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306 どいつも還ってねぇな
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「その鎖も炎に弱かったとは、以外な弱点もあったものです。因みにどれほどの炎で消失するのですかね?」
「知らない」
それは後で実験でもすればいい。ただ、酒吞の炎もそうだけど、200年前の聖女の兄が作り出した青い炎が未だに燃え続けていることから、普通の炎程度では駄目なことは予想できる。
「それでアンジュ。迷宮に潜って疑問は解決しましたか?」
「神父様。あれで疑問が解決できると思っているわけ?胸糞悪くなるし、疑問だらけだし、結局今まで開いたであろう常闇を全部閉じろとかいう無理難題を言われただけじゃない!」
そもそもだ。今までの聖女が常闇をきちんと閉じていなかったのが悪い。
いや、一番悪いのは獅子王だ。獅子王がおかしなことを考えて実行しなければよかったのだ。
そして一番最後に聞こえてきた問題発言。あの常闇を閉じると世界に力を補充する仕掛けを施していると言ったことだ。
絶対にろくなことじゃない。元々聖女と王の力を世界に還元しようと、あのダンジョンを作ったぐらいだ。
人々の命を世界の力に変換するような仕掛けがしてあってもおかしくはない。
「それに結局、世界の力は枯渇したままで、何も解決してはいないよね」
「アンジュ。そこまではアンジュがすることではないだろう。表面上だけ蓋をしている常闇を探し出して閉じる。これだけでも十分被害が押さえられることだ」
ルディは大きな常闇から出てきた異形の出現を、抑えられるだけでも違うと言ってきた。
確かに手に負えないほどの強い異形は、大きな常闇からしか現れない。手に負えない者たちは、そのまま常闇から戻ってもらうしかなかったのが現状だ。
「そうだね。結局私達では倒せないから、常闇から還ってもらうしかなかった。世界に食べられたモノたちもいたけどね」
私が力不足だったことを言うと、向かい側にいる鬼の二人が変な顔をした。
なに?結局私は倒していないよ。
「あー……アマテラス。そのことなんだが……」
ん?どれのこと?酒吞。
「多分。どいつもこいつも元のところには還ってねぇ」
「は?」
「途中で妖力がプツリと途切れたのを感じたので、捕食されたのだと思われます」
「え?大天狗も?」
「ああ」
「首だけの武者も?」
「ああ」
「幻覚を見せる霊獣も?」
「ああ?そいつはわかんねぇな」
私は元の世界に還したと思ったのに?
違う違う。大天狗も、坂東の虎って言われた首も、死の鎖に絡まれて常闇に呑まれていった。
そう、死の鎖に絡まれていたのだ。
鎖に絡まれずに常闇に戻っていったのは牛若丸の烏天狗と、幻覚を見せる霊獣ミズチだ。
でも彼らが元の世界に戻ったのか確認するすべは、私は持ち合わせてはいない。
そして龍神はというと、常闇から突如出てきた巨大な手によって、常闇に引きずり込まれた。それも私にしか見えない巨大な手で。……これは黒い女性と同じだ。
ルディも神父様も黒い巨大な手を認識できていなかった。
「私は世界から逃がしたために、巨大な手が出てきたのだと思っていたのだけど、神の力を逃がすまいと出てきたってことかな?うーん。黒狐の王妃と聖女の女性が混じった存在が、一番意味不明だってことには変わりないか」
結局あの存在が一番不明なのだ。世界の意志を持つ存在と言って良いのか。獅子王に復讐をしたい黒狐の王妃の妄執か。世界を守りたいと自ら犠牲になったという聖女の偽善か……本心か。
うーん。映像からいけば、ただ単にあの聖女は、鎖に絡まれて常闇に落ちていったようにしか見えなかったのだけどなぁ。
そもそも世界のために自ら犠牲になるほどなのかな?私ならごめんだね。
「リュミエール神父。結局俺達はどう動けがいいのでしょうか?」
ファルが結論的に何をすればいいのかと聞いている。結論は見えない常闇を完全に閉じること。これしかないと思う。
「そうですね。取り敢えず今晩にでも、ここの常闇を開いて閉じてもらいましょうか」
……神父様。それはファルが聞きたいことじゃないと思う。
それに今晩って急すぎじゃない?
「それ、私ひとりが大変だってことだよね」
「いいえ、我々は周りの警戒をしなければなりません。ひと目があると聖女様の機嫌が悪くなりますからね」
「その『聖女様』っていうの止めてもらえませんか?神父様。凄く悪寒がする」
「アンジュ。やっぱり暖炉の火を強めようか?」
だからルディ、そういうことじゃない。
しかし、この王都の北側に常闇があるというのは予想でしかない。現実的にだ。表面上は蓋をしてある状態で私が常闇をこじ開けられるのかという問題がある。
今までは元々常闇が開いているところを強引に広げて、世界が悲鳴を上げるという惨事にいたった。私はまだ常闇を開くということをしたことはない。
となるとどこか隙間となる取っ掛かりがあると一番いいということになる。
「ねぇ、北側に常闇が漏れ出ているところってないのかなぁ?それなら開けそうな気がするのだけど?」
「こんな王都の側に小さな常闇でもあれば、それは大騒ぎになっているだろう」
ファルの言うとおりだ。もし王都の側に常闇があれば、聖女の彼女に封じてくれと、貴族共が騒いでいると思う。
「じゃぁ。今から下見に行っていいかな?」
これは私自身が見に行った方がいいよね。
「知らない」
それは後で実験でもすればいい。ただ、酒吞の炎もそうだけど、200年前の聖女の兄が作り出した青い炎が未だに燃え続けていることから、普通の炎程度では駄目なことは予想できる。
「それでアンジュ。迷宮に潜って疑問は解決しましたか?」
「神父様。あれで疑問が解決できると思っているわけ?胸糞悪くなるし、疑問だらけだし、結局今まで開いたであろう常闇を全部閉じろとかいう無理難題を言われただけじゃない!」
そもそもだ。今までの聖女が常闇をきちんと閉じていなかったのが悪い。
いや、一番悪いのは獅子王だ。獅子王がおかしなことを考えて実行しなければよかったのだ。
そして一番最後に聞こえてきた問題発言。あの常闇を閉じると世界に力を補充する仕掛けを施していると言ったことだ。
絶対にろくなことじゃない。元々聖女と王の力を世界に還元しようと、あのダンジョンを作ったぐらいだ。
人々の命を世界の力に変換するような仕掛けがしてあってもおかしくはない。
「それに結局、世界の力は枯渇したままで、何も解決してはいないよね」
「アンジュ。そこまではアンジュがすることではないだろう。表面上だけ蓋をしている常闇を探し出して閉じる。これだけでも十分被害が押さえられることだ」
ルディは大きな常闇から出てきた異形の出現を、抑えられるだけでも違うと言ってきた。
確かに手に負えないほどの強い異形は、大きな常闇からしか現れない。手に負えない者たちは、そのまま常闇から戻ってもらうしかなかったのが現状だ。
「そうだね。結局私達では倒せないから、常闇から還ってもらうしかなかった。世界に食べられたモノたちもいたけどね」
私が力不足だったことを言うと、向かい側にいる鬼の二人が変な顔をした。
なに?結局私は倒していないよ。
「あー……アマテラス。そのことなんだが……」
ん?どれのこと?酒吞。
「多分。どいつもこいつも元のところには還ってねぇ」
「は?」
「途中で妖力がプツリと途切れたのを感じたので、捕食されたのだと思われます」
「え?大天狗も?」
「ああ」
「首だけの武者も?」
「ああ」
「幻覚を見せる霊獣も?」
「ああ?そいつはわかんねぇな」
私は元の世界に還したと思ったのに?
違う違う。大天狗も、坂東の虎って言われた首も、死の鎖に絡まれて常闇に呑まれていった。
そう、死の鎖に絡まれていたのだ。
鎖に絡まれずに常闇に戻っていったのは牛若丸の烏天狗と、幻覚を見せる霊獣ミズチだ。
でも彼らが元の世界に戻ったのか確認するすべは、私は持ち合わせてはいない。
そして龍神はというと、常闇から突如出てきた巨大な手によって、常闇に引きずり込まれた。それも私にしか見えない巨大な手で。……これは黒い女性と同じだ。
ルディも神父様も黒い巨大な手を認識できていなかった。
「私は世界から逃がしたために、巨大な手が出てきたのだと思っていたのだけど、神の力を逃がすまいと出てきたってことかな?うーん。黒狐の王妃と聖女の女性が混じった存在が、一番意味不明だってことには変わりないか」
結局あの存在が一番不明なのだ。世界の意志を持つ存在と言って良いのか。獅子王に復讐をしたい黒狐の王妃の妄執か。世界を守りたいと自ら犠牲になったという聖女の偽善か……本心か。
うーん。映像からいけば、ただ単にあの聖女は、鎖に絡まれて常闇に落ちていったようにしか見えなかったのだけどなぁ。
そもそも世界のために自ら犠牲になるほどなのかな?私ならごめんだね。
「リュミエール神父。結局俺達はどう動けがいいのでしょうか?」
ファルが結論的に何をすればいいのかと聞いている。結論は見えない常闇を完全に閉じること。これしかないと思う。
「そうですね。取り敢えず今晩にでも、ここの常闇を開いて閉じてもらいましょうか」
……神父様。それはファルが聞きたいことじゃないと思う。
それに今晩って急すぎじゃない?
「それ、私ひとりが大変だってことだよね」
「いいえ、我々は周りの警戒をしなければなりません。ひと目があると聖女様の機嫌が悪くなりますからね」
「その『聖女様』っていうの止めてもらえませんか?神父様。凄く悪寒がする」
「アンジュ。やっぱり暖炉の火を強めようか?」
だからルディ、そういうことじゃない。
しかし、この王都の北側に常闇があるというのは予想でしかない。現実的にだ。表面上は蓋をしてある状態で私が常闇をこじ開けられるのかという問題がある。
今までは元々常闇が開いているところを強引に広げて、世界が悲鳴を上げるという惨事にいたった。私はまだ常闇を開くということをしたことはない。
となるとどこか隙間となる取っ掛かりがあると一番いいということになる。
「ねぇ、北側に常闇が漏れ出ているところってないのかなぁ?それなら開けそうな気がするのだけど?」
「こんな王都の側に小さな常闇でもあれば、それは大騒ぎになっているだろう」
ファルの言うとおりだ。もし王都の側に常闇があれば、聖女の彼女に封じてくれと、貴族共が騒いでいると思う。
「じゃぁ。今から下見に行っていいかな?」
これは私自身が見に行った方がいいよね。
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