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知で知を争うゲーム
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国王に代わって執事が詳細を語る。
「ではルールの説明です。まず…… 」
何と知識を競うことに。
「国王様はあなたたち兄弟の誰を次期国王にするか迷っております。もちろん他国では第一王子。即ちワンド王子がなられるのが一般的。いえ伝統的でしょうか」
一旦止めて三兄弟を見回し国王の方を見る。
「しかしこの国では違います。選ぶ基準はただ一つ。優れていること。即ち知識と教養のある者が次期国王とおなりになるのです。実際現国王は博学で他を寄せ付けない圧倒的な力をお見せになり国王となったのでございます」
パチパチ
パチパチ
ワンド王子とエルス王子は知っていたと見えて拍手をする余裕すらある。
「兄上? 」
知らされなかったのはサンスリン様のみ。
困惑するサンスリン様。
「済まんな…… 」
「どうして? 」
「お前は知らなくてもよいこと。そう思ったのだ。なあエルス」
「ええ。サンスリンには荷が重い」
「我々のどちらかがなるのが良かろう。無理をするでない」
ワンド王子はサンスリン様を思ってのことだとか。
もちろんそんな訳がない。
今の今まで隠していた。二十年間隠し続けたわけだ。
理由は単純。サンスリン様がこの中でずば抜けて優れているから。
兄たちは知らせないことで優位に立とうとしていた。
「兄上! 」
「良いではないか。お前は王位など興味なかろう? それにまだお前は若すぎる。国王には威厳も必要だ」
ワンド王子に続いてエルス王子も見苦しい言い訳に終始する。
「ああ。決してわざと教えなかったわけではない。それにお前が本当に知りたければいくらでも方法があった。
お前はそれをしなかった。怠ったわけだ。だからお前にその資格はない! 」
「そんな…… 」
何て汚いのかしら。これではサンスリン様が王位を継承できないではありませんか。
ワンド王子は何となくそんな気がした。でもエルス様はもっと立派で素敵な方だと思っていました。
残念だわ。
「おい! 言い争いは止めよ! 」
国王が仲裁に入る。
「よい! 今知ったからなんだと言うのだ。サンスリンにはもちろん資格がある。もし本当に私の後を継ぎたいのであれば参加すればよいのだ」
「しかし父上! 」
兄たちが黙っていない。せっかく減ったライバル。しかも本命。蹴落とす絶好のチャンス。
「このサンスリン。父上の期待に見事応えようではありませんか! 」
ついにすべてを理解したサンスリン様が参戦を表明。
「よろしい。では開始せよ! 」
三人による王位継承権をかけての知の勝負が開始された。
紙が配られる。時間は鐘が鳴るまで。
「良いな? では開始! 」
ついに始まった。熾烈な王位継承争い。
血で血を洗うことはできないので知で知を争うことに。
三兄弟はそれぞれ味方がついている。
ワンド王子にはメイドたちがつく。
人気はさほどないが最有力候補と目されている。
続いてエルス王子にはお付の者。
昨日まで一緒にやってきた仲間。私も入っているのかしら?
最後にサンスリン様。
お付の者とワンド王子についていたお付の者と残りのメイドがつく。
やはり女性からの人気が高い。それだけでなくなぜかワンド王子のお付の者が裏切る形で味方に。
ワンド王子には人望が無いと見える。
ただ今のところ見劣りもせず抜けている感じもしない。
三者共に互角。良い争いになりそう。
私は今からでもサンスリン様の元へ……
だけどカジノの件もあるしエルス様も裏切れない。
ここは大人しくエルス様につくのがいい。でもなあ……
国王を裏切ることもエルス様から去ることもサンスリン様を見捨てることもやっぱりできない。
私はどうしたらいいの?
まさか消去法でワンド王子につくなんてできないし……
国王以外の者は誰につくかは明かしている。私だけ傍観するわけにもいかない。
あーもう! 本当にどうしましょう?
迷いに迷うステーテルであった。
続く
「ではルールの説明です。まず…… 」
何と知識を競うことに。
「国王様はあなたたち兄弟の誰を次期国王にするか迷っております。もちろん他国では第一王子。即ちワンド王子がなられるのが一般的。いえ伝統的でしょうか」
一旦止めて三兄弟を見回し国王の方を見る。
「しかしこの国では違います。選ぶ基準はただ一つ。優れていること。即ち知識と教養のある者が次期国王とおなりになるのです。実際現国王は博学で他を寄せ付けない圧倒的な力をお見せになり国王となったのでございます」
パチパチ
パチパチ
ワンド王子とエルス王子は知っていたと見えて拍手をする余裕すらある。
「兄上? 」
知らされなかったのはサンスリン様のみ。
困惑するサンスリン様。
「済まんな…… 」
「どうして? 」
「お前は知らなくてもよいこと。そう思ったのだ。なあエルス」
「ええ。サンスリンには荷が重い」
「我々のどちらかがなるのが良かろう。無理をするでない」
ワンド王子はサンスリン様を思ってのことだとか。
もちろんそんな訳がない。
今の今まで隠していた。二十年間隠し続けたわけだ。
理由は単純。サンスリン様がこの中でずば抜けて優れているから。
兄たちは知らせないことで優位に立とうとしていた。
「兄上! 」
「良いではないか。お前は王位など興味なかろう? それにまだお前は若すぎる。国王には威厳も必要だ」
ワンド王子に続いてエルス王子も見苦しい言い訳に終始する。
「ああ。決してわざと教えなかったわけではない。それにお前が本当に知りたければいくらでも方法があった。
お前はそれをしなかった。怠ったわけだ。だからお前にその資格はない! 」
「そんな…… 」
何て汚いのかしら。これではサンスリン様が王位を継承できないではありませんか。
ワンド王子は何となくそんな気がした。でもエルス様はもっと立派で素敵な方だと思っていました。
残念だわ。
「おい! 言い争いは止めよ! 」
国王が仲裁に入る。
「よい! 今知ったからなんだと言うのだ。サンスリンにはもちろん資格がある。もし本当に私の後を継ぎたいのであれば参加すればよいのだ」
「しかし父上! 」
兄たちが黙っていない。せっかく減ったライバル。しかも本命。蹴落とす絶好のチャンス。
「このサンスリン。父上の期待に見事応えようではありませんか! 」
ついにすべてを理解したサンスリン様が参戦を表明。
「よろしい。では開始せよ! 」
三人による王位継承権をかけての知の勝負が開始された。
紙が配られる。時間は鐘が鳴るまで。
「良いな? では開始! 」
ついに始まった。熾烈な王位継承争い。
血で血を洗うことはできないので知で知を争うことに。
三兄弟はそれぞれ味方がついている。
ワンド王子にはメイドたちがつく。
人気はさほどないが最有力候補と目されている。
続いてエルス王子にはお付の者。
昨日まで一緒にやってきた仲間。私も入っているのかしら?
最後にサンスリン様。
お付の者とワンド王子についていたお付の者と残りのメイドがつく。
やはり女性からの人気が高い。それだけでなくなぜかワンド王子のお付の者が裏切る形で味方に。
ワンド王子には人望が無いと見える。
ただ今のところ見劣りもせず抜けている感じもしない。
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私は今からでもサンスリン様の元へ……
だけどカジノの件もあるしエルス様も裏切れない。
ここは大人しくエルス様につくのがいい。でもなあ……
国王を裏切ることもエルス様から去ることもサンスリン様を見捨てることもやっぱりできない。
私はどうしたらいいの?
まさか消去法でワンド王子につくなんてできないし……
国王以外の者は誰につくかは明かしている。私だけ傍観するわけにもいかない。
あーもう! 本当にどうしましょう?
迷いに迷うステーテルであった。
続く
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