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143 世界の秘密の鱗片がある場所
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「はぁ、それは俺個人としては、アンジュに力を使って欲しくない」
ルディは胡散臭い笑顔をやめて、溜息を吐きながら言った。個人的にということは、自分の立場ではその言葉を言えないということだ。
「だから、あの女を殺そう。そうすれば、全て解決だ」
辺りに殺気を振りまきながら殺人宣言をするルディ。だから、なぜこの兄弟は直ぐに人を殺そうと言葉にするのだろう。いや、それは兄弟の生い立ちに原因があるのかもしれない。
確かに理論的にいけば、月の聖女の受け皿がなければ、太陽の聖女の魔力は受け渡されない。逆に考えれば、なぜ二人必要だったのか。
太陽の王と月の王妃。そこに全ての起点があるのだろう。いや、違うか。世界の歪みの原因がそこにあると言い換えた方がいいか。
しかし、私は知るべきではないのだろうか。全ての起点を。
「ルディ。王城の地下のダンジョンに行きたい」
私が、そう言うとルディは驚いたような視線を向けてきた。
「突然、何を言い出したのだ?また、何がおかしなことを考えているのか?」
失敬な!
「神父様が話してくれた太陽の王と月の王妃の話が記された場所に行きたいってこと。多分、そこにこの世界の秘密が隠されているのかなぁって思ってしまっただけ」
「世界の秘密?」
「そう、世界の秘密」
力に枯渇し、他の世界から力を得ようと足掻く世界の秘密の鱗片があるかもしれない。
誰も覚えていない太陽の王と月の王妃。
民を見ない聖女の像。
世界に空いた風穴。
そこから現れる異界のモノ。
それを食らう世界。
「今、すぐには無理だろう。陛下の許可は直ぐに出るだろうが、ダンジョンの攻略には数日が必要だ。部隊長と副部隊長が数日姿を消すのは流石に問題がある」
そうか、ダンジョンの問題の場所に行くには数日かかってしまうのか。これは団長の許可が必要ということか。それとも侍従?
そんな事を考えていると、本部の正面玄関が見えてきた。
立ち止まったルディは胡散臭い笑顔で私の両肩を持って言う。
「いいですか?行動は敷地内だけです。知らない人にはついていかない。お菓子をあげると言われてもついていかない。何かあれば転移で私のところに来るように」
「あのー。ルディ、私そこまで子供じゃないし」
まるで、初めてのお使いに行かされる子供のような注意事項を言うルディをジト目で見る。
すると、胡散臭い笑顔から怒ったような顔をして言い返された。
「リュミエール神父からお菓子をもらって喜んでいただろう?」
「お菓子は情報料だから、それに知らない人じゃない!」
「どちらでも同じです」
同じじゃないよー。何故かルディは神父様を目の敵にしているところがあるよね。
「何もしないよ。ただ、散歩して詰め所に戻るだけだから」
私の言葉に納得したのかしていないのか、肩から手を下ろしたルディは、朧に視線を向けた。
「わかっているだろうな」
「はっ!」
何が?ただ、元々の黒狼としての仕事として、私の監視をするだけだよね。
ルディは私の頭を一撫ぜしてから、踵をかえして、本部の扉の向こうに消えていった。
私はフーと溜息を吐き出す。本当にルディは私に構いすぎだと思う。
「じゃ、行こうか」
私は後にいる朧に声をかけて、歩き出す。しかし、このまま真っ直ぐいけば、聖騎士団の出入り口にあたる正門に向かってしまうため、少し考え本部の裏手を通って大きく立ちそびえるコロッセオに向かってみることにする。
一昨日は色々あって、よくわからなかったから、コロッセオをぐるっと一周するのもいいかもしれない。
と言っても、普通は今通った通りを戻って整備された石畳の道を通るのが正式なルートなのだけど、散歩なのだから、整備されていない場所を通るのも自由だ。
だけど、後ろから背後霊の様に付いて来られるのもある意味苦痛だ。
私は、振り返り朧に話しかけようとすれば、桜の色が視界に映った。
思わず、朧の手を取って木の影に隠れる。
「どうされました?」
「しっ!」
話しかけてくる朧に黙っているように示唆して、私は桜色の存在に再び視線を向ける。
確か彼女は本部に謹慎とか言われていなかっただろうか。その聖女の彼女は一階の窓から抜け出そうと窓枠から大きく身体を乗り出しているところだった。
そして、口元が動いていることから、何か独り言を言っているようだ。
私は魔術を使って聞き耳を立てる。普通は視界が不良な霧深いところの行動の補助として用いる『拡音』だ。
『もう!この窓、何でこんな高い位置にあるのよ!狭いし!』
うん、何となくだけど、そこの場所にある窓だけ高い位置にあるから、トイレの窓から出ようとしているのかなぁと思ってしまった。
ルディは胡散臭い笑顔をやめて、溜息を吐きながら言った。個人的にということは、自分の立場ではその言葉を言えないということだ。
「だから、あの女を殺そう。そうすれば、全て解決だ」
辺りに殺気を振りまきながら殺人宣言をするルディ。だから、なぜこの兄弟は直ぐに人を殺そうと言葉にするのだろう。いや、それは兄弟の生い立ちに原因があるのかもしれない。
確かに理論的にいけば、月の聖女の受け皿がなければ、太陽の聖女の魔力は受け渡されない。逆に考えれば、なぜ二人必要だったのか。
太陽の王と月の王妃。そこに全ての起点があるのだろう。いや、違うか。世界の歪みの原因がそこにあると言い換えた方がいいか。
しかし、私は知るべきではないのだろうか。全ての起点を。
「ルディ。王城の地下のダンジョンに行きたい」
私が、そう言うとルディは驚いたような視線を向けてきた。
「突然、何を言い出したのだ?また、何がおかしなことを考えているのか?」
失敬な!
「神父様が話してくれた太陽の王と月の王妃の話が記された場所に行きたいってこと。多分、そこにこの世界の秘密が隠されているのかなぁって思ってしまっただけ」
「世界の秘密?」
「そう、世界の秘密」
力に枯渇し、他の世界から力を得ようと足掻く世界の秘密の鱗片があるかもしれない。
誰も覚えていない太陽の王と月の王妃。
民を見ない聖女の像。
世界に空いた風穴。
そこから現れる異界のモノ。
それを食らう世界。
「今、すぐには無理だろう。陛下の許可は直ぐに出るだろうが、ダンジョンの攻略には数日が必要だ。部隊長と副部隊長が数日姿を消すのは流石に問題がある」
そうか、ダンジョンの問題の場所に行くには数日かかってしまうのか。これは団長の許可が必要ということか。それとも侍従?
そんな事を考えていると、本部の正面玄関が見えてきた。
立ち止まったルディは胡散臭い笑顔で私の両肩を持って言う。
「いいですか?行動は敷地内だけです。知らない人にはついていかない。お菓子をあげると言われてもついていかない。何かあれば転移で私のところに来るように」
「あのー。ルディ、私そこまで子供じゃないし」
まるで、初めてのお使いに行かされる子供のような注意事項を言うルディをジト目で見る。
すると、胡散臭い笑顔から怒ったような顔をして言い返された。
「リュミエール神父からお菓子をもらって喜んでいただろう?」
「お菓子は情報料だから、それに知らない人じゃない!」
「どちらでも同じです」
同じじゃないよー。何故かルディは神父様を目の敵にしているところがあるよね。
「何もしないよ。ただ、散歩して詰め所に戻るだけだから」
私の言葉に納得したのかしていないのか、肩から手を下ろしたルディは、朧に視線を向けた。
「わかっているだろうな」
「はっ!」
何が?ただ、元々の黒狼としての仕事として、私の監視をするだけだよね。
ルディは私の頭を一撫ぜしてから、踵をかえして、本部の扉の向こうに消えていった。
私はフーと溜息を吐き出す。本当にルディは私に構いすぎだと思う。
「じゃ、行こうか」
私は後にいる朧に声をかけて、歩き出す。しかし、このまま真っ直ぐいけば、聖騎士団の出入り口にあたる正門に向かってしまうため、少し考え本部の裏手を通って大きく立ちそびえるコロッセオに向かってみることにする。
一昨日は色々あって、よくわからなかったから、コロッセオをぐるっと一周するのもいいかもしれない。
と言っても、普通は今通った通りを戻って整備された石畳の道を通るのが正式なルートなのだけど、散歩なのだから、整備されていない場所を通るのも自由だ。
だけど、後ろから背後霊の様に付いて来られるのもある意味苦痛だ。
私は、振り返り朧に話しかけようとすれば、桜の色が視界に映った。
思わず、朧の手を取って木の影に隠れる。
「どうされました?」
「しっ!」
話しかけてくる朧に黙っているように示唆して、私は桜色の存在に再び視線を向ける。
確か彼女は本部に謹慎とか言われていなかっただろうか。その聖女の彼女は一階の窓から抜け出そうと窓枠から大きく身体を乗り出しているところだった。
そして、口元が動いていることから、何か独り言を言っているようだ。
私は魔術を使って聞き耳を立てる。普通は視界が不良な霧深いところの行動の補助として用いる『拡音』だ。
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