聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜

白雲八鈴

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149 理不尽だ

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「アンジュ。聖女シェーンの言った言葉をそのまま報告しなさい」

 神父様がまるで私が彼女が言っていた理解不能な言葉をわかっていると確信を持って言ってきた。
 しかし、そのままと言っても色々問題がある。ん?そのまま……。

『なんで、私が閉じ込められないといけないのよ!何で誰も居ないの!ウィースもカナルもシュットも居なかった。なぜ?なんで思い通りに行かないのよ!そもそも始めからおかしかったのよ!なんで村に迎えに来たのが第1部隊長だけじゃなく、あのナルシストまで来たのよ』

「ちょっと待ちなさい!そのままではなく、意訳して報告しなさい」

 日本語でそのまま言えば、神父様に止められてしまった。そのまま報告しろって言うから、日本語で報告したのに止められるなんて理不尽だ。

 でも、彼女の言葉を意訳して、そのまま報告すると色々問題が出てくる。特に私の転生問題とかだ。それはそれで面倒なことになるのが目に見えている。

 だから、私はへろりと笑って誤魔化してみた。

「アンジュが昔からおかしな言葉を使っているのは知っていますよ」

「ぐふっ!」

 昔の私を呪いたい。どう表現していいかわからず日本語が出ていたことは認める。でも、そこまで頻繁には使ってはいなかった。だってあまりにもおかしいとなれば、神父様ならしれっと始末しそうだからだ。
 くーっ!ここに神父様が居なければ誤魔化せたのに、なぜここにいるの!

 私は項垂れる。そして頭の中を整理して言って良いことと悪いことを振り分ける。バッドエンドの話とかはゲームの話になるので避けるべきだ。
 そして、渋々顔をあげた。

「彼女は誰かを探しているようでした」

「誰か?」

「正確には複数人です。ただ、私には誰のことを言っているのか、わかりませんでしたが、ロベルという名が出てきたので、朧に確認して第1部隊長の名前とわかりました」

 私がそう報告すると侍従シャンベランは何かをメモをとっている。きっと第1部隊長の名を書いているのだろう。

 ここで一つ確認しておきたい。私の予想が当たっているのかどうか。

「一つ。確認したいのですが、彼女は不可思議な事を言っていたと聞きました。これは例えばという話で怒らないでくださいね」

 私は前置きをして、ありえたであろう未来を話す。

「彼女はこの現時点で第3部隊と第12部隊が壊滅してると言っていました」

「は?第3と第12が?」

 団長コマンドールの困惑した声が聞こえてきたけど、そのまま話を続ける。

「第12部隊のことは、ここに神父様が報告しに来ていることですが、恐らく普通であればキルクスは壊滅状態だっと思います」

将校オフィシエアンジュ。キルクスにはリュミエール様がいらっしゃる。それにあそこには多くの者たちがいるのだ。キルクスが壊滅とはありえない!」

 団長コマンドールの荒げる声が室内に響き渡る。恐らく神父様の信者なのだろう。神父様が強いのは認めるけれど、一人でできることは限られている。

「最初は神父様自身は動く気はありませんでした。そうですよね」

「ええ、アンジュの酷い脅しに屈したのです」

「そんなに酷いことは言っていない!」

 ここはきっぱりと言っておかないといけない。宴は既に始まっているとは言ったけど、神父様が屈するような言葉は口にはしていない。

「そして、騎士シャンベランたちが必死になって戦っていた存在の正体は何と報告されていますか?」

「鳥の異形と報告を受けています」

 侍従シャンベランが私の質問に答えてくれた。まぁ、普通であればそう見えるだろう。しかし、現実とは非情だ。

「あれは羽です」

「はね?」

「羽から異形の鳥のモノを作り出していたので、いくら倒されても当の本人は痛くも痒くもありません。所詮、背中に生えた翼の一部ですから」

 私の言葉にこの場の空気が一変する。なんだかピリピリというかチクチクというか。え?これ私が怒られるパターン?

「その様な報告は聞いていません」
「アンジュ。そのような事は一番に言うべきことではないのですか?」
「アンジュ、どういうことだ?」

 にこにこと笑っている王様以外の王族の皆様から責められる私。いや、聞かれなかったし、牛若丸(仮)が常闇に還らなければ、私も気が付かなかったよ?

 私はへらりと笑うしかない。彼女の言葉を仮説するために言った言葉が私の首を締めることになるなんて!

「取り敢えず、聞いてくださいよ。そんなモノを相手にして疲弊しているところに常闇が開いて、キルクスに大物が出てきたとすれば、神父様はどういう行動を取りましたか?これは私に脅されなかった場合の話です」

 私の言葉に神父様は人のよさそうな笑顔で言い切った。

「ああ、そういうことですか。それであれば、皆に住人の避難を行うように命じて、私は一人足止めに向かったことでしょう」

 足止め。あの大天狗に一人で挑むのは無謀だと神父様も感じていたということだ。

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