【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない

かまり

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63話 フェリスの質問

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アークは人を掻き分け前の方まで行くと、列の先頭で紙を配り続けるカトリーナが見えた!

「くっ、あの女!」

人垣が邪魔をしてなかなか前に進めないアークは、歯噛みしながらカトリーナを見た。

やっとのことで先頭まで行くと、

「まぁ!殿下じゃないですか?そんなに慌てて…
ふふっ、この紙がそんなに欲しかったんですか?
仕方ないですね?並んでないけど特別ですよ?」

と、にっこり笑って紙を差し出してきた。

「でも、これは私の目を見て受け取るのが条件なんですよ?それだけは守ってくださいね?」

そう言ってアークを覗き込もうとしたが、アークはその紙をカトリーナからもぎ取って、ギュッと目を閉じる。

「ふざけるな!こんなもの、こんなところで大勢に配ってどういうつもりだ!

こんなに人を、しかも大貴族の子息令嬢を集めるなんて、反逆罪ととられてもおかしくない行動だ!

慎め!メイデン男爵令嬢!」

「嫌だわ殿下、反逆だなんて。私はただ皆さんが困っていたらこの光魔法で治療をしたかっただけです。

…それに、男爵令嬢と言うのも止めて頂きたいですわ。

カトリーナとお呼びください」

男爵令嬢と呼ばれたカトリーナの笑顔は引き攣っていた。

「とにかく!反逆でないならこの騒ぎを収めよ!
王太子命令だ!これに従えないなら、その時は本当に反逆罪で捕らえることになる!」

それを聞いた、すでにカトリーナの目を見た生徒たちは、憤慨して騒ぎ始めた。

聖女さまを捕らえるなんてやめろ!
王子がおかしくなってしまった!
王子をとめろ‼︎聖女を守れ‼︎

そう言って押し寄せて来た生徒の波にアークはのまれ、バランスを崩した拍子に…

カトリーナの目を見てしまった…



「…上!…兄上!」

後ろから生徒を掻き分けて追いかけてきたフェリスにアークは腕を掴まれた。

「兄上⁇兄上!大丈夫ですか?」

「…何がだ?」

必死に名前を呼ぶフェリスを見るアークの目は、どこか呆っとしていた。

フェリスは嫌な予感がしてカマをかける。

「兄上?本当にカトリーナは悪い女ですよね?」

「…フェリス…お前何を言ってる?
あんな立派な聖女はいないだろう?
彼女は…国の宝だ」

フェリスは青ざめた。
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