聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜

白雲八鈴

文字の大きさ
181 / 461

181 麗しい聖女様の姿をした将校(とある騎士Side)

しおりを挟む
とある騎士シュヴァリエSide


「そうです。我々の力は聖女という存在を護ることも大切ですが、この国の民を護る為にその力を奮わなければならないのです。その民を護れず、敵に命おろかその死した肉体を奪われた民に剣を振るうとは聖騎士にあるまじき行為!!敵の幻覚などに惑わされ、真の敵を見誤るなど言語道断!!」

 押しつぶされるような力の塊が頭上から降り注ぎ、耐えきれず膝を折る。あの人物は一体何者なんだ?こんな力の塊を身体に受け続けたら、身体が破壊されてしまう。

 そして、幾分たっただろうか。

「何ですか。アンジュ」

 という言葉と同時に身体が解放された。
 どうやら、アンジュという者は異形に対する情報を開示しろと要求しているが、何故その神父の姿をした人物に言ったのか意味がわからない。しかし、俺は呼吸もままならないほどの状態なのに、アンジュという者の声は息切れもなく普通に話している。そして、ふと隣に視線を向ければ、まっすぐ前を見て平然と立っている将校オフィシエクオーレの姿があった。
 え?あれだけの力を受けて平然としているなんて信じられない。

 そんな事を考えていると、再びアンジュという者の名が呼ばれた。呼ばれた者がその神父の姿をした人物のところに赴いていく。その後ろ姿に驚いた。

 銀髪だ。これまで見たこともないぐらいに美しい銀髪だ。そして、後ろ姿から小柄な女性だということが窺える。
 噂では聞いたことがある。最近将校オフィシエに昇格した200年前の聖女を化現したような人物がいると。

 一番前まできた白銀の将校オフィシエが振り返り、こちらの方に顔を向けた瞬間、息が止まった。聖女様だ。頭上に天の日を掲げれば、正に聖女様のお姿だった。室内でもキラキラと煌めいているように見える銀髪に少し幼い容姿、吸い込まれそうなピンクの瞳に、その瞳を伏せるように覆う長いまつげが彼女をいっそ儚げにみせている。

「この者は聖騎士になって間もないのですが、この者に勝てる自信のある者はいますか?」

 え?普通に勝てるだろう?どう見ても聖騎士という感じはしない。腕も細いし、身長も低く、13歳ぐらいにしかみえない。

 俺は立ち上がり、手を上げる。周りを見れば、ほとんどの者たちが手を上げていた。

「おい!馬鹿!何故手を上げた」

 将校オフィシエクオーレが焦ったように小声で俺に声を掛けてきたが、何故と言われても、いくら将校オフィシエだったとしても子供には勝てると思う。

「あー。俺の部隊のやつには言っておくんだった」

「いい勉強だと思えばいいのではないのですか?」

 後ろから悲観的な部隊長の声と諦めた感じの副部隊長の声が聞こえてきた。俺は意味が分からず、この三人の言葉の意味を理解したときには俺はとても後悔したのだが、その時はただ首を傾げるだけだった。


 そして、俺の目には不思議な光景が写っていた。白銀の彼女対将校オフィシエ10人の構図ができあがっていた。

 白銀の彼女は空を見上げ、目の前の将校オフィシエたちに興味がないような感じだが、絶対に彼女は目の前にいる部隊長たちの強さをわかっていないのだと思う。
 思うのだが、何故か10人の将校オフィシエたちが作戦らしきことを口々に言い合っている。

 いくら同じ教会出身でも直に作戦通りに動けるとは思えない。だが、隊長も副部隊長も真剣に話をしている。まるで戦いに行く前の作戦会議と同じ表情だ。
 しかし、俺はそろそろ寝たい。なんでこんなことになっているのだろうと思っていると、部隊長たちの悲痛な叫び声が聞こえてきた。

「オワッタ」

 第9副部隊長が頭を抱えながらしゃがみ込み

「勝機が無くなりましたね」

 副部隊長が空を見上げながら、お手上げという雰囲気を醸し出し

「あら?私の作戦じゃだめね」

 第12副部隊長が困ったという感じで頬に手を当て首を傾げており

「いやー!理不尽な魔術が降ってくるー!」

 将校オフィシエロゼが頭を抱え発狂しており

「おい!どうする!」

 部隊長が慌てた感じで作戦の練り直しを提案している。

 な……何が起こったんだ?

「おい、部隊長たちは何を言っているんだ?相手はたった一人だろう?」
「好きなように戦っていいって言われただけだったよな」
「別に普通のことだと思うが」

 皆が口々に言っている。俺も同じ意見だ。何が困ることがあるのだろう。

 すると白銀の彼女から耳を疑う言葉が聞こえてきた。

「じゃ、魔術を使わないでいいよ」

 と。魔術を使わない?剣一本で戦うということだろうか。あ、あと聖痕の力か……それは厳しくないだろうか。それも1対10だぞ。

 しかし、それを聞いた部隊長たちは剣を抜いた。
 部隊長。俺、部隊長に憧れていましたけど軽蔑しそうです。魔術を使わない相手に10人で襲うなんて、騎士としてはあるまじき行為ですよね。

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした

楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。 仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。 ◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪ ◇全三話予約投稿済みです

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

【完結】小公爵様の裏の顔をわたしだけが知っている

おのまとぺ
恋愛
公爵令息ルシアン・ド・ラ・パウルはいつだって王国の令嬢たちの噂の的。見目麗しさもさることながら、その立ち居振る舞いの上品さ、物腰の穏やかさに女たちは熱い眼差しを向ける。 しかし、彼の裏の顔を知る者は居ない。 男爵家の次女マリベルを除いて。 ◇素直になれない男女のすったもんだ ◇腐った令嬢が登場したりします ◇50話完結予定 2025.2.14 タイトルを変更しました。(完結済みなのにすみません、ずっとモヤモヤしていたので……!)

【完結】すり替わられた小間使い令嬢は、元婚約者に恋をする

白雨 音
恋愛
公爵令嬢オーロラの罪は、雇われのエバが罰を受ける、 12歳の時からの日常だった。 恨みを持つエバは、オーロラの14歳の誕生日、魔力を使い入れ換わりを果たす。 それ以来、オーロラはエバ、エバはオーロラとして暮らす事に…。 ガッカリな婚約者と思っていたオーロラの婚約者は、《エバ》には何故か優しい。 『自分を許してくれれば、元の姿に戻してくれる』と信じて待つが、 魔法学校に上がっても、入れ換わったままで___ (※転生ものではありません) ※完結しました

転生貧乏令嬢メイドは見なかった!

seo
恋愛
 血筋だけ特殊なファニー・イエッセル・クリスタラーは、名前や身元を偽りメイド業に勤しんでいた。何もないただ広いだけの領地はそれだけでお金がかかり、古い屋敷も修繕費がいくらあっても足りない。  いつものようにお茶会の給仕に携わった彼女は、令息たちの会話に耳を疑う。ある女性を誰が口説き落とせるかの賭けをしていた。その対象は彼女だった。絶対こいつらに関わらない。そんな決意は虚しく、親しくなれるように手筈を整えろと脅され断りきれなかった。抵抗はしたものの身分の壁は高く、メイドとしても令嬢としても賭けの舞台に上がることに。  これは前世の記憶を持つ貧乏な令嬢が、見なかったことにしたかったのに巻き込まれ、自分の存在を見なかったことにしない人たちと出会った物語。 #逆ハー風なところあり #他サイトさまでも掲載しています(作者名2文字違いもあり)

[完結]私を巻き込まないで下さい

シマ
恋愛
私、イリーナ15歳。賊に襲われているのを助けられた8歳の時から、師匠と一緒に暮らしている。 魔力持ちと分かって魔法を教えて貰ったけど、何故か全然発動しなかった。 でも、魔物を倒した時に採れる魔石。石の魔力が無くなると使えなくなるけど、その魔石に魔力を注いで甦らせる事が出来た。 その力を生かして、師匠と装具や魔道具の修理の仕事をしながら、のんびり暮らしていた。 ある日、師匠を訪ねて来た、お客さんから生活が変わっていく。 え?今、話題の勇者様が兄弟子?師匠が王族?ナニそれ私、知らないよ。 平凡で普通の生活がしたいの。 私を巻き込まないで下さい! 恋愛要素は、中盤以降から出てきます 9月28日 本編完結 10月4日 番外編完結 長い間、お付き合い頂きありがとうございました。

「結婚しよう」

まひる
恋愛
私はメルシャ。16歳。黒茶髪、赤茶の瞳。153㎝。マヌサワの貧乏農村出身。朝から夜まで食事処で働いていた特別特徴も特長もない女の子です。でもある日、無駄に見目の良い男性に求婚されました。何でしょうか、これ。 一人の男性との出会いを切っ掛けに、彼女を取り巻く世界が動き出します。様々な体験を経て、彼女達は何処へ辿り着くのでしょうか。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

処理中です...