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旅立ち
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決断の時。
ド・ラボー。初めて見た私以外のド・ラボー。
ド・ラボーとなった者は結局王子と結婚するしかない。王子を選べるとしてもそれはもはや義務でしかない。
いくら光栄で誰もがうらやむとしても選択するだけ。嬉しいよな悲しいような。
結局ド・ラボーはド・ラボーでしかない。
勝手に作られたお飾りだ。自慢はできても逃げられない。未来は決まっている。
これは一夫一婦制の弊害でもある。
一人の女性を選ぶにはそれだけ慎重。万が一が起きてはならないのだ。
今ここにド・ラボーが二人揃った。
偶然と言うか奇跡と言うか。
同じ境遇のベイリーにどうしても肩入れしたくなってしまう。私にだって未来を約束した幼馴染が居た。
その人は思うことしか叶わない相手。今どこにいるかさえ分からない。
私はもしかしたらその人を心の中で探し続けているのかもしれない。
だから王子の申し出を断っている。
もちろんガムとのこともあるし十か条もある。
「決めました! 」
いつの間にか自分の世界に入ってしまっていた。
ベイリーが顔を上げた。
「私王子と結婚します! 」
「お兄さんはいいのね? もう一生会えないかもしれないのよ」
「はい! 」
吹っ切れたのかはっきりと答えるベイリー。
「冗談じゃないんだけどな」
「分かってます。王子と添い遂げる所存です! 」
「この国が危ないと言うのも? 」
「もちろん承知の上です。詳しくは分からないけど王子とならやっていける気がします」
自信を取り戻したベイリー。
「追われるかもしれないのよ? 」
「はい! 」
ダメだ。ちっとも理解してない。まあいいか……
「そう。これ以上は無駄ね。お幸せに。王子にもよろしく」
優しく抱きしめてあげる。
「ベイリー! 」
「兄をよろしくお願いします! 」
ベイリーの意思は固い。これで良かったんだと思う。
さあ私も王子を振るとしましょう。
ガムに話を通す。
「あのね! 説得はどうしたんですか? 」
「それが失敗しちゃった」
「ステーテル! 」
「ごめんなさい。説得するつもりだったんだけど。つい…… 」
「では王子は諦めるでよろしいのですね? 」
ガムは大きくため息を吐く。
「そう。ガムには悪いけどこんなゴミまみれの国からはおさばらよ」
「まあそうでしょうけど」
諦め顔のガム。失望させてしまったかな。
「お願い許して! 」
「まあステーテルがそこまで言うなら仕方がありませんね。
あの芸術が見られなくなるのは残念だけどまあ確かに住みやすい街では無かったですからね」
「そうでしょう。理解してくれて嬉しい」
「本当によろしいんですね? 」
念押しをするガム。これ以上心変わりするステーテル様ではない。
「はい! 王子は残念ですが諦めます」
「では参りましょうか」
ガムを連れ王子の元へ。
王子は寛いでいる様子。
「どうした? ステーテル」
ガムが前に出る。
「王子との婚約の件無かったことにして頂きます! 」
「はああ? どういうことだ? 説明しろ! 」
「ですからステーテルはあなたをお気に召さなかったと言うことです」
「ちょっと待て! 」
、それではごきげんよう」
止めようとする王子を振り切り館を離れる。
「ステーテル? おいステーテル! 」
王子には悪いことしたかな。まあ仕方がない。
部屋を出る。
代わりにベイリーが姿を現した。
「王子様…… 」
「ベイリー! 」
結局二人は元の関係に戻った。
こうして二人は結ばれた。
何だかんだあったが無事に婚姻の儀が執り行われた。
少年の願いは叶わなかったがこれも妹ベイリーの幸せのため。分かってくれるでしょう。
船着き場に直行。
船で次の国を目指す。
まあベイリーもいる訳だし急いで脱出する必要もないがまあお約束なので足早にこの地を離れる。
船はゴーチャットを離れる。
次はムーチャットでお会いしましょう。
ゴーチャット編 ド・ラボーの旅立ち<完>
ゴーチャット編に続く
ド・ラボー。初めて見た私以外のド・ラボー。
ド・ラボーとなった者は結局王子と結婚するしかない。王子を選べるとしてもそれはもはや義務でしかない。
いくら光栄で誰もがうらやむとしても選択するだけ。嬉しいよな悲しいような。
結局ド・ラボーはド・ラボーでしかない。
勝手に作られたお飾りだ。自慢はできても逃げられない。未来は決まっている。
これは一夫一婦制の弊害でもある。
一人の女性を選ぶにはそれだけ慎重。万が一が起きてはならないのだ。
今ここにド・ラボーが二人揃った。
偶然と言うか奇跡と言うか。
同じ境遇のベイリーにどうしても肩入れしたくなってしまう。私にだって未来を約束した幼馴染が居た。
その人は思うことしか叶わない相手。今どこにいるかさえ分からない。
私はもしかしたらその人を心の中で探し続けているのかもしれない。
だから王子の申し出を断っている。
もちろんガムとのこともあるし十か条もある。
「決めました! 」
いつの間にか自分の世界に入ってしまっていた。
ベイリーが顔を上げた。
「私王子と結婚します! 」
「お兄さんはいいのね? もう一生会えないかもしれないのよ」
「はい! 」
吹っ切れたのかはっきりと答えるベイリー。
「冗談じゃないんだけどな」
「分かってます。王子と添い遂げる所存です! 」
「この国が危ないと言うのも? 」
「もちろん承知の上です。詳しくは分からないけど王子とならやっていける気がします」
自信を取り戻したベイリー。
「追われるかもしれないのよ? 」
「はい! 」
ダメだ。ちっとも理解してない。まあいいか……
「そう。これ以上は無駄ね。お幸せに。王子にもよろしく」
優しく抱きしめてあげる。
「ベイリー! 」
「兄をよろしくお願いします! 」
ベイリーの意思は固い。これで良かったんだと思う。
さあ私も王子を振るとしましょう。
ガムに話を通す。
「あのね! 説得はどうしたんですか? 」
「それが失敗しちゃった」
「ステーテル! 」
「ごめんなさい。説得するつもりだったんだけど。つい…… 」
「では王子は諦めるでよろしいのですね? 」
ガムは大きくため息を吐く。
「そう。ガムには悪いけどこんなゴミまみれの国からはおさばらよ」
「まあそうでしょうけど」
諦め顔のガム。失望させてしまったかな。
「お願い許して! 」
「まあステーテルがそこまで言うなら仕方がありませんね。
あの芸術が見られなくなるのは残念だけどまあ確かに住みやすい街では無かったですからね」
「そうでしょう。理解してくれて嬉しい」
「本当によろしいんですね? 」
念押しをするガム。これ以上心変わりするステーテル様ではない。
「はい! 王子は残念ですが諦めます」
「では参りましょうか」
ガムを連れ王子の元へ。
王子は寛いでいる様子。
「どうした? ステーテル」
ガムが前に出る。
「王子との婚約の件無かったことにして頂きます! 」
「はああ? どういうことだ? 説明しろ! 」
「ですからステーテルはあなたをお気に召さなかったと言うことです」
「ちょっと待て! 」
、それではごきげんよう」
止めようとする王子を振り切り館を離れる。
「ステーテル? おいステーテル! 」
王子には悪いことしたかな。まあ仕方がない。
部屋を出る。
代わりにベイリーが姿を現した。
「王子様…… 」
「ベイリー! 」
結局二人は元の関係に戻った。
こうして二人は結ばれた。
何だかんだあったが無事に婚姻の儀が執り行われた。
少年の願いは叶わなかったがこれも妹ベイリーの幸せのため。分かってくれるでしょう。
船着き場に直行。
船で次の国を目指す。
まあベイリーもいる訳だし急いで脱出する必要もないがまあお約束なので足早にこの地を離れる。
船はゴーチャットを離れる。
次はムーチャットでお会いしましょう。
ゴーチャット編 ド・ラボーの旅立ち<完>
ゴーチャット編に続く
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