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25章-4 冬期休暇-悪魔という存在
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「で、連れて帰ってきたんだけど、どうすればいいんだ?」
オルクスが首輪にリードを付けた散歩帰りの様相で赤い大型犬を連れて戻ってきた。
あれから、戻ってくるのに3日を掛けて、王都メイルーンのシェリーの元に戻ってきたオルクスとグレイだが、そのグレイの獣化が一向に解除されないまま、3日という時間が経過してしている。
そのグレイといえば、飼い犬のように首輪にリードを付けられた姿をシェリーに見られ、大いに落ち込んでいるように耳が垂れ下がり項垂れていた。
しかし、人が往来する街の中では騎獣も管理される所有物として示す為に登録が必要なのだ。何も示す物がない大型の獣はペット化するしか街の中を歩くことができなかった。これは致し方がないところではある。
「どうすればいいと聞かれましても、私は獣人でな無いのでわかりません」
リビングでソファに座るカイルの膝の上で、本を読んでいたシェリーは呆れたように言う。
シェリーはそう言うが、そもそも獣人でも獣化できる者は数少なく、今現在このシーラン王国の中で獣化できるのは、元統括副師団長である赤猿フラゴルか、獣化と言っていいのか、わからないクストだけだ。
そして、シェリーの言葉を聞いて、増々項垂れる赤い飼い犬。その飼い犬の首輪をもう用はないと取り外すオルクスも困った様な表情をする。
「えー?俺も獣化したいと思っていたのに、戻れないなんて嫌だな」
オルクス自身が獣化したときに困るという意味だったようだ。
しかし、このまま飼い犬のように家に居座られても困るのはシェリーも同じなので、溜息を吐きながら、スキルを使った。
「『亡者招来』」
そして、シェリーとカイルの向かい側に不機嫌な雰囲気を隠そうともしない黒髪の黒狼獣人であるクロードがソファに足を組んで座った姿で現れたのだ。
「いったい、何の用だ」
その言葉の中に最近喚び出し過ぎではないのかという意味が含まれているように聞こえてしまう。
「実はそこにいるグレイさんが獣化から戻れないそうなので、どうすればいいのかという相談です」
シェリーは項垂れている赤い狼に視線を向けて、クロードに尋ねる。
相談という名のクロードにとって首を傾げてしまう言葉に、シェリーが向けた視線の方向を見た。
そこには鮮やかな赤い毛並みの全長2メルほどの犬型の獣が身を小さくして、項垂れている。その姿を見たクロードは思わず声にだして言ってしまった。
「小さいな」
クロードから見てみれば、そのような感想を抱かざるおえない。なんせ己の獣化は5メルほどの獣人という枠を超えた獣の姿なのだ。幼いクストが抵抗も虚しく咥えられて弄ばれていたのだから。
同じ狼獣人であり、獣化を成したクロードの言葉は増々グレイを落ち込ませ、既に床にめり込みそうな勢いだ。
「はっきり言って俺がどうこうできるものではない。それに俺はこんなことで困ったりしていない」
確かにクロードは感覚でやり遂げてしまうので、困ることはなかったのだろう。
「これは俺の管轄じゃない。獣王神に聞くのが一番だろう?」
獣王神。クロードが以前言っていた神の名だ。
「火酒はあるか?獣王神に捧げる酒だ」
クロードはシェリーに向かって尋ねる。火酒と言われても早々簡単に出てくる代物ではない。
「泡盛ならありますが?」
「泡盛だって!俺が飲みたい!焼酎は無いのか?」
泡盛という言葉を聞いて腰を浮かせて、不機嫌な雰囲気を一蹴させて目をキラキラさせて前のめりで聞くクロード。
「○王ならありますが?」
それに対し淡々と答えるシェリー。
「芋焼酎!俺が飲んでいいか!」
ただ単にクロードが酒を飲みたいだけのようだ。己の欲を隠しもせずに言い切った。それも背後の黒い尻尾が勢い良く振られている。
「え?神に捧げる酒はあってもクロードさんに飲ます酒はありません」
そんなクロードにシェリーはきっぱりと否定する。グレイのこの状況の改善のためにクロードを喚び出したのに意味がないと。
その言葉にクロードが慌てだす。
「いや、俺はフォルテと酒飲み友達だからな」
「そうだぞ!マブダチだ!」
いつの間にか獅子の鬣のような金髪の体格のいい偉丈夫がクロードの隣に座っていた。
「なぜ、呼んでもいないのに、ここに顕れたのですか?獣王神フォルテ様」
シェリーは神を目の前にしても相変わらずな態度でジト目で睨みつける。
「美味そうな酒の話をしていたら飲みに来なければならぬだろう?」
きっと知らない名の異界の酒の名前が出てきたので、クロードを追い返される前に、顕れたのだろう。
しかし、突然の神の出現にシェリーを膝の上に乗せているカイルがうめき声を上げる。
それは唐突に膨大な神気と神の力に当てられてしまったので、その場に居続けられない状態に陥っているのだった。
_________
今回も遅れてしまって、すみません。
オルクスが首輪にリードを付けた散歩帰りの様相で赤い大型犬を連れて戻ってきた。
あれから、戻ってくるのに3日を掛けて、王都メイルーンのシェリーの元に戻ってきたオルクスとグレイだが、そのグレイの獣化が一向に解除されないまま、3日という時間が経過してしている。
そのグレイといえば、飼い犬のように首輪にリードを付けられた姿をシェリーに見られ、大いに落ち込んでいるように耳が垂れ下がり項垂れていた。
しかし、人が往来する街の中では騎獣も管理される所有物として示す為に登録が必要なのだ。何も示す物がない大型の獣はペット化するしか街の中を歩くことができなかった。これは致し方がないところではある。
「どうすればいいと聞かれましても、私は獣人でな無いのでわかりません」
リビングでソファに座るカイルの膝の上で、本を読んでいたシェリーは呆れたように言う。
シェリーはそう言うが、そもそも獣人でも獣化できる者は数少なく、今現在このシーラン王国の中で獣化できるのは、元統括副師団長である赤猿フラゴルか、獣化と言っていいのか、わからないクストだけだ。
そして、シェリーの言葉を聞いて、増々項垂れる赤い飼い犬。その飼い犬の首輪をもう用はないと取り外すオルクスも困った様な表情をする。
「えー?俺も獣化したいと思っていたのに、戻れないなんて嫌だな」
オルクス自身が獣化したときに困るという意味だったようだ。
しかし、このまま飼い犬のように家に居座られても困るのはシェリーも同じなので、溜息を吐きながら、スキルを使った。
「『亡者招来』」
そして、シェリーとカイルの向かい側に不機嫌な雰囲気を隠そうともしない黒髪の黒狼獣人であるクロードがソファに足を組んで座った姿で現れたのだ。
「いったい、何の用だ」
その言葉の中に最近喚び出し過ぎではないのかという意味が含まれているように聞こえてしまう。
「実はそこにいるグレイさんが獣化から戻れないそうなので、どうすればいいのかという相談です」
シェリーは項垂れている赤い狼に視線を向けて、クロードに尋ねる。
相談という名のクロードにとって首を傾げてしまう言葉に、シェリーが向けた視線の方向を見た。
そこには鮮やかな赤い毛並みの全長2メルほどの犬型の獣が身を小さくして、項垂れている。その姿を見たクロードは思わず声にだして言ってしまった。
「小さいな」
クロードから見てみれば、そのような感想を抱かざるおえない。なんせ己の獣化は5メルほどの獣人という枠を超えた獣の姿なのだ。幼いクストが抵抗も虚しく咥えられて弄ばれていたのだから。
同じ狼獣人であり、獣化を成したクロードの言葉は増々グレイを落ち込ませ、既に床にめり込みそうな勢いだ。
「はっきり言って俺がどうこうできるものではない。それに俺はこんなことで困ったりしていない」
確かにクロードは感覚でやり遂げてしまうので、困ることはなかったのだろう。
「これは俺の管轄じゃない。獣王神に聞くのが一番だろう?」
獣王神。クロードが以前言っていた神の名だ。
「火酒はあるか?獣王神に捧げる酒だ」
クロードはシェリーに向かって尋ねる。火酒と言われても早々簡単に出てくる代物ではない。
「泡盛ならありますが?」
「泡盛だって!俺が飲みたい!焼酎は無いのか?」
泡盛という言葉を聞いて腰を浮かせて、不機嫌な雰囲気を一蹴させて目をキラキラさせて前のめりで聞くクロード。
「○王ならありますが?」
それに対し淡々と答えるシェリー。
「芋焼酎!俺が飲んでいいか!」
ただ単にクロードが酒を飲みたいだけのようだ。己の欲を隠しもせずに言い切った。それも背後の黒い尻尾が勢い良く振られている。
「え?神に捧げる酒はあってもクロードさんに飲ます酒はありません」
そんなクロードにシェリーはきっぱりと否定する。グレイのこの状況の改善のためにクロードを喚び出したのに意味がないと。
その言葉にクロードが慌てだす。
「いや、俺はフォルテと酒飲み友達だからな」
「そうだぞ!マブダチだ!」
いつの間にか獅子の鬣のような金髪の体格のいい偉丈夫がクロードの隣に座っていた。
「なぜ、呼んでもいないのに、ここに顕れたのですか?獣王神フォルテ様」
シェリーは神を目の前にしても相変わらずな態度でジト目で睨みつける。
「美味そうな酒の話をしていたら飲みに来なければならぬだろう?」
きっと知らない名の異界の酒の名前が出てきたので、クロードを追い返される前に、顕れたのだろう。
しかし、突然の神の出現にシェリーを膝の上に乗せているカイルがうめき声を上げる。
それは唐突に膨大な神気と神の力に当てられてしまったので、その場に居続けられない状態に陥っているのだった。
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今回も遅れてしまって、すみません。
応援ありがとうございます!
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