した。
「ああ分かった」
海賊たちはお上を恐れている。
この海域では毎日のように船舶が海賊に襲われてそのほとんどが殺されるか沈められるかのどちらかで警戒海域でもあり巡視船が目を光らせている。
悪党にとってはやりづらいことこの上ない。
だから交渉役を引き受け、引き延ばし作戦をしている。
金銀財宝が入った宝箱を慎重に移していく手下たち。
「これで最後です」
「今だ! 」
隙を突く。これがラストチャンス。
自分の船に戻り数え始めた海賊たち。
「親分! 凄いですよ」
「馬鹿者! これは全て俺の物だ! 」
ここまでの収穫は珍しいのだろう。
奴らが金銀財宝に目が眩んでいる隙に急いで船を発進させる。
奴らは気づく様子もなくただひたすら金銀を数えている。
「発進! 」
運を味方につけた。
奴らの船とは方向が逆で仮に追い駆けようとしても大回りしなければならない。
拿捕した場所は狭い為急いで大回りすると船体に傷がつくだけでなく沈む恐れさえある。
慎重に。慎重に。
「親分! 奴ら逃げましたぜ! 」
「何? 」
「急いで! 見失ってしまう」
「ふふふ…… 馬鹿な奴らだ。どこに逃げようと言うんだ? 奴らの進む方は行き止まりだ」
「海ですぜ親分。行き止まりはないっすよ」
「馬鹿! あの辺は浅瀬になっている」
「ああそう言えば…… 」
「奴らの乗ってきた船では通り抜けるのはまず不可能。
気付いた時には浅瀬に乗り上げているか動きが取れなくなっているかのどちらかだ。追い立てられてまんまと罠にはまったのさ。」
「罠ですか…… 恐ろしい」
「だから逃げても無駄ってわけだ。あるのは無人島ぐらいのものだ」
もう袋のネズミ。
「するとキャプテンはわざと逃がして遊んでいると? 」
「ああ。少しは楽しみたい」
一時間が過ぎた頃全速力で通過しようと突っ込んでくる船。
まさか見逃すはずもない。
船はたちまち進路を塞がれてしまう。
万事休す。
「おい降りろ! 俺らを舐めやがって! 」
怒り狂うキャプテン。
交渉は意味をなさない。
「ここで沈んでもらうぞ! はっははは! 」
そう言うと船を壊しにかかる。
「止めてくれ! 」
「もう遅い! 」
「大人しく従っていればいいものを無駄な抵抗をしやがって! 」
ガンガン
ドンドン
海賊たちの怒りは相当な物。
金目の物を奪うことなくただひたすら破壊行為を繰り返す。
こうなっては成す術はない。
潔く諦めるしかない。
船は沈み乗客全員が海の藻屑と化した。
大事件。
だがどこも大々的に取り上げようとしなかった。
皆海賊の力を恐れている。
明日は我が身と言わんばかり。
そうして月日は流れた。
現在。
海賊船によって無残に切り捨てられた船舶。
だが実際には宝は沈んでいないのではないかという論調がなされるようになった。
沈没船を発見した後に中を調査したところ何も発見されなかったと言う。
この船がその時の沈没船とは断定できないがこう考えるようになった。
宝はどこかに隠されたのではないか?
可能性があるのは近くの島。
財宝は近くの無人島に隠されたのではないかとの噂が広まった。
確かに近くに島があったのは確かのようだ。
だがそれがどこか未だにはっきりしていない。
一種のホラ話として広がってしまい最近になって再び注目されている。
失われた財宝を求めてハンターたちは動き出した。
【続】
結果的に島を守ることにもなった。
一体奴らは何者だったのだろうか?
聞き出す前に息絶えた者ども。
やり過ぎたかなあ。
アイミに唆されなければこんな惨劇にはならなかったはずだ。
いくら煽られようと本来の俺だったらこんなことはしない。
まるで島に毒されてしまったかのように。
自分が自分でない気がする。
ふう……
今更後悔しても遅い。
反省は大事だが過ぎたことに拘り過ぎも良くない。
未来が大事だ。前を向く。
最終章へ。
その前に……
歴史を少しだけ振り返る。
海賊史。
一隻の船が何も知らずに危険地帯に侵入。
海賊たちの格好の獲物となった。
ハアハア
ハアハア
「もうダメ! 」
「ここを通りたければ通行料を払え! 」
海賊船が二隻通行を邪魔する形で止まる。
完全に進路を塞がれてしまった。
「分かりました。おいくらでしょうか? 」
ここは相手の機嫌を損ねないように従う。
「物分かりがいいな。よし積み荷を全部頂く」
「それはちょっと…… 」
「抵抗する者は消えてもらう。いいな? 」
ははは!
うおおお!
「いいぞ! いいぞ! 」
海賊たちは酒を喰らい大騒ぎ。
本来なら気づくであろう違和感に気付いていない。
「これが全てです。お引き取り下さい」
「おいおい。まだ隠しているだろう? 全部と言ったはずだ」
「これは献上する品。どうかこれ以上はお止めください」
海賊相手に粘り強く交渉するも奴らも慣れている。
「さっさと出せ! 」
脅しをかける。
「分かりました。少々お時間を頂ければ」
「嫌だね! お前は信用ならない」
まさかこの私を信用していた?
「これだけは! これだけは! お止めください」
「中身は何だ? 正直に答えろ! 」
「金銀財宝です」
「ほう。それは珍しい物を運んでいるな。まず半分をこちらの船に積め! 」
「どうか…… 」
「お前らの命と引き換えだ。安い物だろう」
「しかし…… 」
「親分来ちまいますぜ! 」
手下が騒ぎ出した。
「ああ分かった」
海賊たちはお上を恐れている。
この海域では毎日のように船舶が海賊に襲われてそのほとんどが殺されるか沈められるかのどちらかで警戒海域でもあり巡視船が目を光らせている。
悪党にとってはやりづらいことこの上ない。
だから交渉役を引き受け、引き延ばし作戦をしている。
金銀財宝が入った宝箱を慎重に移していく手下たち。
「これで最後です」
「今だ! 」
隙を突く。これがラストチャンス。
自分の船に戻り数え始めた海賊たち。
「親分! 凄いですよ」
「馬鹿者! これは全て俺の物だ! 」
ここまでの収穫は珍しいのだろう。
奴らが金銀財宝に目が眩んでいる隙に急いで船を発進させる。
奴らは気づく様子もなくただひたすら金銀を数えている。
「発進! 」
運を味方につけた。
奴らの船とは方向が逆で仮に追い駆けようとしても大回りしなければならない。
拿捕した場所は狭い為急いで大回りすると船体に傷がつくだけでなく沈む恐れさえある。
慎重に。慎重に。
「親分! 奴ら逃げましたぜ! 」
「何? 」
「急いで! 見失ってしまう」
「ふふふ…… 馬鹿な奴らだ。どこに逃げようと言うんだ? 奴らの進む方は行き止まりだ」
「海ですぜ親分。行き止まりはないっすよ」
「馬鹿! あの辺は浅瀬になっている」
「ああそう言えば…… 」
「奴らの乗ってきた船では通り抜けるのはまず不可能。
気付いた時には浅瀬に乗り上げているか動きが取れなくなっているかのどちらかだ。追い立てられてまんまと罠にはまったのさ。」
「罠ですか…… 恐ろしい」
「だから逃げても無駄ってわけだ。あるのは無人島ぐらいのものだ」
もう袋のネズミ。
「するとキャプテンはわざと逃がして遊んでいると? 」
「ああ。少しは楽しみたい」
一時間が過ぎた頃全速力で通過しようと突っ込んでくる船。
まさか見逃すはずもない。
船はたちまち進路を塞がれてしまう。
万事休す。
「おい降りろ! 俺らを舐めやがって! 」
怒り狂うキャプテン。
交渉は意味をなさない。
「ここで沈んでもらうぞ! はっははは! 」
そう言うと船を壊しにかかる。
「止めてくれ! 」
「もう遅い! 」
「大人しく従っていればいいものを無駄な抵抗をしやがって! 」
ガンガン
ドンドン
海賊たちの怒りは相当な物。
金目の物を奪うことなくただひたすら破壊行為を繰り返す。
こうなっては成す術はない。
潔く諦めるしかない。
船は沈み乗客全員が海の藻屑と化した。
大事件。
だがどこも大々的に取り上げようとしなかった。
皆海賊の力を恐れている。
明日は我が身と言わんばかり。
そうして月日は流れた。
現在。
海賊船によって無残に切り捨てられた船舶。
だが実際には宝は沈んでいないのではないかという論調がなされるようになった。
沈没船を発見した後に中を調査したところ何も発見されなかったと言う。
この船がその時の沈没船とは断定できないがこう考えるようになった。
宝はどこかに隠されたのではないか?
可能性があるのは近くの島。
財宝は近くの無人島に隠されたのではないかとの噂が広まった。
確かに近くに島があったのは確かのようだ。
だがそれがどこか未だにはっきりしていない。
一種のホラ話として広がってしまい最近になって再び注目されている。
失われた財宝を求めてハンターたちは動き出した。
【続】
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる