聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜

白雲八鈴

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226 尊敬じゃなくて呆れだよね

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「さて、ここに集まってもらったのは、集合時間に間に合っていないことを指摘するわけではなく、あなた達の階級を見直すためです」

 第13部隊に矛先を向けたと思った次の瞬間、神父様は例の爆弾発言をした。
 ただ、その言葉を理解できた者とできなかった者とで別れた。そのことを神父様も感じとったのだろう。もう一度言葉を噛み砕くように言い直した。

「今の貴方たちはその階級にあっていないと言っているのです。第4部隊も第9部隊の武人の異形にすら近づくことができずに、傀儡化された死体に足止めされるという体たらく。第1部隊と第7部隊は雪に足止めされ、女子供の異形を倒せないという体たらく。ああ、第10部隊と第3部隊は関係ないと思っているかもしれませんが、オーガの変異種を第13部隊が対処したために被害がなかっただけですからね」

 うん。正確には後ろにいるけどね。そのオーガの変異種がね。

「第6部隊長の貴方はルーナ聖女サンに対して怒っていたようですが、第13部隊によって異形が倒されたおかげで被害がなかっただけですからね。聖女という存在を蔑ろにしてはなりませんよ」

 一番、聖女の彼女を蔑ろにしている神父様に言われたくないと思うよ。

「そして、第12部隊に関しては、部隊の半分が全滅していたでしょうね。よかったですね。たまたまくだらない用事で第13部隊が里帰りしていて」

 くだらない用事。うん、ファルが突然、行こうって言い出しただけだからね。……ん?里帰りって言い方。もしかして、私のことを言っている?私がキルクスに戻るって言い出したことじゃないからね。

「本当に君たち弱いよね。これだけ部隊の人数揃えて、第13部隊に劣るってどういうことなのでしょうね」

 いや、そもそも第13部隊は他の部隊に馴染めなかった者たちの集まりだ。普通の騎士シュヴァリエとは違う。そこを比べるのは酷というもの。

「ですから、全ての者達の階級を見直します。将校オフィシエだとしても、その地位は保証しません」

 おおっ!殺気だっている人たちがいる。神父様とシスター・マリアの実力を知らないって恐ろしいね。

「おや?不服ですか?不服と言うなら、その実力を私に示してくれていいですよ」

 すると、神父様の殺気が満ちている中、数人の将校オフィシエが動いた。それも息を合わせたかのように一斉にだ。

「俺、あいつら尊敬するよ」

 尊敬するといいながらも、呆れたように言っているファル。

「リュミエール神父の聖痕の前では全てが無意味ですよ」

 ルディもファルと同じ心情なのだろう。私の上から呆れた声が降ってきた。

「でも、この前は惜しいところまでいったよ!神父様に攻撃が当たりる寸前まで行ったからね」

 教会で神父様に仕掛けて、背後をとれたんだからね。今度は攻撃を当ててみせる。

「じゃ、アンジュも参戦してくれば?」

 ファルがあの中に混じってくればいいと言うけれど、1対多数は好きじゃない。私が多数から攻撃されるのは、ドンと来ればいいと思うけれどね。

「私は不服でもないし、訓練には参加しないからね」

 しかし、離脱が早い。シスター・マリアの一撃を受けて、膝を付いている人がいる。

「第6部隊長がんばっているなぁ。あと第7と第9もな。名指しで貶されたしな」

 今、三人の白い隊服の人が神父様に剣を向けて戦っているけど、残っているなぁとおもったら、隊長クラスだった。それは強いよね。
 ファルは他人事だよね。私のダンジョン探検について来ていいって、許可が出てきていないというのに。

「ファル様は参戦しないわけ?ダンジョン探検についてきていいって、神父様から言われていないけど?」

「……アンジュ。それは俺が将校オフィシエの実力が無いと、言っているのか?」

 いや、私はファルの本気の実力は知らないけれど、聖痕の力はすごいとは思っているよ。でもね。

「さぁ?その基準を決めるのはシスター・マリアだから、木の枝から作られた剣を持つに相応しくないとなれば、降格されると思うよ」

「そっちか!」

 そっちもどっちもシスター・マリアから言われていたよね。しかし、シスター・マリアは今、神父様の背後で、背より高いランスを持っている。それはそれなりに威圧なんだけど、先程までランスなんて持っていなかったよ……どこから、取り出したのだろう。

「第13部隊。私語を慎みなさい」

 シスター・マリアの声がしたかと思うと、さっきまでシスター・マリアの手にあったランスがこっちに向かって飛んで来た。

「ファル様の声が煩いって」

 私はそう言いながら、飛んできたランスを蹴り上げて軌道を変える。ランスは私が蹴った衝撃でクルクルと回転しながら背後に飛んでいってしまった。

「アマテラス。つまらないから、戦ってきていいか?」

 そう言って来たのは勿論酒吞だ。やはり朝早くから叩き起こされて、この場に突っ立っているのは暇だったようだ。

「いいよ」

 私は振り返りながら答える。2メルメートルぐらいある酒吞の手には先程私が蹴り上げたランスがあった。うん。なんだか思ったよりしっくりきている。このまま一騎当千しそうな姿だ。

「朝飯前の運動にはいいよな」

 酒吞は嬉しそうに口元を歪めながら、ランスを投擲のように投げ放った。そのランスは炎をまとい、空気を裂きながら飛んでいく。

 空気を裂きながらということは、その衝撃に巻き込まれ吹き飛んでいく前方の人たち。ランスを追いかけるように笑いながら駆けていく酒吞。

 一気に戦場と化していく訓練場。

「アンジュ!飼い犬は、しつけておきなさい」

 シスター・マリア。酒吞は飼い犬ではなくて鬼なので、しつけは無理です。


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