夏への招待状 失われた記憶と消えゆく少女たち 無人島脱出お宝大作戦

二廻歩

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ラビリンス

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現在。
「うおおお! 」
「どうしました? 」
「いや何でもない…… 」
「ずいぶんうなされていましたよ」
「嫌な夢を見た」
隣で眠る空蝉。
起こしてしまったかな。
「最近ずっと同じ夢を見るんだ」
「そうですか…… 無理をしないでください。疲れているんですよきっと」
空蝉は気遣ってくれる。
彼女もやはり知っているのか?
「なあ。空蝉。知ってることがあったら教えてくれ」
「宝ですか? 私には分かりません。もう寝ましょう」
とぼける。
「まあいい。それよりも頼まれてくれないか」
じっと見つめる。
彼女は我慢できずに視線を逸らす。
「私にできることであれば何でも」
「いや簡単なことだよ。朝起こしてくれないか。どうも良く分からないんだが朝起きられずに昼まで寝てしまう。
どうしたものか…… 」
「それは改善しなければなりませんね」
空蝉は乗り気だ。
「ですがすぐには無理と言うものです。ちょっとずつ頑張っていきましょう」
「そんなものか? 」
「はい。お任せください」
空蝉は協力する振りをしているが決して叩き起こすとは言っていない。
うまい断り方だ。
舐められているのだろうか?
「さあ寝ましょう」
「そうだな」
再び眠りにつく。

翌朝。
男が砂浜に立っていた。
周りには少女たちの姿が見える。
「そうかそうか。教えちまったか」
「リンが…… 」
「だって…… 」
「言い訳は良い。もう思い出しかけているようだ。分かっていると思うが奴の記憶が戻ったらお前らの命はない」
「そんなあ…… 」
「前にも忠告しただろ! もう僅かな命。悔いの無いように過ごすんだな」
「わっははは! 」 
「よし解散! 」
女たちは姿を消した。
まったくこっちだって辛いんだからな。
あーあ。やってられない。
姿を消す。

昼。
いつものように目を覚ます。
あーあ、良く寝た。
ビーチに集まっている少女たちを引き連れて宝さがしを開始する。
「お兄ちゃん。どこに行くの? 」
「さっきから言ってるだろ。この道を進んでRAを探すって」
「止めようよお兄ちゃん」
リンは明らかに乗り気でない。それどころか宝さがしを快く思っていない。
他の者も邪魔する気満々。
「今日はみんなで海で遊ぼうよ」
「それがいいよゲンジ」
亜砂も引き留めようとする。
「うるさい! お前らだけで遊んでろ! 」
「ええっ? 」
「ゲンジ! 」
「お前らは付いてこなくていい! 」
少しもったいなかったかな。ついつい感情的になってしまう。
彼女たちの助けは不可欠なのに。
一人で捜索する。

「RA、RA、RA」
海岸沿いを西に歩く。
伸び放題の雑草を選り分けて前に進む。
コンパスを見る。
まただ……
西に真っ直ぐ歩いているはずなのになぜか逆の東を指している。
このコンパスが狂っているのか?
いやそれはあり得ない。さっきまで正確に西を指していた。
うーん。どういうこと?
混乱する。
前回迷った時も感じた違和感。
導き出される答えはこれしかない。
そうかこの辺りはコンパスが狂ってしまうのだ。
でもどうして?
磁気の影響か?
とにかくこの辺りはコンパスを信じて進むと大変なことになる。
気をつけなければ。
地図に書きこむ。
ここは迷子ゾーン。
大変危険と。

そうかここは迷宮の入り口なんだ。
うん?
何か閃いたような気がする。
迷子?
迷宮?
そうか! ようやく解けたぞ!
RAはラビリンスのことだ。
即ち迷宮だ。
これで暗号が解けた。
後は行くだけだ!
最後の場所。
JPへ。

俺の勘が正しければJPとは宝のこと。
ジャック・ポット
宝が埋まっているに違いない。
迷宮を抜け管理された果樹園の一画を越え南に向かう。
そうするとすぐに山が見えてくる。
さあ急ごう!
昼を過ぎたころには山道を歩いているだろう。
はあはあ
はあはあ
あと半分までやって来た。
博士……
あれ変だな。確か山を登るのは二回目のはず。
記憶にはないが体が覚えているのか足が勝手に動く。
博士!
頂上を目の前にした途端急に体が反応する。
すいません。うん?
追い立てられている錯覚に陥る。

到着!
はあはあ
はあはあ
息が上がる。
重い荷物を持ち走れば当然そうだろう。
何かがおかしい? 何だ?
まあいいか。
荷物を降ろしスコップを取り出す。
さあ目の前だ!
掘り返す。
だが簡単には見つからない。
ここにはないか。
あれ?
よく見ると掘り返された跡がある?
前回はまったく気づかなかったなあ。
ここら辺はもう全部掘り返されているみたいだ。
先を越されたか?
誰に?
スコップを手に取る。
再び掘る。
やっぱりダメか。
手掛かりさえあればいいんだが。
動かす手を止めない。

疲れた。いったん休憩。
目の前に広がる絶景に心が奪われる。
深呼吸。
ヤッホー!
ヤッホー!
一通り終えスコップを手にする。
博士!
ガンガン!
ガンガン!

俺は一体どうしたって言うんだ
変な映像が頭に流れこんでくる。
俺は何をした?
博士はどうした?
頭が痛い。
少しずつ靄が晴れていく。
俺は……
やってない! やってないよね?
どうしよう。
頂上でパニック。
これは高山病の一種か?

ダメだ!
スコップを投げ捨てる。
JPはどこにあるんだ?
ふと山小屋に目がいく。
もしかしたらこの山小屋に隠されているとか?
そうだ! そうに違いない!
中へ。

                          【続】
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