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失踪する子供たち
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王子の手がかりを求めて。王子救出作戦開始。
まずはニッシ―について調べる必要がある。
「ニッシーを知りませんか? 」
その辺で立ち話をしていた三人組のお爺さんに話を聞く。
「ニッシーか? ほほほ…… 」
「お前さんたちは旅の者か? あまりよそ者が首を突っ込まない方がいいと思うがな」
「そうだな。悪いことは言わん。大人しく観光でも楽しみなされ。面白いぞ…… 」
今はそんな呑気なことをしている場合じゃないのに…… 取り合ってくれない。
「お願いです! 王子の命が懸かっているんです」
ガムの必死さが伝わったのか話し出す。
「確か前も現れたとか言ってたな」
「そうだそうだ。あの伝説の化け物」
「化け物? 」
「お嬢さん方は西の川を知っているかな? 」
初耳だ。この近くを流れる川らしいのだが……
「あそこに朝方現れると言われているんだ。ニッシ―はな臆病でななかなか姿を見せない。
最後に目撃したのは十年も前かな」
「まあそれも本当かはわからないがね。目撃したってのはあんたのとこの孫娘だろ」
「そうだそうだ」
「それっきりだもんなあ」
髭もじゃの爺さんの孫娘が目撃した。
「だがそのすぐ後に息子夫婦はどっかに行っちまったよ」
「そうなんじゃ。手紙を残して忽然と消えたんだと」
「ほれこれがそうじゃ」
爺さんは肌身離さずに持ち歩いているのだとか。
ガムが中身をあらためる。
「えっと。これが? 」
「さあさぱっり分からん」
手紙には祟りだとか呪いだとか物騒なことが書かれている。
「返せ! 」
男は強引に奪う。
「もう昔のこと。忘れたわ! 」
どうやらこの様子ではその一家もどこかに連れていかれたに違いない。
「怖いじゃろ? 近づかぬことだな。下手したら祟られるぞ。いや食われるかもな」
いい加減なことを言って脅かす。
ニッシーは人を連れ去るとでも言うのかしら? もう少し情報が欲しい。
ニッシ―について聞いて回る。
「何か知りませんか? 」
だが住民はそそくさと逃げて行ってしまう。皆一様に口を閉ざす。
どうやらニッシ―はタブーらしい。何をそんなに恐れているのだろう。
「ちょっとちょっと! 」
路地に引き込まれる。
「ここは危険よ。早くここから脱出しなさい! 」
えらく興奮した女性が叫ぶ。
「この辺りの子は皆連れていかれてしまったんだ。どこかなんて分からない。
ある日突然居なくなった。それも一人や二人じゃない。これまでに半分近くが居なくなった。
酷い時はその家族まで消えてしまったのよ。おかしいでしょう? 異常よ! 」
まくし立てる女性。なおも続ける。
「残った子供たちも今は姿が見えない。たぶんどこかに匿われているか家にずっと閉じ込めているか。
隙を突いてもう誘拐されたかも。とにかくこの近くには子供の姿が見えない。もう最悪よ」
話によるとそれが原因で暴動が起きたらしい。
「住民の必死の訴えにまったく耳を貸そうとせずお腹が空いたら帰ってくるなんて無責任な発言するものだから……
城を囲まれて逃げる羽目になったわ。だからもう国王の支配は及ばない。
いい? 子供たちを見つけたら知らせるのよ。国王なんて当てになるもんか! 」
興奮状態の女性。いったん落ち着かせたいが言うだけ言って行ってしまった。
ここムーチャットは相当危険な状態にある。
ニッシ―の謎や消失のからくり解明と課題山積。
「ガムはどう思う? 」
「私に聞かれても…… あの光と影が関係あるのではとしか言えません」
とにかくニッシ―を探し出すしかない。
女が戻ってきた。
「それで王子は本当に失踪したのかい? 」
目の前で消えたのは確かだ。
「国王の居場所が分かったら教えてね。悪いようにはしないよ」
女は別れてもなおこちらを見続けている。
無責任な国王をつるし上げる気満々。
何か気持ち悪い。
森の隠れ家に戻る。
続く
まずはニッシ―について調べる必要がある。
「ニッシーを知りませんか? 」
その辺で立ち話をしていた三人組のお爺さんに話を聞く。
「ニッシーか? ほほほ…… 」
「お前さんたちは旅の者か? あまりよそ者が首を突っ込まない方がいいと思うがな」
「そうだな。悪いことは言わん。大人しく観光でも楽しみなされ。面白いぞ…… 」
今はそんな呑気なことをしている場合じゃないのに…… 取り合ってくれない。
「お願いです! 王子の命が懸かっているんです」
ガムの必死さが伝わったのか話し出す。
「確か前も現れたとか言ってたな」
「そうだそうだ。あの伝説の化け物」
「化け物? 」
「お嬢さん方は西の川を知っているかな? 」
初耳だ。この近くを流れる川らしいのだが……
「あそこに朝方現れると言われているんだ。ニッシ―はな臆病でななかなか姿を見せない。
最後に目撃したのは十年も前かな」
「まあそれも本当かはわからないがね。目撃したってのはあんたのとこの孫娘だろ」
「そうだそうだ」
「それっきりだもんなあ」
髭もじゃの爺さんの孫娘が目撃した。
「だがそのすぐ後に息子夫婦はどっかに行っちまったよ」
「そうなんじゃ。手紙を残して忽然と消えたんだと」
「ほれこれがそうじゃ」
爺さんは肌身離さずに持ち歩いているのだとか。
ガムが中身をあらためる。
「えっと。これが? 」
「さあさぱっり分からん」
手紙には祟りだとか呪いだとか物騒なことが書かれている。
「返せ! 」
男は強引に奪う。
「もう昔のこと。忘れたわ! 」
どうやらこの様子ではその一家もどこかに連れていかれたに違いない。
「怖いじゃろ? 近づかぬことだな。下手したら祟られるぞ。いや食われるかもな」
いい加減なことを言って脅かす。
ニッシーは人を連れ去るとでも言うのかしら? もう少し情報が欲しい。
ニッシ―について聞いて回る。
「何か知りませんか? 」
だが住民はそそくさと逃げて行ってしまう。皆一様に口を閉ざす。
どうやらニッシ―はタブーらしい。何をそんなに恐れているのだろう。
「ちょっとちょっと! 」
路地に引き込まれる。
「ここは危険よ。早くここから脱出しなさい! 」
えらく興奮した女性が叫ぶ。
「この辺りの子は皆連れていかれてしまったんだ。どこかなんて分からない。
ある日突然居なくなった。それも一人や二人じゃない。これまでに半分近くが居なくなった。
酷い時はその家族まで消えてしまったのよ。おかしいでしょう? 異常よ! 」
まくし立てる女性。なおも続ける。
「残った子供たちも今は姿が見えない。たぶんどこかに匿われているか家にずっと閉じ込めているか。
隙を突いてもう誘拐されたかも。とにかくこの近くには子供の姿が見えない。もう最悪よ」
話によるとそれが原因で暴動が起きたらしい。
「住民の必死の訴えにまったく耳を貸そうとせずお腹が空いたら帰ってくるなんて無責任な発言するものだから……
城を囲まれて逃げる羽目になったわ。だからもう国王の支配は及ばない。
いい? 子供たちを見つけたら知らせるのよ。国王なんて当てになるもんか! 」
興奮状態の女性。いったん落ち着かせたいが言うだけ言って行ってしまった。
ここムーチャットは相当危険な状態にある。
ニッシ―の謎や消失のからくり解明と課題山積。
「ガムはどう思う? 」
「私に聞かれても…… あの光と影が関係あるのではとしか言えません」
とにかくニッシ―を探し出すしかない。
女が戻ってきた。
「それで王子は本当に失踪したのかい? 」
目の前で消えたのは確かだ。
「国王の居場所が分かったら教えてね。悪いようにはしないよ」
女は別れてもなおこちらを見続けている。
無責任な国王をつるし上げる気満々。
何か気持ち悪い。
森の隠れ家に戻る。
続く
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