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147 バレてしまった!
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双子はこの世界では忌み子だ。ヒューとアストは一般的に拒絶される存在であり、否定される存在だ。
その双子が侯爵家を奪い取るということは、本来継ぐはずだった人物がいたはずだ。
誰か知らないけれど。
そして、第6部隊長はヒューとアストの話から付き合っている女性がいるらしい。その女性と何か関係があるとすれば、当主殺害に及ぶのかもしれない。
で、一番肝心のブタ貴族は第1部隊長が、その地位を奪い取った。すると、中心となるブタ貴族がいなくなったことで、聖女崇拝のバカどもも鳴りを潜めるという流れなのだろう。
この流れだと月の聖女だけが聖女として存在しているので、世界の闇の根本的な解決にはならない。
いわば、この世界で暴れている妖怪たちは、彼らの恋のスパイス的な役割だったということになってしまう。
最悪だ。何も解決しないのであれば、聖女も聖騎士も必要なんてない。ん?でも彼女は次の場所で活躍をすると言っていた。
何の活躍をするのだろう?ちょっと興味はあるけれど、彼女の謹慎は解かれることはないはずだ。
彼女はベンチに座って独り言という文句を言い終わったのか、立ち上がって歩き出した。
その間も明確な目的地があるように移動している。私が知らない場所も堂々と行っているのだ。あれ?もしかして彼女についていけば、案内人いらずじゃない?
『なんで隊長クラスと全然会わないわけ?』
え?それは貴女が出ていった本部で会議中だからですよ。
と教えてくれる人がいないので、彼女は歩き続けている。
『本当にどうなっているのよ!』
恐らく誰ともすれ違わないので、怒っているのだろうけど、今は各部隊は業務中だからウロウロしている人はいないと思う。王都に詰めていても、王都周辺の巡回を各部隊で分担して行っていると聞いているので、暇をしているのは第13部隊のみだろう。
彼女はまた疲れたのか、その辺りのベンチに腰を下ろしてイライラを地面にぶつけている。
なので、私と朧も身を隠すように建物の影に身を潜めた。
『やっぱり、ロベル辺りが無難って感じ?』
だれ?ロベルって、私は隣にいる朧にひそひそと聞いてみる。
「ロベルって誰?」
「第1部隊長です」
おお、妹の推しの名前だった。確か私が名前を言われてもわからないと言ってから、『推し』呼びオンリーだった。
『でも、何故か避けられているのよね。好感度が上がるセリフを言って、好感度を上げたあとに抱きついたら、私にメロメロになるはずだったのに、逆に急降下って何?』
ん?あれ?そう言えばそのような場面を見た気がする。彼女が第1部隊長に抱きついて、真っ青な顔になっている第1部隊長を。あれって確かルディが肋骨を折ったあとだったよね。それは好感度は急降下するかもしれない。
恐らく折った肋骨に直撃だったのだろう。
その件に関してはルディが悪かったと思うよ。いや、元々は第1部隊長が私の部屋に侵入してきたのが悪いのだから、本人が悪かったということだね。
それに肋骨って固定できないから、治りにくいと思う。だから、第1部隊長は彼女を避けているのだろう。また、抱きつかれて悪化しても困ると。
彼女は歩き回るのを諦めたのか、立ち上がったあとは真っ直ぐ騎士団本部の方に向かって行っている。
それにしても、帰りはどうするのだろう。またトイレの窓から戻るつもりなのだろうか。彼女の身体能力では窓枠に手は届くだろうけど、身体を持ち上げられるとは思えない。
その彼女の後ろを付いていって、本部まで戻って来たけれど、なんと彼女は堂々と正面玄関から戻ろうとしていた。
なんて度胸があるのだろう。私ならば、壁をよじ登って自分の部屋まで戻ろうとしていたに違いない。
そして、その玄関には見覚えのある人物が待ち構えていた。
「シュレインさま!」
そうルディだ。私はハッとなって空を見上げる。太陽が西に大いに傾いていた。
お昼をとっくに過ぎている!!これは怒られるのは確実だ。
尾行していた足を止め、ジリジリと下がりそのままフェードアウトするように、本部から距離を取ろうとするけれど、ルディの視線は私を捉え、胡散臭い笑みを浮かべていた。
朧の透明化の魔術が一番効いて欲しい人に効いていないのは理不尽だ!
「シュレインさま!もしかして、私を待ってくださったのですか?」
先程の地面に当たり散らしていた声とは違い、ルディに撫で声で話しかけているけれど、ルディは彼女の存在に気がついていないのか、私から視線を外そうとはしない。
「あの?シュレインさま?」
何も反応を示さないルディに彼女は手を伸ばして触れようとする。が、その手をルディは叩き落した。
「私に触れないでいただけますか?アンジュ、そこにいるのはバレバレなのですから、大人しくこちらに来なさい」
わかっているよ。
私は朧に術を解くようにお願いをして、彼女から少し離れたところに朧と共に現れた。はぁ、お昼までっていう約束を破ったことをグチグチ言われるのだろうなと、覚悟をして一歩を踏み出すのだった。
__________
補足
双子は名を名乗ったので、気がついているかもしれませんが、アンジュに突っかかっていたアンジュ曰く、『ゼクトなんたらかんたら』の兄になります。ですので、ゼクトはエヴォリュシオン侯爵家の跡継ぎとして育てられていました。
その双子が侯爵家を奪い取るということは、本来継ぐはずだった人物がいたはずだ。
誰か知らないけれど。
そして、第6部隊長はヒューとアストの話から付き合っている女性がいるらしい。その女性と何か関係があるとすれば、当主殺害に及ぶのかもしれない。
で、一番肝心のブタ貴族は第1部隊長が、その地位を奪い取った。すると、中心となるブタ貴族がいなくなったことで、聖女崇拝のバカどもも鳴りを潜めるという流れなのだろう。
この流れだと月の聖女だけが聖女として存在しているので、世界の闇の根本的な解決にはならない。
いわば、この世界で暴れている妖怪たちは、彼らの恋のスパイス的な役割だったということになってしまう。
最悪だ。何も解決しないのであれば、聖女も聖騎士も必要なんてない。ん?でも彼女は次の場所で活躍をすると言っていた。
何の活躍をするのだろう?ちょっと興味はあるけれど、彼女の謹慎は解かれることはないはずだ。
彼女はベンチに座って独り言という文句を言い終わったのか、立ち上がって歩き出した。
その間も明確な目的地があるように移動している。私が知らない場所も堂々と行っているのだ。あれ?もしかして彼女についていけば、案内人いらずじゃない?
『なんで隊長クラスと全然会わないわけ?』
え?それは貴女が出ていった本部で会議中だからですよ。
と教えてくれる人がいないので、彼女は歩き続けている。
『本当にどうなっているのよ!』
恐らく誰ともすれ違わないので、怒っているのだろうけど、今は各部隊は業務中だからウロウロしている人はいないと思う。王都に詰めていても、王都周辺の巡回を各部隊で分担して行っていると聞いているので、暇をしているのは第13部隊のみだろう。
彼女はまた疲れたのか、その辺りのベンチに腰を下ろしてイライラを地面にぶつけている。
なので、私と朧も身を隠すように建物の影に身を潜めた。
『やっぱり、ロベル辺りが無難って感じ?』
だれ?ロベルって、私は隣にいる朧にひそひそと聞いてみる。
「ロベルって誰?」
「第1部隊長です」
おお、妹の推しの名前だった。確か私が名前を言われてもわからないと言ってから、『推し』呼びオンリーだった。
『でも、何故か避けられているのよね。好感度が上がるセリフを言って、好感度を上げたあとに抱きついたら、私にメロメロになるはずだったのに、逆に急降下って何?』
ん?あれ?そう言えばそのような場面を見た気がする。彼女が第1部隊長に抱きついて、真っ青な顔になっている第1部隊長を。あれって確かルディが肋骨を折ったあとだったよね。それは好感度は急降下するかもしれない。
恐らく折った肋骨に直撃だったのだろう。
その件に関してはルディが悪かったと思うよ。いや、元々は第1部隊長が私の部屋に侵入してきたのが悪いのだから、本人が悪かったということだね。
それに肋骨って固定できないから、治りにくいと思う。だから、第1部隊長は彼女を避けているのだろう。また、抱きつかれて悪化しても困ると。
彼女は歩き回るのを諦めたのか、立ち上がったあとは真っ直ぐ騎士団本部の方に向かって行っている。
それにしても、帰りはどうするのだろう。またトイレの窓から戻るつもりなのだろうか。彼女の身体能力では窓枠に手は届くだろうけど、身体を持ち上げられるとは思えない。
その彼女の後ろを付いていって、本部まで戻って来たけれど、なんと彼女は堂々と正面玄関から戻ろうとしていた。
なんて度胸があるのだろう。私ならば、壁をよじ登って自分の部屋まで戻ろうとしていたに違いない。
そして、その玄関には見覚えのある人物が待ち構えていた。
「シュレインさま!」
そうルディだ。私はハッとなって空を見上げる。太陽が西に大いに傾いていた。
お昼をとっくに過ぎている!!これは怒られるのは確実だ。
尾行していた足を止め、ジリジリと下がりそのままフェードアウトするように、本部から距離を取ろうとするけれど、ルディの視線は私を捉え、胡散臭い笑みを浮かべていた。
朧の透明化の魔術が一番効いて欲しい人に効いていないのは理不尽だ!
「シュレインさま!もしかして、私を待ってくださったのですか?」
先程の地面に当たり散らしていた声とは違い、ルディに撫で声で話しかけているけれど、ルディは彼女の存在に気がついていないのか、私から視線を外そうとはしない。
「あの?シュレインさま?」
何も反応を示さないルディに彼女は手を伸ばして触れようとする。が、その手をルディは叩き落した。
「私に触れないでいただけますか?アンジュ、そこにいるのはバレバレなのですから、大人しくこちらに来なさい」
わかっているよ。
私は朧に術を解くようにお願いをして、彼女から少し離れたところに朧と共に現れた。はぁ、お昼までっていう約束を破ったことをグチグチ言われるのだろうなと、覚悟をして一歩を踏み出すのだった。
__________
補足
双子は名を名乗ったので、気がついているかもしれませんが、アンジュに突っかかっていたアンジュ曰く、『ゼクトなんたらかんたら』の兄になります。ですので、ゼクトはエヴォリュシオン侯爵家の跡継ぎとして育てられていました。
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