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決断の時
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王子はずいぶんお悩みのようだ。
バッチ…… 奴の思い通りにはさせない。だが武力でねじ伏せるわけにもいかない。
残された選択は王を引退させ後を継ぎバッチを追放するか。このままこの国の行く末を見守るか。
または婚姻後に二人でこの国を去るか。しかし王を引退させたとしても兄たちが黙っていない。
バッチは王のお気に入り。上手く行くはずがない。
ならば残された手は二人で逃げる。それが一番現実的だ。うーむ……
王子は村人と立ち話。もうそろそろ戻りたいんだけど。
「しかし国王も何を考えているんでしょう。おっと…… 」
「父上の考えは民を飢えさせず国を発展させることばかり。そのせいでこの小さな国が危機になっているとも知らずに強引に政策を推し進めている。」
「うーん。我々にはどうしようもありません。お手上げです」
「まあこの国はいずれゴミで一杯になる。それまでに出て行くしかあるまいな」
「王子はそれでよろしいのですか? 」
「分からない。だがもう止めようもない」
ゴミまみれの町はその重さに耐えられずに沈んでいく運命。滅亡の道を辿る。
それが分かっていながら打つ手がない。
「王子! 」
「待たせて済まないステーテル。とにかく早く婚姻しこの国を出て行くしかあるまいな」
情けない王子。理想の王子には程遠い。
それにしても私はどうしたらいいの?
ベイリーの代わりとは言えこのまま大人しくしている訳にもいかないし……
差し迫った脅威。貧乏王国の悲惨な末路。見たくもない。
館に戻る。
ガムは先に戻っていた。
「何か情報ありまして? 」
「いえ。これと言って。ただ急いだ方がいいですね」
ガムは続ける。
「婚礼の儀式に国々からもうお集まりになっています。このままではベイリーが逃げられなくなってしまいます」
「そうね。明日にでも説得を試みようと思うの」
明日では遅いか? 今すぐにでもと言ってもたぶんもう寝てるし。
「このままでも良くありません? 」
もう面倒くさくなってきた。
「なりません! 」
「でもベイリーは王子を慕っているし…… 」
「依頼は依頼です! 」
その頃ベイリーは……
「いい加減にしろ! 帰るぞ! 」
「だって王子様は私たちの憧れなのよ! 」
「それは分かる。だが王子とお前とでは年が離れすぎている」
「そんなこと関係ない! 」
「いや関係大ありだ。ド・ラボーか何か知らないが王子は諦めろ! 」
「お兄ちゃん…… 」
「そんな顔をするな。まだお前は幼い。騙されているんだ」
「誰に? 」
「周りの大人たちにだ」
「でも…… 」
「王子だってステーテルを気に入っている。早く帰るぞ! 」
「そ…… そんな…… 改めて言わないで! 」
ベイリーの傷ついた心は兄の力では癒せない。
翌日。
あと二日で婚姻の儀。
全国から人々が祝福に駆けつける。それまでに何としても王子からベイリーを引き離さなくてはいけない。
コンコン
ベイリーと二人っきりで話す。
「あの…… 」
「心配しないで。私は味方」
「ええっ? 」
「あなたが王子を望むならすぐにでもここを去る。お兄さんは私が説得する」
「でも…… 」
疑いのまなざしを向ける。
「ではこうしましょう。どちらかを選んで」
ベイリーは困惑する。
「王子かお兄さん。もう時間もない。どちらかを説得しなきゃいけないでしょう。本当はあなたを説得するつもりだ
ったんだけどね」
「王子? お兄さん? どっち? 」
強引に話を進める。
「どっちって…… もちろん…… 」
決まっているようだ。ならば話は早い。
「選ぶと言うことはどちらかを捨てると言うことよ。もう二度と会えないの。それでもいい? 」
プレッシャーをかけるつもりはない。でもここでのんびりはしていられない。
「あのね。もう言ってもいいかな。私は王子を選ぶことはない」
ベイリーはさらに困惑する。
「あなたがもし王子を諦めるなら私も諦める。いえ振ることになる。王子は結局誰とも結ばれない。私はね今まで何人もの王子を振ってきた。だから今回もたぶん王子を振ってしまう。それがあなたが振る前か後かの違い。決断するのよベイリー! あなたの王子への強い思いがあるなら問題ないでしょう」
さあどうする?
運命の選択。ここが分かれ道。
王子は理想とはかけ離れている。町も汚い。
ゴミまみれの町。
誰があんなところに嫁ぐものですか!
ベイリーにはこの町はどう映っているのだろう?
「でも…… 」
揺れ動くベイリーの心。
決め切れない?
下を向いた。
「女の子同士。遠慮はいらないわ。さあ! 」
続く
バッチ…… 奴の思い通りにはさせない。だが武力でねじ伏せるわけにもいかない。
残された選択は王を引退させ後を継ぎバッチを追放するか。このままこの国の行く末を見守るか。
または婚姻後に二人でこの国を去るか。しかし王を引退させたとしても兄たちが黙っていない。
バッチは王のお気に入り。上手く行くはずがない。
ならば残された手は二人で逃げる。それが一番現実的だ。うーむ……
王子は村人と立ち話。もうそろそろ戻りたいんだけど。
「しかし国王も何を考えているんでしょう。おっと…… 」
「父上の考えは民を飢えさせず国を発展させることばかり。そのせいでこの小さな国が危機になっているとも知らずに強引に政策を推し進めている。」
「うーん。我々にはどうしようもありません。お手上げです」
「まあこの国はいずれゴミで一杯になる。それまでに出て行くしかあるまいな」
「王子はそれでよろしいのですか? 」
「分からない。だがもう止めようもない」
ゴミまみれの町はその重さに耐えられずに沈んでいく運命。滅亡の道を辿る。
それが分かっていながら打つ手がない。
「王子! 」
「待たせて済まないステーテル。とにかく早く婚姻しこの国を出て行くしかあるまいな」
情けない王子。理想の王子には程遠い。
それにしても私はどうしたらいいの?
ベイリーの代わりとは言えこのまま大人しくしている訳にもいかないし……
差し迫った脅威。貧乏王国の悲惨な末路。見たくもない。
館に戻る。
ガムは先に戻っていた。
「何か情報ありまして? 」
「いえ。これと言って。ただ急いだ方がいいですね」
ガムは続ける。
「婚礼の儀式に国々からもうお集まりになっています。このままではベイリーが逃げられなくなってしまいます」
「そうね。明日にでも説得を試みようと思うの」
明日では遅いか? 今すぐにでもと言ってもたぶんもう寝てるし。
「このままでも良くありません? 」
もう面倒くさくなってきた。
「なりません! 」
「でもベイリーは王子を慕っているし…… 」
「依頼は依頼です! 」
その頃ベイリーは……
「いい加減にしろ! 帰るぞ! 」
「だって王子様は私たちの憧れなのよ! 」
「それは分かる。だが王子とお前とでは年が離れすぎている」
「そんなこと関係ない! 」
「いや関係大ありだ。ド・ラボーか何か知らないが王子は諦めろ! 」
「お兄ちゃん…… 」
「そんな顔をするな。まだお前は幼い。騙されているんだ」
「誰に? 」
「周りの大人たちにだ」
「でも…… 」
「王子だってステーテルを気に入っている。早く帰るぞ! 」
「そ…… そんな…… 改めて言わないで! 」
ベイリーの傷ついた心は兄の力では癒せない。
翌日。
あと二日で婚姻の儀。
全国から人々が祝福に駆けつける。それまでに何としても王子からベイリーを引き離さなくてはいけない。
コンコン
ベイリーと二人っきりで話す。
「あの…… 」
「心配しないで。私は味方」
「ええっ? 」
「あなたが王子を望むならすぐにでもここを去る。お兄さんは私が説得する」
「でも…… 」
疑いのまなざしを向ける。
「ではこうしましょう。どちらかを選んで」
ベイリーは困惑する。
「王子かお兄さん。もう時間もない。どちらかを説得しなきゃいけないでしょう。本当はあなたを説得するつもりだ
ったんだけどね」
「王子? お兄さん? どっち? 」
強引に話を進める。
「どっちって…… もちろん…… 」
決まっているようだ。ならば話は早い。
「選ぶと言うことはどちらかを捨てると言うことよ。もう二度と会えないの。それでもいい? 」
プレッシャーをかけるつもりはない。でもここでのんびりはしていられない。
「あのね。もう言ってもいいかな。私は王子を選ぶことはない」
ベイリーはさらに困惑する。
「あなたがもし王子を諦めるなら私も諦める。いえ振ることになる。王子は結局誰とも結ばれない。私はね今まで何人もの王子を振ってきた。だから今回もたぶん王子を振ってしまう。それがあなたが振る前か後かの違い。決断するのよベイリー! あなたの王子への強い思いがあるなら問題ないでしょう」
さあどうする?
運命の選択。ここが分かれ道。
王子は理想とはかけ離れている。町も汚い。
ゴミまみれの町。
誰があんなところに嫁ぐものですか!
ベイリーにはこの町はどう映っているのだろう?
「でも…… 」
揺れ動くベイリーの心。
決め切れない?
下を向いた。
「女の子同士。遠慮はいらないわ。さあ! 」
続く
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