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空蝉との思い出 危険なプレー
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失踪した空蝉。
本当に戻ってくるのだろうか?
昨夜の思い出がよみがえる。
ベッドに空蝉の姿がない。
おかしいな…… 今夜は空蝉の番なんだが。
先に寝てしまおうか。
ふと窓の外を眺める。
あれ空蝉?
月明りに人の影。
「おい空蝉! 」
「ゲンジさん…… 」
「どうした眠れないのか? 」
「お願い抱きしめて! 」
冗談? でも顔が笑ってない。それどころか…… 泣いてる?
「空蝉…… 」
「怖い…… 怖いんです! 」
「何が怖いんだ? 」
「あなたと別れるのが! 」
「何を言っている。しっかりしろ! 」
「もう会えないんです。ごめんなさい」
訳が分からない。
「大丈夫か空蝉? 」
「触らないで! 近寄らないで! 」
瞳から涙が零れ落ちる。
一体どうしてしまったんだ?
「どうした落ち着け! 」
リンや亜砂と違って初めてのこと。
どうすればいいのか分からない。
不安を取り除くしかないが……
「心配するな。また戻ってくる! ここに戻ってくる! 約束だ! 」
「ダメなんです! ダメなんです! 」
説得は困難。
どうしてこうなったのだろう?
空蝉が壊れてしまった。
もう元のおしとやかな少女には戻れない。
激情が彼女を変えてしまった。
俺が何をしたと言うんだ?
「教えてくれ。俺は! 俺はどうすればいい? 」
空蝉は黙ったまま下を向く。
とにかく落ち着かせるしかない。
「分かったよ。もう何も言わない。だから俺の元に居てくれ! 」
「ゲンジさん…… 」
「頼む! 」
まだ沈んでいるとはいえ何とか落ち着かせられた。
夜の海でデート。
夜の海は最高。
相手の表情がよく見えないので緊張することもない。
思いっ切りロマンチックなことを言っても相手が喜んでいるのか嫌がっているのか分からない。恥ずかしがる必要はないのだ。
ちょっと経ったところで抱き寄せて一言添えればキスを拒むことは無い。
経験だ。経験によるものだ。
決して妄想や願望の類ではない。
「さあおいで」
二人の愛を確かめようではないか。
「落ち着いたかい? 」
「はい。取り乱してしまいました」
「私はどうしたのでしょう? 」
「疲れているんだよ。俺もこの生活に嫌気がさしてきた。元の生活に戻りたい。そう思うようになったんだ」
「うふふ…… 」
「おかしいか? 」
「ええ、とっても」
「酷いなあ。君を思ってさあ…… 」
「ごめんなさい。でも元の生活って何ですか? 」
「元の生活は元の生活さ…… 」
「分からないんですよね? 」
「ああ分からない。訳が分からない。君が何を言ってるのか理解できない! 」
「まだそんなこと言うんですか」
「うるさい! 」
いつの間にか立場が逆転してしまった。
彼女を慰めているつもりが確信を突く一言に言葉が出てこない。
「もちろん故郷さ。俺が生まれた村に戻りたい。純粋にそう思うだけだ」
「あらあら。村ですか。おかしいですね。ゲンジさんの出身は町のはずですよ」
「ははは! 言葉の綾だよ」
「言葉の綾? 」
「いやいや。里に戻るってこと」
「おかしいですね。自分の生まれもどこか分からないなんて」
「記憶を失ったからな」
「今はどうですか? 」
「徐々に記憶を取り戻しているよ」
「まあいいでしょう」
「ほら俺を困らさないでくれ」
空蝉を抱き寄せる。
「なあいいだろ? 」
「分が悪くなるとすぐこれなんですから」
「嫌か? 」
「どうでしょう」
「いいじゃないか。誰も見てやしない」
「もうゲンジさんたら…… 」
「まずい誰か来る」
ムーちゃんだ。
このままでは見つかる。
どうしよう?
しょうがない。ここは一旦引くとするか。
空蝉の手を掴み隠れる。
別にまだ怪しまれるようなことはしてないが。
ムーちゃんをかわしコテージに戻る。
「さあ寝ましょう」
ベッドで横になる。
「空蝉! 」
「お静かに! 起きてしまいます」
亜砂とリンが気持ちよさそうに寝息を立てている。
起こさないようにそうっと戻る。
「さあ続きをお願いします」
ついに運命の一夜を過ごすことに。
「空蝉! 」
「ゲンジさん! 」
「空蝉! 空蝉! 」
「ゲンジさん! もう…… 」
俺もどうかしちまったのかな?
確かに閉鎖された島に閉じ込められて我慢の限界ではあるもののいくらなんでもいきなりこの展開。戸惑うが体の方は正直だ。
来る者は拒まず。
できたら受動的ではなく俺の方から仕掛けたい。
それがマナーでもある。
真っ暗な部屋。
リンの寝言だって聞こえる。
ベッドの横に亜砂も感じる。
ふう。
汗を拭う。
「本当に良いのか? 」
「はい」
「嫌じゃないのか? 」
「はい」
「後悔しないか? 」
「今夜しなければもうダメなんです」
「もう一度聞く。いいんだな? 」
「はい」
どれだけ立ち止まろうとしたことか。
空蝉が心変わりしてくれたらなと正直思う。
もちろん嫌いじゃない。
いつもの空蝉を見ていればどれだけ魅力的か分かるものだ。
ああ欲しい! 欲しい!
何度と思ったことか。
ついにこの日が来た。
でもやっぱり俺には引っかかるんだ。
拭えない猜疑心。
俺はどこまで小心者なのか。
彼女の心はもうとっくに決まっていると言うのに。
情けない。
自分が本当に情けない。
【続】
本当に戻ってくるのだろうか?
昨夜の思い出がよみがえる。
ベッドに空蝉の姿がない。
おかしいな…… 今夜は空蝉の番なんだが。
先に寝てしまおうか。
ふと窓の外を眺める。
あれ空蝉?
月明りに人の影。
「おい空蝉! 」
「ゲンジさん…… 」
「どうした眠れないのか? 」
「お願い抱きしめて! 」
冗談? でも顔が笑ってない。それどころか…… 泣いてる?
「空蝉…… 」
「怖い…… 怖いんです! 」
「何が怖いんだ? 」
「あなたと別れるのが! 」
「何を言っている。しっかりしろ! 」
「もう会えないんです。ごめんなさい」
訳が分からない。
「大丈夫か空蝉? 」
「触らないで! 近寄らないで! 」
瞳から涙が零れ落ちる。
一体どうしてしまったんだ?
「どうした落ち着け! 」
リンや亜砂と違って初めてのこと。
どうすればいいのか分からない。
不安を取り除くしかないが……
「心配するな。また戻ってくる! ここに戻ってくる! 約束だ! 」
「ダメなんです! ダメなんです! 」
説得は困難。
どうしてこうなったのだろう?
空蝉が壊れてしまった。
もう元のおしとやかな少女には戻れない。
激情が彼女を変えてしまった。
俺が何をしたと言うんだ?
「教えてくれ。俺は! 俺はどうすればいい? 」
空蝉は黙ったまま下を向く。
とにかく落ち着かせるしかない。
「分かったよ。もう何も言わない。だから俺の元に居てくれ! 」
「ゲンジさん…… 」
「頼む! 」
まだ沈んでいるとはいえ何とか落ち着かせられた。
夜の海でデート。
夜の海は最高。
相手の表情がよく見えないので緊張することもない。
思いっ切りロマンチックなことを言っても相手が喜んでいるのか嫌がっているのか分からない。恥ずかしがる必要はないのだ。
ちょっと経ったところで抱き寄せて一言添えればキスを拒むことは無い。
経験だ。経験によるものだ。
決して妄想や願望の類ではない。
「さあおいで」
二人の愛を確かめようではないか。
「落ち着いたかい? 」
「はい。取り乱してしまいました」
「私はどうしたのでしょう? 」
「疲れているんだよ。俺もこの生活に嫌気がさしてきた。元の生活に戻りたい。そう思うようになったんだ」
「うふふ…… 」
「おかしいか? 」
「ええ、とっても」
「酷いなあ。君を思ってさあ…… 」
「ごめんなさい。でも元の生活って何ですか? 」
「元の生活は元の生活さ…… 」
「分からないんですよね? 」
「ああ分からない。訳が分からない。君が何を言ってるのか理解できない! 」
「まだそんなこと言うんですか」
「うるさい! 」
いつの間にか立場が逆転してしまった。
彼女を慰めているつもりが確信を突く一言に言葉が出てこない。
「もちろん故郷さ。俺が生まれた村に戻りたい。純粋にそう思うだけだ」
「あらあら。村ですか。おかしいですね。ゲンジさんの出身は町のはずですよ」
「ははは! 言葉の綾だよ」
「言葉の綾? 」
「いやいや。里に戻るってこと」
「おかしいですね。自分の生まれもどこか分からないなんて」
「記憶を失ったからな」
「今はどうですか? 」
「徐々に記憶を取り戻しているよ」
「まあいいでしょう」
「ほら俺を困らさないでくれ」
空蝉を抱き寄せる。
「なあいいだろ? 」
「分が悪くなるとすぐこれなんですから」
「嫌か? 」
「どうでしょう」
「いいじゃないか。誰も見てやしない」
「もうゲンジさんたら…… 」
「まずい誰か来る」
ムーちゃんだ。
このままでは見つかる。
どうしよう?
しょうがない。ここは一旦引くとするか。
空蝉の手を掴み隠れる。
別にまだ怪しまれるようなことはしてないが。
ムーちゃんをかわしコテージに戻る。
「さあ寝ましょう」
ベッドで横になる。
「空蝉! 」
「お静かに! 起きてしまいます」
亜砂とリンが気持ちよさそうに寝息を立てている。
起こさないようにそうっと戻る。
「さあ続きをお願いします」
ついに運命の一夜を過ごすことに。
「空蝉! 」
「ゲンジさん! 」
「空蝉! 空蝉! 」
「ゲンジさん! もう…… 」
俺もどうかしちまったのかな?
確かに閉鎖された島に閉じ込められて我慢の限界ではあるもののいくらなんでもいきなりこの展開。戸惑うが体の方は正直だ。
来る者は拒まず。
できたら受動的ではなく俺の方から仕掛けたい。
それがマナーでもある。
真っ暗な部屋。
リンの寝言だって聞こえる。
ベッドの横に亜砂も感じる。
ふう。
汗を拭う。
「本当に良いのか? 」
「はい」
「嫌じゃないのか? 」
「はい」
「後悔しないか? 」
「今夜しなければもうダメなんです」
「もう一度聞く。いいんだな? 」
「はい」
どれだけ立ち止まろうとしたことか。
空蝉が心変わりしてくれたらなと正直思う。
もちろん嫌いじゃない。
いつもの空蝉を見ていればどれだけ魅力的か分かるものだ。
ああ欲しい! 欲しい!
何度と思ったことか。
ついにこの日が来た。
でもやっぱり俺には引っかかるんだ。
拭えない猜疑心。
俺はどこまで小心者なのか。
彼女の心はもうとっくに決まっていると言うのに。
情けない。
自分が本当に情けない。
【続】
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