12 / 82
12話 到着
しおりを挟む……ガラガラガラガラ
アリアは馬車の中で、
「とにかく、この国が大変なことはわかるけど…
しっかり自分の目で色んなこと確かめないことには、
何から手をつけていいか、
ちょっと今すぐには優先順位がわからないわね…」
などと、独り言を言っていると、
ガタンっ
と馬車が止まった。
窓の外を見ると、
金がたくさん施された、
見た者を圧倒させる、豪華な建築の、
この国が困窮しているなどとは、到底感じさせない
あまりに大きく立派な王宮が見えた。
しかし、今までの道すがらに目にした町や村々の様子とは
天と地ほどに、かけ離れすぎていて、
アリアには虚像のように見えてしまった。
それを見ていると、
昨晩、宿で聞いた王の噂が、にわかに思い出されて、
信憑性があるのか、ないのか、わからないと感じていたクーデターの件も、
いよいよ現実味を帯びてきたように思え、
アリアはゾッとすると、背中に冷たい汗が伝うのを感じた。
アリアが馬車から降りようと席を立った時、
ガチャ
と、扉が御者によって先に開けられ、
アリアがそっと降りようとすると、
御者に手を差し伸べられないという違和感に気づいた。
あっ!そうだった!
私今トレイルなのよね。
あぶないあぶない。
色々考えてて、自分が男装してること忘れてたわ。
と、そこで自分の身なり、特にサラシで締めている胸の辺りに、問題がないかチラッとチェックして、
1人で馬車を降りた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
189
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる