6年後に戦地から帰ってきた夫が連れてきたのは妻という女だった

白雲八鈴

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炎国への旅路編

19話 暴力で解決すると思うなよ!

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「はぁ。エルトにいる知り合いを訪ねてみます。情報を聞いてきますので少しお側を離れされていただきます。」

 マリアがため息を吐きながらそう言ってきました。私も話を聞いてみたいです。

「マリア、私も話を聞いてみたいのだけど。」

「では、こちらに連れてきましょう。少しお待ちいただけますか?」

 そして、マリアは部屋の外に出ていきました。

「ユーフィア様。申し訳ございません。セーラは役立たずです。愚兄に聞いたのが間違いでした。マリアさんが言っていたとおりレイモンドに聞いておけば、こんな事にはなりませんでした。失敗です。もう、どうしたらいいのか。」

 セーラは耳と尻尾をシュンと下げて謝ってきました。元気のいいセーラには珍しい姿です。そんなセーラの頭を撫でてあげました。

「失敗なんて誰でもすることよ。命に関わる失敗はダメだけど、そうじゃ無い失敗はしてもいいの。そうすれば、次はどうしたら失敗しないか考えるでしょ?成功するにはどうすべきだったか考えるでしょ?
 私何て、失敗ばかり。だからこそいい魔道具が作れたり、いいアイデアが浮かんだりするの。
 それにこれも楽しいからいいと思うわ。後でいい思い出になるわ。」

「ずるい。」

 私がセーラを慰めていると横からクストの横槍が入ってきました。何がずるいのでしょう?

「俺も撫でてほしい。」

 え?なぜそう言われるのでしょう。
 クストは頭を差し出してきました。はぁ。仕方がありません。
 クストの頭をふわりと撫でます。これも番と言うものの行動なのですかね。


 しばらくするとマリアが戻ってきました。そのマリアの横には先程フィーディス商会の支店長の女性と同じ白い猫獣人の男性が立っています。

「サラの弟のザックです。明日の船の航行を任されてる人物になります。」

 そう言ってマリアはその猫獣人の男性を紹介してくれました。しかし、明日出航と言われていましたのに、ここに来ていただいても良かったのでしょうか?

「ザックだ。あんた達がマリアのあるじか?忙しいのにいきなりマリアがやって来て連れて来られたんだが、さっさと用件を言ってくれないか?」

 全然良くなかったです。マリア、そこまで無理をして来てもらわなくても良かったのですよ。

「ごめんなさい。先程サラさんに言われた事が気になってしまったのです。」

「じゃ、姉貴に聞けよ。いってぇ!マリア!てめぇ。なんでも暴力で解決すると思うなよ!」

 マリアがザック頭に拳骨を食らわせました。ザックは涙目で訴えていますが、マリアはすました顔で

「黙って奥様の話を聞きなさい。」

「ちっ。で、何が聞きたいんだ。」

「サラさんに後ろ盾が無く炎国に行きたいなんてっと言われたのですが、どういう事なのでしょう?」

「その前にさぁ。なんで炎国にいきたいんだ?商品が欲しいだけなら俺達が運んでやるのに、わざわざ炎国に行きたいってなんだ?」

 行きたいと思った理由・・・それは、あの少女から聞いたからです。初代炎王が作り上げた国を見てみたかったのです。ただそれだけと言われればそうなのですが、この異世界で炎王と言われた人が作ったものを見たいのです。

「ある少女に炎国の話を聞いて行った見たかったのです。」

「ああ、あの嬢ちゃんか・・・はぁ。」

 なぜ、ため息を吐かれたのでしょう?

「奥様だっけ?もしかしてあんたあの国が何の国か知らずに言ってたりしないか?あの嬢ちゃんから上辺の炎国の話しか聞いてなかったりしないか?」

 え?上辺だけの話?どういう事なのでしょう?

「あの嬢ちゃんは炎国に行くのにシド総帥に加えフェクトス総統閣下の許可も持ってきた。それに加えあのラースだ。そして、今じゃ王族とも懇意にしている。だから、町を歩いていても皆友好的だが、ただ興味があるからっという理由であの国に行っても炎国の人に受け入れられるかはわからないぞ。」

「おい、いい加減に後ろ盾がいる理由を言え!」

 クストは唸り声を上げるようにザックさんを威嚇します。

「あの国は大陸から追われた者たちが作り上げた国だ。だから、大陸から来た者達に対して、国民はいい感情を持っていない。だから、後ろ盾がいるんだ。自分に手を出せばただじゃ済まないと。」

「おい、じゃあ。商船の者たちはどうなんだ。このギラン共和国の者だろ?」

「俺達?ははは。何でそんな国に出入りできているのかって思っているのか?俺も姉貴も初代様の血が入っている。俺たちはギラン共和国の者でもあるが、炎国の者でもある。だから、受け入れられる。だから、何も問題ない。」

 あ。思いつきました!

「だったら貴方が炎国の町を案内してくれません?案内料としてお金なら支払います。」
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