ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

文字の大きさ
48 / 124

王女の秘密

しおりを挟む
森の隠れ家に戻る。

国王と魔女の話し合いが続いている。王子の居所が分かったと騒いでいるが果たして信用できるか?

「あの…… 」

王女との面会を求める。

「王女は体調がよろしくありません。ご遠慮願います」

面会を禁じられる。

メイドの一人が国王に耳打ちをする。

「良かろう。話があると言うなら好きにせよ! 」

「しかし国王様」

「いいのだ。王女も退屈しておろう」

王の許可を得る。

さっそく王女の元へ。


ゴホゴホ
はあはあ。

まだ熱があり咳も止まらない王女。

ベットから起き上がろうとするが力が入らないのか寝てしまう。

体力もなく弱ってきている。

王や医者はどう見ているのか? 悪化しなければいいんだけど。

着いていた医者が居なくなってから話を聞くことに。

「ニッシ―について何か知りませんか? 」

「あなたは誰? 」

突然の訪問に驚いている。喜んでいるようにも見える。

「申し遅れました。私はガム。こちらはステーテルでございます。ド・ラボーって分かります? 」

「そう…… 」

余り体調も良くなさそうだ。悪化する前に医者を呼び戻した方がいい。

「ニッシ―は蛇なんです」

王女はニッシーを見たらしい。

「蛇? まさか? 」

「ええ。間違いない。巨大な蛇なんです」

「なぜそのことを王女がご存じなのでしょうか? 」

「あれは小さい頃のことです」

王女は思い出を振り返る。

「王子と二人で川に遊びに行った時でした。あの当時雨が降った関係で川が氾濫。
あそこを住み家にしていたニッシ―も逃げ惑っていました。その時光が差したんです」

「光? まさか…… 」

「いえニッシ―は関係ありません! 」

強く否定するが納得できない。

「遊び相手の少なかった私は川に行くとよく遊んでいました。ニッシーは大変臆病な動物です。
人を攻撃しません。襲うだなんてもっての外。たぶんあのインパクトに皆騙されているのでしょう。
誰かが姿を消したら全てニッシ―」

王女は住民が恐れて全てニッシ―のせいにしていると考えているらしい。

王女は最近風邪を拗らせたのだとか。できれば一緒に捜索してもらえればいいんだけど……

こんな時に協力が得れないなんて…… 残念だ。


宛がわれた部屋に戻る。

と言っても小さな一軒家。部屋数があるわけではない。

二人きりになったところで話をまとめる。

西の川にはニッシ―がいて危険。だが見た目とは裏腹に優しくて臆病な性格。

たぶんニッシ―がこの事件の手がかりを握っている。それは間違いない。

「分りませんね。どういうことでしょう? 」

「ガムに任せた! 」

「もう! さあもう寝ましょう。ステーテル。また明日考えればいい」


翌日。

ガムの様子がおかしい。何か悩みごと?

「どうしたのガム? 」

「いえ。何となくなんですけど…… 」

ずいぶんと言いにくそうだ。

「国王には内密にお願いします」

「分かってるって。話してみてよ」

「どうも尾行されていたような気がするんです」

「尾行? 誰に? 」

「たぶん…… 昨日会った女性に」

あの執念深そうな人。

「もしもこの隠れ家が見つかってしまったら大変なことになります」

「大丈夫。見つかりっこないって」

「そうでしょうか? 」

「考え過ぎよ。ガムは心配性なんだから」

もしここを知られたら村人が大挙して押し寄せるだろう。だがその前にここをオサラバすれば問題ない。

スープを啜る。

「音を出さない! 」

相変わらず細かい。どう食べようと勝手なのに。

「さあ急いで食べてしまいましょう」

腹を膨らませたところでニッシ―のいる川へ。


「ニッシ―本当にいるの? 」

「そんなにくっつかないでくださいよ」

「だって…… 」

「それにステーテルが前で私は後ろにつくのが本来の形ですよ」

伝説のニッシ―。果たしてどんな姿なのか。想像するだけでも寒気がする。

「ガム! 」

「分かってますよ。いざって時はお守りいたしますから」

ガムは本当に分かっているのかしら? どれほどの化け物が現れるか分かったものではない。

一瞬で食べられたり川に引きずり込まれたら終わりなのよ。

「おい! 」

怪しい男が話しかけてきた。


                  続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。

桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。 「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」 「はい、喜んで!」  ……えっ? 喜んじゃうの? ※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。 ※1ページの文字数は少な目です。 ☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」  セルビオとミュリアの出会いの物語。 ※10/1から連載し、10/7に完結します。 ※1日おきの更新です。 ※1ページの文字数は少な目です。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年12月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜

桐生桜月姫
恋愛
 シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。  だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎  本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎ 〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜 夕方6時に毎日予約更新です。 1話あたり超短いです。 毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。

処理中です...