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220 許可が出るらしい
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結局、神父様の話は私が貶されて、戻ったら扱くから覚悟しろよ宣言だった。
名指しされたロゼは『死ぬ。絶対に死ぬ』と壊れたレコードの様に繰り返しており、リザ姉は貼り付いた笑顔のまま、遠い目をしていた。
異形の怪異的な事件は解決したけれど、なんだかお通夜の雰囲気の二人を連れて王都に戻ったのだった。
王都の上空は、太陽が眩しく青空が広がっている。ワイバーンの背から見下ろす王都は、所々水たまりが太陽の光を反射しているものの、王都が水没していることはなかった。
聖女の彼女の言うバッドエンドは避けられたらしい。
王都の北側に位置する聖騎士団の敷地にワイバーンを着地させ、何事もなく戻って来れた。別にそれはいいのだけど……
「戻ったら、教会であったような訓練が始まるんだよね」
私はルディに抱えられたまま地面に下ろされ、独り言を呟く。
嫌だとは言わないけれど、あのウキョー鳥に起こされた上に、訓練って朝からイライラしそうだよね。
「アンジュは訓練不参加でいいですよ」
先にワイバーンから降り立っていた神父様から、サボって良いという発言が出てきた。
やったね!ルディの目を盗んで、散歩ができるよ。
「恐らくダンジョンに行く用意が整いそうですからね」
「え!ダンジョン!……それって地下の?」
王城の地下にあるダンジョンに行けるらしい。それは嬉しい。絶対にそのダンジョンに何か秘密が隠されているはずなのだから。
「そうですね」
「リュミエール神父。勿論俺もアンジュに同行していいよな」
私を抱えたままのルディが言った。多分、付いてくるとは思っているよ。
「シュレインも行くべきでしょう。アンジュであれば、私達が見つけられなかった物を見つける可能性がありますからね」
それを聞いたルディは胡散臭い笑みを浮かべる。
「ということは、リュミエール神父はダンジョンに来ないということで、いいですよね」
「おや?それは共に行きますよ」
「不出来な者たちに訓練をつけるのであれば、アンジュとの同行は不可能ですよね」
なんだか、胡散臭い笑顔同士で言い合っている。この二人に巻き込まれたくないと言わんばかりにファルは早々にワイバーンを騎獣舎に帰して、酒吞と茨木は我関せずとさっさと何処かに姿を消してしまった。
リザ姉とロゼと第12部隊長は位置的に、ルディと神父様を挟んだ向こう側に騎獣舎があるため、動けなかった。それは二体のワイバーンが居れば、もう一体のワイバーンが通る隙間なんてないからね。
「それは問題はありません。シスター・マリアをこちらに呼びつけましたから」
「いやぁぁぁぁ!シスター・マリア様がぁぁぁぁ」
シスター・マリアの名前を聞いたロゼが発狂している。シスター・マリアは優しい人なのに、何を叫んでいるのだろう。それもシスターに様がついている。普通はつけないよ。
「また、アンジュと比べられるよ『年下のアンジュができているのに、何故あなた達ができないの』って言われるじゃない!」
ああ、そういうことね。でもそれって個人の能力差ってことだから、ある程度は仕方がないって……そういえば、ロゼが言っていた。部屋ごとに教育のレベルの内容が違うって。
私と比べられて必然的に教育のレベルが上げられたのか。
「はぁ。シスター・マリアはリュミエール神父様と違った意味で怖い方だったわね。憂鬱だわ」
リザ姉もため息を吐きながら、目から光が消えた。おかしいなぁ。シスター・マリアは私が散歩していても、困ったわっていう顔をして神父様のところに連行するぐらいで、怖いというイメージは全く無い。
「そういうことですので、私はアンジュと共に行動できますよ。それから、オボロでしたか、何かありましたか?」
神父様はきっと私が勝手な行動を取らないように、お目付け役として行くのだろう。ダンジョンと言ってもそこまで調査が進んでいない古代遺跡という場所で、私が色々しでかさないように、監視員の役目なんだと思う。
その神父様が突然、朧の名を呼んだ。すると、空間が歪むように黒髪から大きめの三角の耳が二つ生えた、人物が姿を現した。私には分からなかったけれど、きっと神父様とルディにはわかっていたことなのだろう。
「アンジュ様。リュミエール様。シュレイン様。ご無事にお戻りいただけたことに、とても喜ばしく思っております」
そう言って朧は深々と頭を下げた。朧、私を王族と同列に並べないで欲しいのだけど。
「リュミエール様。ご報告します。昨日、昼過ぎに、あの月の聖痕が突如光だし、あの者が何かをしようとしておりましたので、速攻に意識を刈り取り、力を使うのを阻止いたしました」
え? 朧。今回は付いてこないと思っていたら、そんなことをしていたわけ?
「よくやりました。オボロ、貴方のお陰でアンジュは倒れる事無く、その後を過ごせましたよ」
神父様が朧に頼んでいたってこと?
「これで、あの者が力を使わなければ、アンジュに何も影響はないということが、立証されましたね」
名指しされたロゼは『死ぬ。絶対に死ぬ』と壊れたレコードの様に繰り返しており、リザ姉は貼り付いた笑顔のまま、遠い目をしていた。
異形の怪異的な事件は解決したけれど、なんだかお通夜の雰囲気の二人を連れて王都に戻ったのだった。
王都の上空は、太陽が眩しく青空が広がっている。ワイバーンの背から見下ろす王都は、所々水たまりが太陽の光を反射しているものの、王都が水没していることはなかった。
聖女の彼女の言うバッドエンドは避けられたらしい。
王都の北側に位置する聖騎士団の敷地にワイバーンを着地させ、何事もなく戻って来れた。別にそれはいいのだけど……
「戻ったら、教会であったような訓練が始まるんだよね」
私はルディに抱えられたまま地面に下ろされ、独り言を呟く。
嫌だとは言わないけれど、あのウキョー鳥に起こされた上に、訓練って朝からイライラしそうだよね。
「アンジュは訓練不参加でいいですよ」
先にワイバーンから降り立っていた神父様から、サボって良いという発言が出てきた。
やったね!ルディの目を盗んで、散歩ができるよ。
「恐らくダンジョンに行く用意が整いそうですからね」
「え!ダンジョン!……それって地下の?」
王城の地下にあるダンジョンに行けるらしい。それは嬉しい。絶対にそのダンジョンに何か秘密が隠されているはずなのだから。
「そうですね」
「リュミエール神父。勿論俺もアンジュに同行していいよな」
私を抱えたままのルディが言った。多分、付いてくるとは思っているよ。
「シュレインも行くべきでしょう。アンジュであれば、私達が見つけられなかった物を見つける可能性がありますからね」
それを聞いたルディは胡散臭い笑みを浮かべる。
「ということは、リュミエール神父はダンジョンに来ないということで、いいですよね」
「おや?それは共に行きますよ」
「不出来な者たちに訓練をつけるのであれば、アンジュとの同行は不可能ですよね」
なんだか、胡散臭い笑顔同士で言い合っている。この二人に巻き込まれたくないと言わんばかりにファルは早々にワイバーンを騎獣舎に帰して、酒吞と茨木は我関せずとさっさと何処かに姿を消してしまった。
リザ姉とロゼと第12部隊長は位置的に、ルディと神父様を挟んだ向こう側に騎獣舎があるため、動けなかった。それは二体のワイバーンが居れば、もう一体のワイバーンが通る隙間なんてないからね。
「それは問題はありません。シスター・マリアをこちらに呼びつけましたから」
「いやぁぁぁぁ!シスター・マリア様がぁぁぁぁ」
シスター・マリアの名前を聞いたロゼが発狂している。シスター・マリアは優しい人なのに、何を叫んでいるのだろう。それもシスターに様がついている。普通はつけないよ。
「また、アンジュと比べられるよ『年下のアンジュができているのに、何故あなた達ができないの』って言われるじゃない!」
ああ、そういうことね。でもそれって個人の能力差ってことだから、ある程度は仕方がないって……そういえば、ロゼが言っていた。部屋ごとに教育のレベルの内容が違うって。
私と比べられて必然的に教育のレベルが上げられたのか。
「はぁ。シスター・マリアはリュミエール神父様と違った意味で怖い方だったわね。憂鬱だわ」
リザ姉もため息を吐きながら、目から光が消えた。おかしいなぁ。シスター・マリアは私が散歩していても、困ったわっていう顔をして神父様のところに連行するぐらいで、怖いというイメージは全く無い。
「そういうことですので、私はアンジュと共に行動できますよ。それから、オボロでしたか、何かありましたか?」
神父様はきっと私が勝手な行動を取らないように、お目付け役として行くのだろう。ダンジョンと言ってもそこまで調査が進んでいない古代遺跡という場所で、私が色々しでかさないように、監視員の役目なんだと思う。
その神父様が突然、朧の名を呼んだ。すると、空間が歪むように黒髪から大きめの三角の耳が二つ生えた、人物が姿を現した。私には分からなかったけれど、きっと神父様とルディにはわかっていたことなのだろう。
「アンジュ様。リュミエール様。シュレイン様。ご無事にお戻りいただけたことに、とても喜ばしく思っております」
そう言って朧は深々と頭を下げた。朧、私を王族と同列に並べないで欲しいのだけど。
「リュミエール様。ご報告します。昨日、昼過ぎに、あの月の聖痕が突如光だし、あの者が何かをしようとしておりましたので、速攻に意識を刈り取り、力を使うのを阻止いたしました」
え? 朧。今回は付いてこないと思っていたら、そんなことをしていたわけ?
「よくやりました。オボロ、貴方のお陰でアンジュは倒れる事無く、その後を過ごせましたよ」
神父様が朧に頼んでいたってこと?
「これで、あの者が力を使わなければ、アンジュに何も影響はないということが、立証されましたね」
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