24 / 31
24.合流
しおりを挟む
「よし、ホバークラフトに乗り込め! 操縦は俺がする!」
船の係留場所に着くなり、レオがそう言った。
「でも……レオ、操縦できるの?」
事前にジョアンから操縦の仕方を習っていたハンスならともかく、ド素人がいきなり操縦をするなんて無茶もいいところだ。
「実はさ、ハンスがジョアンから操縦方法を教わっているところをこっそり覗いていたんだよ。……こんなこともあろうかと思ってな!」
「えぇ!?」
「まあ、とにかく心配すんな。何とかしてみせるから」
「ほ、本当に大丈夫……?」
そんな会話をしつつも、ホバークラフトに乗り込もうとしていると──突然、背後から放たれた矢が私の頭上を掠め、目の前にある木の幹に刺さった。
それを見た瞬間、私とレオは思わず狼狽する。
「なっ……!」
「えっ!?」
二人で矢が飛んできた方向を見ると、そこには先ほどレオが殴って怯ませた騎士が物凄い形相で立っていた。
彼は「絶対に逃がすものか」とばかりに強く弓を引くと、再び私達を目掛けて矢を放つ。
「今度は、絶対に外さないぞ!」
鬼気迫る騎士の声とともに、矢は私の心臓を目掛けてびゅんっと飛んでくる。
──もしかして……私、ここで死ぬの……?
そう考え、硬直していると。不意にこちらに向かってくる矢がぐにゃりと曲がり、そのまま地面へと落下した。
「え? 何? どういうこと……?」
不可思議な光景を目の当たりにした私は、自分と同じく呆気にとられているレオと顔を見合わせる。
その途端、どこからともなく聞き慣れた声がすることに気づいた。
この声は、もしかして──
「ハンスさん!?」
叫ぶのと同時に、私達を捕らえようとしていた騎士が大きな石を持ったハンスに頭を強打される。
──ゴンッ!!
打撃音がした直後、騎士はひとたまりもなくその場に倒れ込んだ。
「おい、二人とも! 今すぐホバークラフトに乗れ! 国境を越えるぞ!」
「ハンスさん! 無事だったのね!」
「ああ。ここに来る途中、何度か襲われたけどな。奴ら、アメリアが一緒にいないと分かった途端『居場所を教えないと殺す』と脅迫してきやがった。ただ、まあ……返り討ちにしてやったけどな」
言って、ハンスはニヤリと口の端を吊り上げた。
「アメリア。あの時、俺が判断ミスをしたせいで結果的にお前を危険に晒すことになってしまった。守ってやるって約束したのに……本当にすまなかった」
「ううん、気にしないで。私も、まさかあんな場所でギュスターヴ達と鉢合わせするなんて思わなかったから……」
互いに謝り合いながら、私とハンスは座席に乗り込んだ。
「てかさ……さっきのあれ、一体何なんだよ? いきなり、矢がぐにゃっと曲がってたぞ」
訝しげな顔をしたレオが、ハンスにそう尋ねる。
あの時、確かに私を目掛けて飛んできていた矢は自然に曲がっていた。
その後、すぐにハンスが駆けつけて助けてくれたわけだけど……普通の人間が遠隔で矢を曲げることなんて不可能だし、どうにも腑に落ちない。
──もしかして、さっきのあれも魔法文明の遺物で何とかしたのかしら?
ふと、そんな考えが脳裏をよぎる。
けれど、ハンスは予想とは裏腹な返事をした。
「あー、まあ……細かいことは気にするな。それより、早く出発しないと女王と近衛騎士団の連中に追いつかれるぞ」
言って、ハンスはレオの質問をさらりとかわした。
「なんだよ。別に隠さなくたっていいだろ。やっぱり、あれも魔法文明の遺物の効果なのか?」
「まあ、そんなところだな。さあ、出発するぞ」
食い下がるレオを納得させるためなのか、煮え切らない様子ながらもハンスがそう返す。
そして、私とレオが後部座席に乗り込んだのを確認したハンスはホバークラフトを発進させた。
直後、船体が浮上したらしく、なんとも不思議な感覚に陥る。
「ふーん……やっぱり、すごいんだな。魔法文明の遺物って」
「それよりも、だ。何故、お前がここにいるんだ? レオ」
ハンスが尋ねるとレオはバツが悪そうに頭を掻き、「俺もアメリアの役に立ちたかったんだよ」と弁明をする。
「そうか。まあ、今更言っても仕方ねぇか……。いずれにせよ、俺もお前もこうなった以上ノイシュ王国にはいられない。……だから、覚悟だけは決めておけよ」
「おう。望むところだぜ!」
レオが威勢よくそう返す。
そんな会話をしながらも、私達はまだ遠い対岸を目指した。
吸い込まれそうなほど深い闇空の下、前方には照明が灯った隣国の美しい街並みが眺望できる。
──向こう側に着けば、追っ手もそう簡単に手出しはできない。そうしたら、自由になれるんだ。
ハンスとレオを巻き込んでしまったことを負い目に感じつつも、希望溢れる未来を想像して心が躍る。
もし自分一人だったら、国境を越えるなんて到底不可能だっただろう。協力してくれた二人には、一生頭が上がらない。
そうして、ようやく半分ほどまで進んだ頃。ふと、後方から叫声のようなものが聞こえてくる事に気づいた。
「え……?」
「なんだ? 今、なんか聞こえたような……」
顔を見合わせた私とレオは、恐る恐る後ろを振り返る。
すると──
数艘のホバークラフトがもうすぐそこまで迫っており──それに乗っているセシル女王と、彼女を守る近衛騎士団の団員達が「今すぐ船を止めろ」と怒号を上げていた。
「逃げても無駄です! 大人しく降伏しなさい! 今なら、まだ間に合いますよ! あなた方も、こんな所で惨めに死にたくはないでしょう!?」
最後のチャンスだと言わんばかりに、セシル女王は交渉を持ち掛けてきた。
「ちっ……! 連中もホバークラフトを所持してやがったのか!」
「ど、どうするの!? このままだと追いつかれてしまうわ!」
狼狽した私は、ハンスに判断を迫る。
「……もちろん、逃げ切るさ。というか、そうするしかねーだろ」
「で、でもよハンス! どう見ても、あいつらが乗ってる船のほうが性能が上だぜ!? 常識的に考えて、逃げ切れるわけが──」
「レオ。お前、ホバークラフトの操縦方法知ってるよな?」
レオの言葉を遮るように、ハンスが問いかけた。
「ま、まあ……ていうかさ、ハンス。俺がこっそり覗いてたこと知ってたのかよ」
「当たり前だ。あんなバレバレな覗き方してりゃ、嫌でも気づく」
「そ、そうか……とりあえず、代わるのはいいけどさ。一体、どうするつもりなんだよ?」
レオが不安げに尋ね返すと、ハンスは何故か余裕の笑みを浮かべて答える。
「いい考えがあるんだ。とにかく、今は信じて操縦を代わってくれ。任せたぞ、レオ」
「……わかった、信じるよ」
ハンスとレオは、互いの目をしっかりと見据えて頷き合う。
レオが操縦を代わると、ハンスは後部座席に移動しその上に立った。
そして、迫り来る追っ手達に向かって言い放つ。
「たとえ女王陛下の命令だろうと、俺達は降伏するつもりはない! 絶対にアメリアを隣国に送り届けてみせる!! ……命に代えてもな!」
──ハンスさん……!
「……わかりました。それが、あなた方の答えなのですね」
セシル女王は、悟ったような表情でそう返すと──
「ならば、ここで全員死んでいただきます! 危険因子である異能力者を闇に葬る事こそ、我が王家に課せられた使命! 逃がしはしません! ……さあ、矢を放ちなさいッ!」
激しい剣幕でまくし立てたかと思えば、セシル女王は騎士達にそう命令した。
指示を受けるや否や、騎士達は素早く弓を構える。
「そうはさせるかよ!」
ハンスは騎士達を制止するようにそう叫ぶと、突然右手を高く掲げた。
船の係留場所に着くなり、レオがそう言った。
「でも……レオ、操縦できるの?」
事前にジョアンから操縦の仕方を習っていたハンスならともかく、ド素人がいきなり操縦をするなんて無茶もいいところだ。
「実はさ、ハンスがジョアンから操縦方法を教わっているところをこっそり覗いていたんだよ。……こんなこともあろうかと思ってな!」
「えぇ!?」
「まあ、とにかく心配すんな。何とかしてみせるから」
「ほ、本当に大丈夫……?」
そんな会話をしつつも、ホバークラフトに乗り込もうとしていると──突然、背後から放たれた矢が私の頭上を掠め、目の前にある木の幹に刺さった。
それを見た瞬間、私とレオは思わず狼狽する。
「なっ……!」
「えっ!?」
二人で矢が飛んできた方向を見ると、そこには先ほどレオが殴って怯ませた騎士が物凄い形相で立っていた。
彼は「絶対に逃がすものか」とばかりに強く弓を引くと、再び私達を目掛けて矢を放つ。
「今度は、絶対に外さないぞ!」
鬼気迫る騎士の声とともに、矢は私の心臓を目掛けてびゅんっと飛んでくる。
──もしかして……私、ここで死ぬの……?
そう考え、硬直していると。不意にこちらに向かってくる矢がぐにゃりと曲がり、そのまま地面へと落下した。
「え? 何? どういうこと……?」
不可思議な光景を目の当たりにした私は、自分と同じく呆気にとられているレオと顔を見合わせる。
その途端、どこからともなく聞き慣れた声がすることに気づいた。
この声は、もしかして──
「ハンスさん!?」
叫ぶのと同時に、私達を捕らえようとしていた騎士が大きな石を持ったハンスに頭を強打される。
──ゴンッ!!
打撃音がした直後、騎士はひとたまりもなくその場に倒れ込んだ。
「おい、二人とも! 今すぐホバークラフトに乗れ! 国境を越えるぞ!」
「ハンスさん! 無事だったのね!」
「ああ。ここに来る途中、何度か襲われたけどな。奴ら、アメリアが一緒にいないと分かった途端『居場所を教えないと殺す』と脅迫してきやがった。ただ、まあ……返り討ちにしてやったけどな」
言って、ハンスはニヤリと口の端を吊り上げた。
「アメリア。あの時、俺が判断ミスをしたせいで結果的にお前を危険に晒すことになってしまった。守ってやるって約束したのに……本当にすまなかった」
「ううん、気にしないで。私も、まさかあんな場所でギュスターヴ達と鉢合わせするなんて思わなかったから……」
互いに謝り合いながら、私とハンスは座席に乗り込んだ。
「てかさ……さっきのあれ、一体何なんだよ? いきなり、矢がぐにゃっと曲がってたぞ」
訝しげな顔をしたレオが、ハンスにそう尋ねる。
あの時、確かに私を目掛けて飛んできていた矢は自然に曲がっていた。
その後、すぐにハンスが駆けつけて助けてくれたわけだけど……普通の人間が遠隔で矢を曲げることなんて不可能だし、どうにも腑に落ちない。
──もしかして、さっきのあれも魔法文明の遺物で何とかしたのかしら?
ふと、そんな考えが脳裏をよぎる。
けれど、ハンスは予想とは裏腹な返事をした。
「あー、まあ……細かいことは気にするな。それより、早く出発しないと女王と近衛騎士団の連中に追いつかれるぞ」
言って、ハンスはレオの質問をさらりとかわした。
「なんだよ。別に隠さなくたっていいだろ。やっぱり、あれも魔法文明の遺物の効果なのか?」
「まあ、そんなところだな。さあ、出発するぞ」
食い下がるレオを納得させるためなのか、煮え切らない様子ながらもハンスがそう返す。
そして、私とレオが後部座席に乗り込んだのを確認したハンスはホバークラフトを発進させた。
直後、船体が浮上したらしく、なんとも不思議な感覚に陥る。
「ふーん……やっぱり、すごいんだな。魔法文明の遺物って」
「それよりも、だ。何故、お前がここにいるんだ? レオ」
ハンスが尋ねるとレオはバツが悪そうに頭を掻き、「俺もアメリアの役に立ちたかったんだよ」と弁明をする。
「そうか。まあ、今更言っても仕方ねぇか……。いずれにせよ、俺もお前もこうなった以上ノイシュ王国にはいられない。……だから、覚悟だけは決めておけよ」
「おう。望むところだぜ!」
レオが威勢よくそう返す。
そんな会話をしながらも、私達はまだ遠い対岸を目指した。
吸い込まれそうなほど深い闇空の下、前方には照明が灯った隣国の美しい街並みが眺望できる。
──向こう側に着けば、追っ手もそう簡単に手出しはできない。そうしたら、自由になれるんだ。
ハンスとレオを巻き込んでしまったことを負い目に感じつつも、希望溢れる未来を想像して心が躍る。
もし自分一人だったら、国境を越えるなんて到底不可能だっただろう。協力してくれた二人には、一生頭が上がらない。
そうして、ようやく半分ほどまで進んだ頃。ふと、後方から叫声のようなものが聞こえてくる事に気づいた。
「え……?」
「なんだ? 今、なんか聞こえたような……」
顔を見合わせた私とレオは、恐る恐る後ろを振り返る。
すると──
数艘のホバークラフトがもうすぐそこまで迫っており──それに乗っているセシル女王と、彼女を守る近衛騎士団の団員達が「今すぐ船を止めろ」と怒号を上げていた。
「逃げても無駄です! 大人しく降伏しなさい! 今なら、まだ間に合いますよ! あなた方も、こんな所で惨めに死にたくはないでしょう!?」
最後のチャンスだと言わんばかりに、セシル女王は交渉を持ち掛けてきた。
「ちっ……! 連中もホバークラフトを所持してやがったのか!」
「ど、どうするの!? このままだと追いつかれてしまうわ!」
狼狽した私は、ハンスに判断を迫る。
「……もちろん、逃げ切るさ。というか、そうするしかねーだろ」
「で、でもよハンス! どう見ても、あいつらが乗ってる船のほうが性能が上だぜ!? 常識的に考えて、逃げ切れるわけが──」
「レオ。お前、ホバークラフトの操縦方法知ってるよな?」
レオの言葉を遮るように、ハンスが問いかけた。
「ま、まあ……ていうかさ、ハンス。俺がこっそり覗いてたこと知ってたのかよ」
「当たり前だ。あんなバレバレな覗き方してりゃ、嫌でも気づく」
「そ、そうか……とりあえず、代わるのはいいけどさ。一体、どうするつもりなんだよ?」
レオが不安げに尋ね返すと、ハンスは何故か余裕の笑みを浮かべて答える。
「いい考えがあるんだ。とにかく、今は信じて操縦を代わってくれ。任せたぞ、レオ」
「……わかった、信じるよ」
ハンスとレオは、互いの目をしっかりと見据えて頷き合う。
レオが操縦を代わると、ハンスは後部座席に移動しその上に立った。
そして、迫り来る追っ手達に向かって言い放つ。
「たとえ女王陛下の命令だろうと、俺達は降伏するつもりはない! 絶対にアメリアを隣国に送り届けてみせる!! ……命に代えてもな!」
──ハンスさん……!
「……わかりました。それが、あなた方の答えなのですね」
セシル女王は、悟ったような表情でそう返すと──
「ならば、ここで全員死んでいただきます! 危険因子である異能力者を闇に葬る事こそ、我が王家に課せられた使命! 逃がしはしません! ……さあ、矢を放ちなさいッ!」
激しい剣幕でまくし立てたかと思えば、セシル女王は騎士達にそう命令した。
指示を受けるや否や、騎士達は素早く弓を構える。
「そうはさせるかよ!」
ハンスは騎士達を制止するようにそう叫ぶと、突然右手を高く掲げた。
61
あなたにおすすめの小説
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
婚約破棄された宰相です。 正直、婚約者も宰相も辞めたかったので丁度よかったです
鍛高譚
恋愛
内容紹介
「婚約破棄だ! そして宰相もクビだ!」
王宮の舞踏会で突然そう宣言したのは、女性問題を繰り返す問題王太子ユリウス。
婚約者であり王国宰相でもあるレティシアは、静かに答えた。
「かしこまりました」
――正直、本当に辞めたかったので。
これまで王太子の女性問題の後始末、慰謝料交渉、教会対応、社交界の火消し……
すべて押し付けられていたレティシアは、婚約も宰相職もあっさり辞任。
そしてその瞬間――
王宮が止まった。
料理人が動かない。
書類が処理されない。
伝令がいない。
ついにはトイレの汚物回収まで止まり、王宮は大混乱。
さらに王太子の新たな女性問題が発覚し、教会は激怒。
噂は王都中に広がり、王宮は完全に統治不能に。
そしてついに――
教会・貴族・王家が下した決断は、
「王太子廃嫡」
そして。
「レティシア、女王即位」
婚約破棄して宰相をクビにした結果、
王宮を止めてしまった元王太子の末路とは――?
これは、婚約破棄された宰相が女王になるまでの
完全自業自得ざまぁ物語。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
婚約破棄ですか?構いませんわ。ですがその契約、すべて我が家のものです
ふわふわ
恋愛
王太子ユリウスは、王立学園の卒業舞踏会で突然宣言した。
「カリスタ・ヴァレリオンとの婚約を破棄する!」
隣には涙を流す義妹ルミレア。
彼女は「姉に虐げられてきた可哀想な令嬢」を演じ、王太子はそれを信じてしまう。
だが――王太子は知らなかった。
ヴァレリオン公爵家が
王国銀行の資金、港湾会社の株式、商人組合の信用保証――
王国経済の中枢を支える契約のほとんどを握っていたことを。
婚約破棄と同時に、カリスタは静かに言った。
「では契約を終了いたします」
その瞬間、王国の歯車は止まり始める。
港は停止。
銀行は資金不足。
商人は取引停止。
そしてついに――
王宮大広間で王太子の公開断罪が始まる。
「私は悪くない!」
「騙されたんだ!」
見苦しく喚き暴れる王太子は、衛兵に取り押さえられ、床を引きずられるようにして連行されていく。
王太子、義妹、義父母。
すべてが破滅したとき、カリスタはただ静かに告げる。
「契約は終わりました」
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
婚約破棄された公爵令嬢ですが、戻らなかっただけです
鷹 綾
恋愛
王太子カイル殿下から、社交界の場で婚約破棄を言い渡された公爵令嬢リュシエンヌ。
理由は――
「王太子妃には華が必要だから」。
新たに選ばれたのは、愛らしく無邪気な義妹セシリア。
誰もが思った。
傷ついた令嬢は泣き、縋り、やがて戻るのだと。
けれどリュシエンヌは、ただ一言だけ告げる。
「戻りません」
彼女は怒らない。
争わない。
復讐もしない。
ただ――王家を支えるのをやめただけ。
流通は滞り、商会は様子を見始め、焦った王太子は失点を重ねる。
さらに義妹の軽率な一言が決定打となり、王太子妃候補の座は静かに消えた。
強いざまあとは、叫ぶことではない。
自らの選択で、自らの立場を削らせること。
そして彼女は最後まで戻らない。
支えない。
奪わない。
――選ばれなかったのではない。
彼女が、選ばなかったのだ。
これは、沈黙で勝つ公爵令嬢の物語。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる