聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜

白雲八鈴

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133 誰だ?アンジュを呼び寄せたヤツは?

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 もたもたしていたら、邪魔が入りそうだし、ここはさっさと退散すべきだ。私は辺りを伺いながら、ルディに再び戻ることを促そうとしていたところ、私の予想が的中してしまう。

「侵入してきたのはどこの誰だ!」

 そう言いながら、土煙の中を突破してきたのは、淡い緑色で短髪の大柄の白い隊服を身にまとった第1部隊長だった。
 土煙をまとった剣が私に迫ってきたが、剣を振り降ろしている本人は驚いた表情をしていた。まさか、私が、ここにいるとは思わなかったのだろう。

 私は動こうとしたルディを視線で制し、少し身体を横にずらし、第1部隊長の右手を掴み、その剣の振られる勢いのまま身体を回転させ、第1部隊長を投げる。すると、巨体が浮きそのまま土煙の中に消えていった。それを皮切りに殺気が四方八方から襲いかかってきた。ウザい。

 その殺気に反応したルディの左手を掴み、相手にすることはないと首を横に振る。そして、ファルの右腕を掴み私はふわりと地面から浮く。

「おい、アンジュ」

 私の腕を振り払おうとするファルを睨みつけて、ファルが言葉を発するのを止める。

「ここに来た目的はルディは達成したのよね。ブタ貴族の孫の相手するということ。それなら、もう撤収してもいいよね」

「いや、それはそうなのだが、このまま去るというのは····」

「あとは侍従シャンベランに任せておけばいいじゃない。ブタ貴族の孫とルディが対戦することを上が容認したのであれば、責任は上官にあるのではないの?」

 存在しないとされている第13部隊長を引っ張り出すことを容認したのであれば、そこは団長コマンドール侍従シャンベランが責任を取るべきだ。上司は現場にでない代わりに責任をとるという事が仕事のはずだ。
 ファルが私の言葉に反論しようと口を開けたとき、風が吹き荒れ、私がわざわざ作り出した土埃が消え去ってしまった。

 360度から迫りくる10本の銀色の刃。あれ?10本?足りないけど、まあいい。私はその迫りくる刃に口を開ける。

「ヤバい!」
「アンジュだと?」

 おや?私を知っている人が居るみたい。慌てる気配を感じたけど、私はそのまま言葉を紡ぐ。

「『旋風せんぷう静寂せいじゃく』」

 迫りくる10本の刃は、同心円状に爆発するように走る衝撃波に押し戻され、持ち主ごと巻き込んで行く。そのまま飛ばされていくかと思いきや、流石一部隊長ということか。数人がその衝撃波を受け流し、身体を地につけていた。

「おい!誰だ?アンジュを呼び寄せたヤツは?」
「いいのではないのか?ほら、シュレインも暴れなくなったし」
「ヴァルトルクスだろう?一人壁の上に立って副部隊長から報告うけている」

 私を知っているらしき人からは既に殺気は感じられず、何故か私がここにいることの方が問題視されていた。いや、ロゼが呼びに来たからこの場に来たのに酷い。そして、第1部隊長を除けても11人から攻撃されるだろうと予想していたのに、一人足りないと思えば、どうやら第12部隊長が向かってこなかったみたい。理由はリザ姉から報告を受けていたからだった。

「ファル様。砂煙に隠れて立ち去ろうとしたのに、ファル様がもたもたしているから、丸見えになってしまったじゃない」

 私の計画を台無しにしたファルに文句を言う。しかし、ファルは呆れた顔をして私を挟んだ反対側を見た。

「俺が悪いように言うな。元凶のシュレインも立ち去る気はないぞ」

 はぁ、それはわかっている。だから、強引に連れ戻そうとしているのだけど、ルディは一点を見据えて殺気立っている。あの聖女は何をしてルディをここまで怒らせたのだろう。

 私はファルに問うような視線を向けてみるが、肩をすくめられてしまった。ファルも詳しくは知らないようだ。

「ルディ。戻ろう」

 再度促してみるが、ルディが刀を収める様子もなければ、殺気を押さえる様子もない。
 その様子に内心舌打ちをする。あの聖女は何を言ってルディをここまで怒らせたのだろうか。ロゼの話では、恐らくブタ公爵から話が行ったのかルディを婚約者と認識していたようだ。だけど、そのことは王様から無視をしていいと言われていたので、そのことでルディが怒るはずもない。
 恐らく何を話したのかを知っているのは、ルディと聖女とその時近くにいた第6部隊長だ。だが、この様子だとルディから聞き出せそうにもない。ならばと、私はファルに尋ねる。

「ファル様。第6部隊長ってどこにいる?」

「第6部隊長か?あそこだがどうした?」

 ファルが開いている右手で指し示したところには、金髪の双子に話しかけられている薄墨色の髪の男性がいる。あれが、第6部隊長ね。

「ねぇ、ファル様。その第6部隊長をここに呼びつけてくれない?」

「は?副部隊長の俺に他の部隊長を呼びつける権限があると思っているのか?」

 思っていないけど、そうなると別の手段をとらなければならない。

「じゃ、私がその第6部隊長のところに突っ込んで行っていい?」

 その言葉の中には爆発しそうな危険物ルディを手放して、第6部隊長に事の次第を聞きに行っていいかという意味が含まれている。

「アンジュ。それを許容できると俺が言うと思っているのか?」

 そうだよね。この状態のルディを放置はできないよね。

「絶対にアンジュが引き起こす被害の方が大きくなるだろうが!」

 そっちー!何故に私がルディより危険人物扱いになっているわけ!そこ、隊長3人!ウンウンと頷かないで!

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