88 / 92
88話 王の発表
しおりを挟む
玉座の段下に、
アーク、カトリーナ、フェリス、エレナの4人は横一列に並ばされると、全員跪いた。
室内の左右には大勢の大貴族たちが列席し、その様子を静かに見守っている。
前回毒殺されたのは、
この王の間での詳しい発表と、広間にいる中級下級貴族たちに簡単な発表をしたあとに行われた披露パーティーで、挨拶周りをしている時だった。
フェリスは、カトリーナを始末するなら、同じ様に披露パーティーの人混みに紛れて実行しようと考えていた。
やるなら…この後…だな
あの女がやったのと同じようにやってやる…
待ってろ、カトリーナ…
これでやっと、全部終わる…
フェリスは並んでいるカトリーナを獲物を狙う鋭い目で一瞥すると、また俯いた。
「これより!陛下から直々に大事な発表が申し渡される!皆、心して聞くように!」
国王の右腕と言われる宰相が大きな声で言うと、静かな室内の高い天井まで、その声が響き渡った。
「皆を呼んだのは他でもない!
ここに並んでおる私の息子たちのことで発表したい儀があり、集まって貰った!
早速、本題に進める!
第一王子であるアークは、現在ヴァイオレット公爵家令嬢エレナと婚約している。
しかし!世論では、聖女カトリーナを王妃にと推す声が日に日に高まり、黙殺できぬところまできておる!
実際、カトリーナの聖女活動による功績は素晴らしく、今後も我が国に多大な影響をもたらすものと思われる!
反対に現婚約者であるエレナは、最近新しい魔法の能力が開花し、
その能力が未知なるものであることから、民衆や見識者から不安視され、その声もまた大きくなっている。
エレナはこれから魔法研究所で魔法の解明と訓練に尽力する予定ではあるが、
このまま婚約を続行すれば暴動になり兼ねない!
しかし、エレナのこれまでの王妃教育に対する向き合い方は非常に真摯で、またその能力も全てにおいて高く、
国のことや王子のことを思いやる気持ちも誠に天晴れであった!
そのことを鑑みて、以下の決定事項を発表する!
第一王子アークと、ヴァイオレット公爵家令嬢エレナとの婚約は、今これを以って解消とする!
続いて!
第一王子アークの新たな婚約者は、聖女カトリーナとし、エレナは第二王子フェリスと新たに婚約を結ぶこととする!
私からは以上だ」
会場はどよめいた。
大貴族たちにはお抱えの医師がいる。
そのため、カトリーナの治療を受けには行っておらず、闇魔法にもかけられていない。
そんな正常な精神状態の中、突然聞かされた婚約解消の発表に、
第一王子派閥のヴァイオレット公爵家に連なる大貴族たちが不満を持ち、
口々に騒ぎ始め、その声は大きく膨れ上がり、あっという間に玉座の間が大混乱の渦に包まれた。
第二王子にエレナを取られるとあって、第一王子派閥と第二王子派閥が揉めあい始めた時、
「控えよ‼︎」
と、宰相が怒鳴りシンと静まり返る。
「聖女カトリーナ!こちらへ!」
と、王は自分の隣へカトリーナを呼んだ。
「皆もこの者を知ればわかる!
カトリーナ、皆に何か言葉をかけてやってくれ」
3人はまずいと思ったが、…遅かった。
カトリーナは皆に向かって挨拶し、自分が王妃となってどうしたいかなど、都合の良い嘘を並べ立てて話し始めた。
あの目を光らせながら…
アーク、カトリーナ、フェリス、エレナの4人は横一列に並ばされると、全員跪いた。
室内の左右には大勢の大貴族たちが列席し、その様子を静かに見守っている。
前回毒殺されたのは、
この王の間での詳しい発表と、広間にいる中級下級貴族たちに簡単な発表をしたあとに行われた披露パーティーで、挨拶周りをしている時だった。
フェリスは、カトリーナを始末するなら、同じ様に披露パーティーの人混みに紛れて実行しようと考えていた。
やるなら…この後…だな
あの女がやったのと同じようにやってやる…
待ってろ、カトリーナ…
これでやっと、全部終わる…
フェリスは並んでいるカトリーナを獲物を狙う鋭い目で一瞥すると、また俯いた。
「これより!陛下から直々に大事な発表が申し渡される!皆、心して聞くように!」
国王の右腕と言われる宰相が大きな声で言うと、静かな室内の高い天井まで、その声が響き渡った。
「皆を呼んだのは他でもない!
ここに並んでおる私の息子たちのことで発表したい儀があり、集まって貰った!
早速、本題に進める!
第一王子であるアークは、現在ヴァイオレット公爵家令嬢エレナと婚約している。
しかし!世論では、聖女カトリーナを王妃にと推す声が日に日に高まり、黙殺できぬところまできておる!
実際、カトリーナの聖女活動による功績は素晴らしく、今後も我が国に多大な影響をもたらすものと思われる!
反対に現婚約者であるエレナは、最近新しい魔法の能力が開花し、
その能力が未知なるものであることから、民衆や見識者から不安視され、その声もまた大きくなっている。
エレナはこれから魔法研究所で魔法の解明と訓練に尽力する予定ではあるが、
このまま婚約を続行すれば暴動になり兼ねない!
しかし、エレナのこれまでの王妃教育に対する向き合い方は非常に真摯で、またその能力も全てにおいて高く、
国のことや王子のことを思いやる気持ちも誠に天晴れであった!
そのことを鑑みて、以下の決定事項を発表する!
第一王子アークと、ヴァイオレット公爵家令嬢エレナとの婚約は、今これを以って解消とする!
続いて!
第一王子アークの新たな婚約者は、聖女カトリーナとし、エレナは第二王子フェリスと新たに婚約を結ぶこととする!
私からは以上だ」
会場はどよめいた。
大貴族たちにはお抱えの医師がいる。
そのため、カトリーナの治療を受けには行っておらず、闇魔法にもかけられていない。
そんな正常な精神状態の中、突然聞かされた婚約解消の発表に、
第一王子派閥のヴァイオレット公爵家に連なる大貴族たちが不満を持ち、
口々に騒ぎ始め、その声は大きく膨れ上がり、あっという間に玉座の間が大混乱の渦に包まれた。
第二王子にエレナを取られるとあって、第一王子派閥と第二王子派閥が揉めあい始めた時、
「控えよ‼︎」
と、宰相が怒鳴りシンと静まり返る。
「聖女カトリーナ!こちらへ!」
と、王は自分の隣へカトリーナを呼んだ。
「皆もこの者を知ればわかる!
カトリーナ、皆に何か言葉をかけてやってくれ」
3人はまずいと思ったが、…遅かった。
カトリーナは皆に向かって挨拶し、自分が王妃となってどうしたいかなど、都合の良い嘘を並べ立てて話し始めた。
あの目を光らせながら…
13
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢は皇太子の婚約者の地位から逃げ出して、酒場の娘からやり直すことにしました
もぐすけ
恋愛
公爵家の令嬢ルイーゼ・アードレーは皇太子の婚約者だったが、「逃がし屋」を名乗る組織に拉致され、王宮から連れ去られてしまう。「逃がし屋」から皇太子の女癖の悪さを聞かされたルイーゼは、皇太子に愛想を尽かし、そのまま逃亡生活を始める。
「逃がし屋」は単にルイーゼを逃すだけではなく、社会復帰も支援するフルサービスぶり。ルイーゼはまずは酒場の娘から始めた。
王太子殿下は虐げられ令嬢を救いたい
参谷しのぶ
恋愛
エリシア・アージェント伯爵令嬢は国中から虐げられている。百年前の『大厄災』で、王侯貴族は魔力を発動させることに成功したが、アージェント家だけは魔力を得られなかったからだ。
百年後のいま『恥知らずなアージェント家』の末裔であるエリシアは、シンクレア公爵家の令嬢ラーラからこき使われていた。
かなり虐げられているが給料だけはいい。公爵家の使用人から軽んじられても気にしない。ラーラの引き立て役として地味なドレスを身にまとい、社交界でヒソヒソされても気にしない。だって、いつか領地を買い戻すという目標があるから!
それなのに、雇い主ラーラが『狙って』いる王太子アラスターが公衆の面前でラーラを諫め、エリシアを庇う発言をする。
彼はどうやらエリシアを『救いたい』らしく……?
虐げられすぎて少々価値観がずれているエリシアと、そんな彼女を守りたい王太子アラスター。やがてエリシアにとんでもない力があることが判明し……。
★小説家になろう様でも連載しています。
虐げられた令嬢は、姉の代わりに王子へ嫁ぐ――たとえお飾りの妃だとしても
千堂みくま
恋愛
「この卑しい娘め、おまえはただの身代わりだろうが!」 ケルホーン伯爵家に生まれたシーナは、ある理由から義理の家族に虐げられていた。シーナは姉のルターナと瓜二つの顔を持ち、背格好もよく似ている。姉は病弱なため、義父はシーナに「ルターナの代わりに、婚約者のレクオン王子と面会しろ」と強要してきた。二人はなんとか支えあって生きてきたが、とうとうある冬の日にルターナは帰らぬ人となってしまう。「このお金を持って、逃げて――」ルターナは最後の力で屋敷から妹を逃がし、シーナは名前を捨てて別人として暮らしはじめたが、レクオン王子が迎えにやってきて……。○第15回恋愛小説大賞に参加しています。もしよろしければ応援お願いいたします。
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
婚約破棄された令嬢、教皇を拾う
朝露ココア
恋愛
「シャンフレック、お前との婚約を破棄する!」
婚約者の王子は唐突に告げた。
王太子妃になるために我慢し続けた日々。
しかし理不尽な理由で婚約破棄され、今までの努力は水の泡に。
シャンフレックは婚約者を忘れることにした。
自分が好きなように仕事をし、趣味に没頭し、日々を生きることを決めた。
だが、彼女は一人の青年と出会う。
記憶喪失の青年アルージエは誠実で、まっすぐな性格をしていて。
そんな彼の正体は──世界最大勢力の教皇だった。
アルージエはシャンフレックにいきなり婚約を申し込む。
これは婚約破棄された令嬢が、本当の愛を見つける物語。
だって、訳ありの求婚だから。
和島逆
恋愛
「結婚してくれ」
「えっ嫌ですけど」
神聖職の精霊術師である私は、一年限りの特別講師として王都の魔術学院に招かれた。
初めての教師生活に苦戦する中、突然見知らぬ男から求婚される。
男もまた精霊術師だった。無愛想で無気力人間と国民から散々な評判の、この国の第三王子であるローレンツ。
侮辱されたと怒った私は、その場でローレンツをこっぴどく振ってしまう。
が、ローレンツには全くへこたれる様子がない。それどころか、一体この男のどこが無気力なんだというぐらい、ぐいぐい私の生活に割り込んでくる。
「他の何物にも比べられない、あなたはこの世界で一番美しい」
やがて私は、彼の隠された真実にたどり着くことになり──
*旧タイトル:モノクロームの精霊術師
政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました
あおくん
恋愛
父が決めた結婚。
顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。
これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。
だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。
政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。
どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。
※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。
最後はハッピーエンドで終えます。
完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!
仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。
ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。
理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。
ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。
マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。
自室にて、過去の母の言葉を思い出す。
マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を…
しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。
そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。
ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。
マリアは父親に願い出る。
家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが………
この話はフィクションです。
名前等は実際のものとなんら関係はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる