夏への招待状 失われた記憶と消えゆく少女たち 無人島脱出お宝大作戦

二廻歩

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侵入者

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お宝はもう目の前。
山小屋へ。
中に入ってみる。
うん?
一通り見たが特段変わった感じはしない。
まさかこんなところに隠されているはずがない。
ただの山小屋だ。

もう一度念入りに見て回る。
やはりおかしい所は見当たらない。
あえて挙げればこのカレンダーに時計ぐらいなものだ。
外から持ち込まれたもの。
カレンダーは埃をかぶっている。
年一回は人の手があるのか今年のカレンダーが掛っている。
時計も電池が切れているだけでまだ使える。
おかしいな。やはりここではないのか?
茶色っぽい箱が目に入った。
あれどこかで?
錯覚かな。
とりあえず全ての違和感を取り除く。

箱を持ち上げる。
特に変わりない。
振ってみる。
最後に中身を空ける。
ヒラヒラ
茶色の紙が舞う。
これは?
『PT』
アルファベット二文字が記されていた。
『PT? 』
聞いた事も見た事もない。
『PT』とは何だ?
再び宝さがしは暗礁に乗り出した。
とりあえず手掛かりは見つかった。
『PT』の意味さえ分れば……

帰るか。
山を下りみんなの元へ。
宝を見つけるのが先か。
記憶を取り戻すのが先か。
どちらにしろ今やれることは無い。
今日は疲れた。
もう寝るとしよう。
リンも亜砂も誰も口を聞いてくれなくなった。
確かに彼女たちの言い分もある。
だが宝があると分かった今全力を尽くさないでどうする。
よそよそしい態度の少女たちは何かを訴えかけているようにも見える。
おやすみ。
昨日に引き続き空蝉がベッドの端で待機。
何も話すことなく眠る。

翌日。
大変な出来事が起きた。
船が上陸したのだ。
久しぶりの船。
これでようやく脱出できる。
笛を鳴らす。
俺はここだぞ!
奴らは一体何者だろう?
本当に信用していいのだろうか。
とりあえず話し合うしかない。

「おーい! 」
「おーい! 」
こちらの存在に気付いてくれた?
「ダメよ! 冷静になって! 」
亜砂が止めに入る。
脱出のチャンス。
逃すわけにはいかない。
「奴らは敵よ。近づいてはダメ! 」
「敵だと? 」
「奴らは宝を奪いに来たの! 」
にわかには信じられない。
「博士の仲間が心配して見に来たと思うのが普通では」
「博士の仲間はそうかもしれない。でも財宝を前にしたら誰でも裏切る。間違えなく独り占めする気よ」
どうしたのだろうか? 救助の船が来たと思うのが普通だろう。
「お兄ちゃん騙されないで! 」
リンも懇願する。
「いやしかし…… 」

「隠れるのよ! 」
ムーちゃんが腕を掴む。
「こっち! 」
裏口から出て伸び放題の雑草の陰に隠れる。
「おい! 他の者は大丈夫か? 」
「今はここで過ぎ去るのを待つの! 他の人のことを考えてる時ではありません」
「分かったよ…… 」
「それでいいんです」

上陸した男たちはコテージに雪崩れ込む。
「誰かいないか? 」
「探せ! 隈なく探せ! 」
「何か見つけたか? 」
「ありません! 」
「手掛かりを探せ! 」
騒々しい客人。
騒ぐだけ騒いで出て行った。
これは少なくても人を助けようと言う感じではない。
もし笛を吹き手でも振った日には襲われていただろう。
格好の餌食だ。
それにしても奴らは一体何者?
謎の侵入者の目的は分からないまま。船に引き返していった。

助かった!
いや、本当に助かったのだろうか?
彼らは何者?
これはまずい。

少女たちは捕まることなく無事に戻ってきた。
「大丈夫だったか? 」
「うん。楽勝! 」
亜砂が飛び跳ねる。
「ねえこのまま返していいの? 」
アイミが唆す。まだ戦闘態勢を維持している。
船はまだ動いていない。
確かにまた戻ってくる恐れもあるが……
「彼らは敵よ。無事に返せば再び戻ってくるかもしれない」
狙いがこの島に眠るお宝なら当然そうだろう。
疑問なのはどうやって嗅ぎつけたかと言うことだ。
元々嗅覚は鋭い。
宝の匂いに釣られてやって来ても不思議ではない。

「ゲンジ! 」
「ゲンジさん! 」
「お兄ちゃん! 」
大人しいリンまで焚き付けてくる。
「いいのか? 本当に」
「うん」
「しょうがないな。よし武器を取れ! 」
「おう! 」
シャベルやスコップを持って船に駆け込む。
「うおおお! 」
奇襲攻撃。
船から男たちを引きずり下ろし容赦なく制裁を加える。
「この島に近づくな! 宝は宝は俺の物だ! いいから大人しくしろ! 」
「うおおお! 」
「止めてくれ! 俺らはただ…… 」

「うん? 」
体に衝撃が走る。
船が動き出した。
ガンガン!
ガンガン!
船にショックを与えて止めようとしたがスピードを上げ沖に去って行く。
これだけのショックを与えればもう戻ってくることもあるまい。

引きずり降ろされた男たちは下手な言い訳で逃れようとする。
「宝? 何のことだ? 」
「そうだ。我々は友の行方を追っていただけだ」
「お願いします。命だけは! 」
懇願する侵入者。
だが許すわけにはいかない。
秘密が知られても困る。

合図を送る。
「やれ! 」
スコップとシャベルを振り上げる。
「嘘だろ? 止めろ! 止めてくれ! 」
有無を言わせずに叩き込む。
マリンブルーの海が赤く染まった。
「後処理は任せた! 」
彼らのその後がどうなったかは誰も知らない。

                  【続】

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