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運命の日
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とりあえず休憩。
うーん。いい気分だ。
サクサク
ザクザク
変な音がする。
ザクザク
ザクザク
幻聴? いや違う。
やはり聞こえる。何だ?
「お兄ちゃん! お兄ちゃん! 」
ザクザク
ザクザク
遠くの方でリンが呼びかけている。だが何を言っているのかよく聞き取れない。
俺はどうしちまった?
頭が! 頭が!
痛い。もうダメだ! リン!
目を覚ます。
「おい大丈夫か? 」
見覚えのない顔があった。
もしかしたらどこかで会ったことがあるのかもしれないがいまいち思い出せない。
「ああ、もう一度言ってくれ? 」
「手伝ってくれないか? 俺一人の手では無理なんだ」
「しかし…… 」
「あったんだよ! 」
「そんな馬鹿な! 」
「おいおい。そんな顔をするなよ。分け前ならやるから」
「分け前? 要らないよ! 」
「頭の固い奴だな! 俺たちが協力すれば簡単さ」
「やっぱりやるのか? 」
「ああ。当然だろ」
「だって興味ないって…… 」
「あの時はそうだったさ。だが今の俺は違う」
「やっぱりね…… こうなると思ったよ」
「おい! どうした? 」
「ごめんね」
「なぜ謝る? 」
「こうするしかないんだ」
「止めろ! 止めてくれ! 」
うわああ!
「ゲンジ! ゲンジ! 俺が…… 」
「お兄ちゃん! お兄ちゃん! 」
「うん? リン! リンなのか? 」
「どうしたの? うなされていたよ」
リンの姿を捉えた。
「いやちょっとな…… 」
疲れて寝てしまったようだ。
「大丈夫? 」
「問題ない。もう用は済んだろ? 」
「うん」
「よし帰るぞ! 」
「お兄ちゃん待って! 」
うん? 太陽が隠れてしまった。
風が強まっている。
空も暗くなり始めた。
これはよくない兆候だ。
一雨くるか?
「急ごう! 」
「うん! 」
山を離れFLを経由して岩場近くまで走ってきた。
「リンしっかり掴まれ! 」
一歩も動けないと駄々をこねたので背負ってやることにした。
「早く帰ろうよお兄ちゃん! 」
「ああ。分かってるから騒ぐな! 」
雷が遠くの空から聞こえる。
まずい。これはヤバイ。
十分もしないうちに雷雨となった。
「ぐぉ! 」
リンが首を絞める。
「何しやがるリン? 」
「怖いよう! 怖いよう! 」
まったく……
「急ごう。もうコテージもすぐそこだ」
「お兄ちゃん頑張って! 」
「リン! しっかり掴まれ! 」
「ほーい」
ぎゅうう!
「リン? あれリン? 」
呼び掛けには応じない。
眠ってしまったのか?
なぜか異様に軽い。
まるで感じない。
リンの重さも温かみも感じられない。
どうしてしまったんだ?
「リン! リン! 」
「ごめんね。お兄ちゃん! 」
「謝るな! 何を言っている? 」
ギャーン!
ガガガーン!
その時雷が落ちた。
物凄い音を立て近くの木に落雷。
危うく直撃するところだった。
「くそ! まずいぞ! 」
ダッシュ!
よしビーチだ。
コテージは目の前。
雷が直撃する前にコテージに駆け込む。
ふう。助かった。
ガガガーン!
またどこかに落ちたらしい。
危ない。危ない。
難を逃れた。
「リン! 助かったぞ! リン! 」
「ああ。お兄ちゃん。ごめん眠っちゃった」
目を擦り欠伸をするリン。
朝食べ残したリンゴをかじる。
「お兄ちゃんもどう? 」
「ああ。ありがとう」
「ホイ」
お礼だそうだ。
さあ食事にするかな。
と言っても今日は何も取ってこなかった。
缶詰ももうない。
仕方なくリンゴで腹を誤魔化す。
「おやすみ」
雷も収まり辺りは静けさに包まれた。
翌朝。
ビーチに人影。
「リンよ。お前には悪いが今日で最後となる」
「うん? リン分かんない! 」
「甘えた声を出すな! これは忠告だ」
「ええっ? 」
「もう奴も限界だ」
「お兄ちゃん…… 」
「昨日のことで封印した記憶が完全に蘇ってしまった。残念だよ。君が消えてなくなるのが実に惜しい」
「そんな…… 」
「伝えたからな。後は勝手にしろ! 」
「お兄ちゃん…… 」
いつまでもその場を動こうとしないリン。
ショックが大きすぎる。
「ちっ! 余計なことをしちまったかな。あーあ。俺もお人好しだな。これでまた振り出しか」
昼。
うーん。良く寝た。
リン? リン?
リンの姿が見えない。
また勝手にどこかに行ったのだろう。
うん? 何だこのメモは?
『もう時間が無い! 』
『リンを救ってやれ! 』
何だこれ? 気持ち悪い。
リン? そうだリンを探さなくては。
おーい! リーン!
返事が無い。
近くにはいないようだ。
仕方がないなあまったく……
運命の日。
「リン! リン! 」
やっぱりそこにいたか。
リンは泉の前にボーっと突っ立っていた。
「お兄ちゃん…… 」
「どうした浮かない顔をして? 」
「リンね。今日でお終いなの」
「うん? どういうことだ? 」
「お兄ちゃんの記憶が戻るんだって。良かったね」
いい訳が無い。リンだってそれくらい分かるはず。
「怖いお兄ちゃんが言ってたよ。もう時間の問題だって」
「あいつまだそんな戯言を? これは俺たちを嵌める罠だ。心配なんてしなくていい! 」
「ありがとうお兄ちゃん。でもね…… リンなんとなく分かるんだ」
「分かる? 馬鹿な! 勘違いに決まってる! 」
「もうすぐ消えて無くなる。リンいなくなっちゃうんだよ」
「惑わされるな! これは奴の周到な作戦だ」
「でも…… 体にも変化があるし…… 」
体? そう言えば昨日背負った時はかなり軽かったような気がする。
「リン! 」
「ごめんねお兄ちゃん。リン行くね」
「リン! 待ってくれ! 」
やはりリンも他の者同様求めている。
瞳が訴えている。
リンは受け入れた。
自分の運命から逃れようとはしていない。
自然に受け入れようとしている。
「リン! 」
「お兄ちゃん! 」
ついに恐れていたことが起きた。
気をつけていたつもりだったのに。
思い出したくないものを思い出し、
失いたくないものを失くしてしまう。
これで俺は独りぼっちだ。
【続】
うーん。いい気分だ。
サクサク
ザクザク
変な音がする。
ザクザク
ザクザク
幻聴? いや違う。
やはり聞こえる。何だ?
「お兄ちゃん! お兄ちゃん! 」
ザクザク
ザクザク
遠くの方でリンが呼びかけている。だが何を言っているのかよく聞き取れない。
俺はどうしちまった?
頭が! 頭が!
痛い。もうダメだ! リン!
目を覚ます。
「おい大丈夫か? 」
見覚えのない顔があった。
もしかしたらどこかで会ったことがあるのかもしれないがいまいち思い出せない。
「ああ、もう一度言ってくれ? 」
「手伝ってくれないか? 俺一人の手では無理なんだ」
「しかし…… 」
「あったんだよ! 」
「そんな馬鹿な! 」
「おいおい。そんな顔をするなよ。分け前ならやるから」
「分け前? 要らないよ! 」
「頭の固い奴だな! 俺たちが協力すれば簡単さ」
「やっぱりやるのか? 」
「ああ。当然だろ」
「だって興味ないって…… 」
「あの時はそうだったさ。だが今の俺は違う」
「やっぱりね…… こうなると思ったよ」
「おい! どうした? 」
「ごめんね」
「なぜ謝る? 」
「こうするしかないんだ」
「止めろ! 止めてくれ! 」
うわああ!
「ゲンジ! ゲンジ! 俺が…… 」
「お兄ちゃん! お兄ちゃん! 」
「うん? リン! リンなのか? 」
「どうしたの? うなされていたよ」
リンの姿を捉えた。
「いやちょっとな…… 」
疲れて寝てしまったようだ。
「大丈夫? 」
「問題ない。もう用は済んだろ? 」
「うん」
「よし帰るぞ! 」
「お兄ちゃん待って! 」
うん? 太陽が隠れてしまった。
風が強まっている。
空も暗くなり始めた。
これはよくない兆候だ。
一雨くるか?
「急ごう! 」
「うん! 」
山を離れFLを経由して岩場近くまで走ってきた。
「リンしっかり掴まれ! 」
一歩も動けないと駄々をこねたので背負ってやることにした。
「早く帰ろうよお兄ちゃん! 」
「ああ。分かってるから騒ぐな! 」
雷が遠くの空から聞こえる。
まずい。これはヤバイ。
十分もしないうちに雷雨となった。
「ぐぉ! 」
リンが首を絞める。
「何しやがるリン? 」
「怖いよう! 怖いよう! 」
まったく……
「急ごう。もうコテージもすぐそこだ」
「お兄ちゃん頑張って! 」
「リン! しっかり掴まれ! 」
「ほーい」
ぎゅうう!
「リン? あれリン? 」
呼び掛けには応じない。
眠ってしまったのか?
なぜか異様に軽い。
まるで感じない。
リンの重さも温かみも感じられない。
どうしてしまったんだ?
「リン! リン! 」
「ごめんね。お兄ちゃん! 」
「謝るな! 何を言っている? 」
ギャーン!
ガガガーン!
その時雷が落ちた。
物凄い音を立て近くの木に落雷。
危うく直撃するところだった。
「くそ! まずいぞ! 」
ダッシュ!
よしビーチだ。
コテージは目の前。
雷が直撃する前にコテージに駆け込む。
ふう。助かった。
ガガガーン!
またどこかに落ちたらしい。
危ない。危ない。
難を逃れた。
「リン! 助かったぞ! リン! 」
「ああ。お兄ちゃん。ごめん眠っちゃった」
目を擦り欠伸をするリン。
朝食べ残したリンゴをかじる。
「お兄ちゃんもどう? 」
「ああ。ありがとう」
「ホイ」
お礼だそうだ。
さあ食事にするかな。
と言っても今日は何も取ってこなかった。
缶詰ももうない。
仕方なくリンゴで腹を誤魔化す。
「おやすみ」
雷も収まり辺りは静けさに包まれた。
翌朝。
ビーチに人影。
「リンよ。お前には悪いが今日で最後となる」
「うん? リン分かんない! 」
「甘えた声を出すな! これは忠告だ」
「ええっ? 」
「もう奴も限界だ」
「お兄ちゃん…… 」
「昨日のことで封印した記憶が完全に蘇ってしまった。残念だよ。君が消えてなくなるのが実に惜しい」
「そんな…… 」
「伝えたからな。後は勝手にしろ! 」
「お兄ちゃん…… 」
いつまでもその場を動こうとしないリン。
ショックが大きすぎる。
「ちっ! 余計なことをしちまったかな。あーあ。俺もお人好しだな。これでまた振り出しか」
昼。
うーん。良く寝た。
リン? リン?
リンの姿が見えない。
また勝手にどこかに行ったのだろう。
うん? 何だこのメモは?
『もう時間が無い! 』
『リンを救ってやれ! 』
何だこれ? 気持ち悪い。
リン? そうだリンを探さなくては。
おーい! リーン!
返事が無い。
近くにはいないようだ。
仕方がないなあまったく……
運命の日。
「リン! リン! 」
やっぱりそこにいたか。
リンは泉の前にボーっと突っ立っていた。
「お兄ちゃん…… 」
「どうした浮かない顔をして? 」
「リンね。今日でお終いなの」
「うん? どういうことだ? 」
「お兄ちゃんの記憶が戻るんだって。良かったね」
いい訳が無い。リンだってそれくらい分かるはず。
「怖いお兄ちゃんが言ってたよ。もう時間の問題だって」
「あいつまだそんな戯言を? これは俺たちを嵌める罠だ。心配なんてしなくていい! 」
「ありがとうお兄ちゃん。でもね…… リンなんとなく分かるんだ」
「分かる? 馬鹿な! 勘違いに決まってる! 」
「もうすぐ消えて無くなる。リンいなくなっちゃうんだよ」
「惑わされるな! これは奴の周到な作戦だ」
「でも…… 体にも変化があるし…… 」
体? そう言えば昨日背負った時はかなり軽かったような気がする。
「リン! 」
「ごめんねお兄ちゃん。リン行くね」
「リン! 待ってくれ! 」
やはりリンも他の者同様求めている。
瞳が訴えている。
リンは受け入れた。
自分の運命から逃れようとはしていない。
自然に受け入れようとしている。
「リン! 」
「お兄ちゃん! 」
ついに恐れていたことが起きた。
気をつけていたつもりだったのに。
思い出したくないものを思い出し、
失いたくないものを失くしてしまう。
これで俺は独りぼっちだ。
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