214 / 461
214 あれ?私は世界と喧嘩している?
しおりを挟む
翌朝、朝日が顔に当たり眩しさに目が覚めた。目を開けるといつも天蓋が映り込むのに知らない天井だったことに、一瞬困惑した。しかし、ここは第1部隊の駐屯地の宿舎。昨晩、余っているひと部屋を貸してもらったのを思い出し、寝返りを……打てない。
おかしい。昨日は一人部屋を貸してもらって、久しぶりに一人でベッドに入って寝たはずだった。そう、私は聖女とかいうのはしたくないというのに、新しい武器が欲しいという理由でファルまで私の聖騎士に成り下がった。
木の枝だった武器を見せあっている光景に腹が立って、昨日は夕食も食べずに借りた部屋に鍵を掛けて引きこもった。そして、そのままふて寝したのに、何故に侵入者がいるのだ。
「ちっ!鍵を掛けていたはずだけど?」
恐らく起きているだろうと思われる隣にいる人物に言った。すると力が徐々に強められていく。
「リュミエール神父に呼ばれている間にアンジュがいなくなったと探せば、借りた部屋にいるし、夕食の時間になっても出てこないし、夕食を持って部屋に入ってみれば、寝ているし」
「侵入したの間違いだよね」
「俺もこの部屋でいいと言ったら合鍵を渡してくれた」
「ここ一人部屋だけど?」
「問題ない」
問題あるから!宿舎のベッドって基本的にそんなに大きく無いからね。
「アンジュ、何かあったのか? 俺がいない間に何かあったのかと皆を絞め上げたが、誰も知らないと言うだけだった」
それは皆は知らないと思う。私が不貞腐れているだけだから。そうか皆、ルディに締められたのか。
「別に何も無かったけど」
「だったら、何故一人になったのだ?あれほど皆がいる場所に居るように言っただろう」
言われたね。まるで幼子に言い聞かせるように、しつこくルディが戻ってくるまで皆がいる食堂に居るように言われた。
「はぁ。なんか腹が立ったから。私は別に聖女をしたいわけじゃないのに、聖騎士が増えていく状況。私は聖女だって知られたくないのに、現実は……世界は獲物を狩るための武器まで与えたこの状況に嫌気が差す」
そう世界は己の獲物を得る為に、武器を与えたのだ。聖女の聖痕の力に呼応するように力を得る武器。となれば、その武器を使うには私は太陽の聖痕を頭上に掲げなければならない。
なんという嫌がらせ。
世界はきっと私が太陽の聖痕を表に出さないことに苛立っているのだろう。この強制的に私に聖痕を使わそうとする仕様に世界の苛立ちが垣間見える。
これはもしかして私の意地が勝つか、世界の嫌がらせが勝つかの問題か?いや、私も世界に対して、常闇を広げるという嫌がらせをしたのだから、これは仕返しなのかもしれない。
……もしかして、私は世界と喧嘩している状況?そう考えると私が悪い気もする。けれど、聖女として堂々と立つのは嫌だ。
「アンジュ。確かにアンジュが太陽の聖女と知る者は増えているが、ヴァルトルクス第12部隊長を除けば、全てキルクス出身者だ。そのヴァルトルクス第12部隊長もアンドレイヤー公爵家の者だ。こちら側に引き込んでおいた方がいい。誓約で縛られてはいるが、ヴァルトルクスは現当主と仲が悪い。アンドレイヤー公爵にアンジュの存在が知られることはない」
確かにキルクス出身者だけれども、全ての人が私に優しかったわけじゃない。私に嫌がらをしてきた者の方が多かったのも事実。
それに第12部隊長の聖痕の力を見た感想からいけば、全てを壊したいほどの衝動が起こる何かがあったということは想像するのは容易だ。聖騎士に成るまでに何かがあったのだろうと。
「キルクス出身者は基本的にリュミエール神父に実直だ。逆らう愚かさを叩き込まれているからな」
確かに散歩をしているとニコニコと胡散臭い笑みを浮かべた神父様が目の前に現れて、神父様の部屋に連行されたことは何度かあったし、訓練をサボっていると背後から攻撃されたり、教会から逃げ出そうと試みてやっと誰にも発見されずに街を出られたと思えば、首根っこを掴まれて連行されたりとか色々あったね。
「あんな風にリュミエール神父に好き勝手するのはアンジュぐらいだ」
私! そこまで私は好き勝手していないよ。
「そんなことはないよ」
ここはきちんと否定しておかないといけない。
「リュミエール神父からお菓子の袋を差し出されて、素直に受け取るのはアンジュぐらいだ。普通は怖くて受け取れないとロゼもリザネイエも言っていた」
「神父様は怖いけど、お菓子に罪はないよ」
お菓子はお菓子。質問に答えるだけで、タダでお菓子がもらえるのなら、手を出すよね。
「初めてリュミエール神父からもらったお菓子をアンジュから奪って食べた奴らが、死んだのを忘れたのか?」
忘れていないけど、ルディがそれを覚えていることに驚くよ。
「あれのカラクリはわかったから、別に怖がることもないし、疑心暗鬼に囚われることもないよ」
「あの頃からだ。俺のアンジュを餌付けしやがって……」
ルディ、ちょっとギリギリと体が締め付けられているのだけど。それから餌付けじゃなくて、ご褒美だからね。
おかしい。昨日は一人部屋を貸してもらって、久しぶりに一人でベッドに入って寝たはずだった。そう、私は聖女とかいうのはしたくないというのに、新しい武器が欲しいという理由でファルまで私の聖騎士に成り下がった。
木の枝だった武器を見せあっている光景に腹が立って、昨日は夕食も食べずに借りた部屋に鍵を掛けて引きこもった。そして、そのままふて寝したのに、何故に侵入者がいるのだ。
「ちっ!鍵を掛けていたはずだけど?」
恐らく起きているだろうと思われる隣にいる人物に言った。すると力が徐々に強められていく。
「リュミエール神父に呼ばれている間にアンジュがいなくなったと探せば、借りた部屋にいるし、夕食の時間になっても出てこないし、夕食を持って部屋に入ってみれば、寝ているし」
「侵入したの間違いだよね」
「俺もこの部屋でいいと言ったら合鍵を渡してくれた」
「ここ一人部屋だけど?」
「問題ない」
問題あるから!宿舎のベッドって基本的にそんなに大きく無いからね。
「アンジュ、何かあったのか? 俺がいない間に何かあったのかと皆を絞め上げたが、誰も知らないと言うだけだった」
それは皆は知らないと思う。私が不貞腐れているだけだから。そうか皆、ルディに締められたのか。
「別に何も無かったけど」
「だったら、何故一人になったのだ?あれほど皆がいる場所に居るように言っただろう」
言われたね。まるで幼子に言い聞かせるように、しつこくルディが戻ってくるまで皆がいる食堂に居るように言われた。
「はぁ。なんか腹が立ったから。私は別に聖女をしたいわけじゃないのに、聖騎士が増えていく状況。私は聖女だって知られたくないのに、現実は……世界は獲物を狩るための武器まで与えたこの状況に嫌気が差す」
そう世界は己の獲物を得る為に、武器を与えたのだ。聖女の聖痕の力に呼応するように力を得る武器。となれば、その武器を使うには私は太陽の聖痕を頭上に掲げなければならない。
なんという嫌がらせ。
世界はきっと私が太陽の聖痕を表に出さないことに苛立っているのだろう。この強制的に私に聖痕を使わそうとする仕様に世界の苛立ちが垣間見える。
これはもしかして私の意地が勝つか、世界の嫌がらせが勝つかの問題か?いや、私も世界に対して、常闇を広げるという嫌がらせをしたのだから、これは仕返しなのかもしれない。
……もしかして、私は世界と喧嘩している状況?そう考えると私が悪い気もする。けれど、聖女として堂々と立つのは嫌だ。
「アンジュ。確かにアンジュが太陽の聖女と知る者は増えているが、ヴァルトルクス第12部隊長を除けば、全てキルクス出身者だ。そのヴァルトルクス第12部隊長もアンドレイヤー公爵家の者だ。こちら側に引き込んでおいた方がいい。誓約で縛られてはいるが、ヴァルトルクスは現当主と仲が悪い。アンドレイヤー公爵にアンジュの存在が知られることはない」
確かにキルクス出身者だけれども、全ての人が私に優しかったわけじゃない。私に嫌がらをしてきた者の方が多かったのも事実。
それに第12部隊長の聖痕の力を見た感想からいけば、全てを壊したいほどの衝動が起こる何かがあったということは想像するのは容易だ。聖騎士に成るまでに何かがあったのだろうと。
「キルクス出身者は基本的にリュミエール神父に実直だ。逆らう愚かさを叩き込まれているからな」
確かに散歩をしているとニコニコと胡散臭い笑みを浮かべた神父様が目の前に現れて、神父様の部屋に連行されたことは何度かあったし、訓練をサボっていると背後から攻撃されたり、教会から逃げ出そうと試みてやっと誰にも発見されずに街を出られたと思えば、首根っこを掴まれて連行されたりとか色々あったね。
「あんな風にリュミエール神父に好き勝手するのはアンジュぐらいだ」
私! そこまで私は好き勝手していないよ。
「そんなことはないよ」
ここはきちんと否定しておかないといけない。
「リュミエール神父からお菓子の袋を差し出されて、素直に受け取るのはアンジュぐらいだ。普通は怖くて受け取れないとロゼもリザネイエも言っていた」
「神父様は怖いけど、お菓子に罪はないよ」
お菓子はお菓子。質問に答えるだけで、タダでお菓子がもらえるのなら、手を出すよね。
「初めてリュミエール神父からもらったお菓子をアンジュから奪って食べた奴らが、死んだのを忘れたのか?」
忘れていないけど、ルディがそれを覚えていることに驚くよ。
「あれのカラクリはわかったから、別に怖がることもないし、疑心暗鬼に囚われることもないよ」
「あの頃からだ。俺のアンジュを餌付けしやがって……」
ルディ、ちょっとギリギリと体が締め付けられているのだけど。それから餌付けじゃなくて、ご褒美だからね。
21
あなたにおすすめの小説
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
【完結】小公爵様の裏の顔をわたしだけが知っている
おのまとぺ
恋愛
公爵令息ルシアン・ド・ラ・パウルはいつだって王国の令嬢たちの噂の的。見目麗しさもさることながら、その立ち居振る舞いの上品さ、物腰の穏やかさに女たちは熱い眼差しを向ける。
しかし、彼の裏の顔を知る者は居ない。
男爵家の次女マリベルを除いて。
◇素直になれない男女のすったもんだ
◇腐った令嬢が登場したりします
◇50話完結予定
2025.2.14
タイトルを変更しました。(完結済みなのにすみません、ずっとモヤモヤしていたので……!)
【完結】すり替わられた小間使い令嬢は、元婚約者に恋をする
白雨 音
恋愛
公爵令嬢オーロラの罪は、雇われのエバが罰を受ける、
12歳の時からの日常だった。
恨みを持つエバは、オーロラの14歳の誕生日、魔力を使い入れ換わりを果たす。
それ以来、オーロラはエバ、エバはオーロラとして暮らす事に…。
ガッカリな婚約者と思っていたオーロラの婚約者は、《エバ》には何故か優しい。
『自分を許してくれれば、元の姿に戻してくれる』と信じて待つが、
魔法学校に上がっても、入れ換わったままで___
(※転生ものではありません) ※完結しました
転生貧乏令嬢メイドは見なかった!
seo
恋愛
血筋だけ特殊なファニー・イエッセル・クリスタラーは、名前や身元を偽りメイド業に勤しんでいた。何もないただ広いだけの領地はそれだけでお金がかかり、古い屋敷も修繕費がいくらあっても足りない。
いつものようにお茶会の給仕に携わった彼女は、令息たちの会話に耳を疑う。ある女性を誰が口説き落とせるかの賭けをしていた。その対象は彼女だった。絶対こいつらに関わらない。そんな決意は虚しく、親しくなれるように手筈を整えろと脅され断りきれなかった。抵抗はしたものの身分の壁は高く、メイドとしても令嬢としても賭けの舞台に上がることに。
これは前世の記憶を持つ貧乏な令嬢が、見なかったことにしたかったのに巻き込まれ、自分の存在を見なかったことにしない人たちと出会った物語。
#逆ハー風なところあり
#他サイトさまでも掲載しています(作者名2文字違いもあり)
[完結]私を巻き込まないで下さい
シマ
恋愛
私、イリーナ15歳。賊に襲われているのを助けられた8歳の時から、師匠と一緒に暮らしている。
魔力持ちと分かって魔法を教えて貰ったけど、何故か全然発動しなかった。
でも、魔物を倒した時に採れる魔石。石の魔力が無くなると使えなくなるけど、その魔石に魔力を注いで甦らせる事が出来た。
その力を生かして、師匠と装具や魔道具の修理の仕事をしながら、のんびり暮らしていた。
ある日、師匠を訪ねて来た、お客さんから生活が変わっていく。
え?今、話題の勇者様が兄弟子?師匠が王族?ナニそれ私、知らないよ。
平凡で普通の生活がしたいの。
私を巻き込まないで下さい!
恋愛要素は、中盤以降から出てきます
9月28日 本編完結
10月4日 番外編完結
長い間、お付き合い頂きありがとうございました。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
王子様への置き手紙
あおた卵
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる