聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜

白雲八鈴

文字の大きさ
338 / 461

337 今日は自由だ!

しおりを挟む
 あの後、私はルディに連行されている途中で寝落ちした。ゆらゆらと揺れている振動に負けて、そのままぐぅーっと寝てしまった。

 仕方が無いじゃない。夜半から夜叉の対応をしていたのだから。

 そして私は爆睡し、起きたら丸一日経っていた。……おかしい!いつの間にか日付が変わっているじゃないか!

 と翌朝、ルディに向って叫んだ。何故、夕方ぐらいに起こしてくれなかったのだと。

「部屋に戻って来た時に起こした。あのあとずっと聖痕を出しっぱなしだっただろう?だから聖痕をしまうように言ったら、聖痕をしまって、そのまま寝ていたな」

 私は寝間着のままだけど、ルディはすでに着替えている。それもいつもの白い隊服ではない貴族っぽい服装だ。今日は何かあった?

 それから、新月は月の聖女の力は使えないんじゃなかったの?

「太陽が昇っていたからだろう?」

 ぐふっ!相変わらず、よく分からないシステムだ。

 どうやら、ルディの話を聞くところによると、昨日の朝から聖女の彼女は部屋からの脱走を試みて暴れたらしい。何かよく分からない言葉を叫んでいたらしい。だけど、何を言っているかわからなかったらしい。
 きっと日本語で叫んでいたのだろう。

「それから、今日は俺は兄上に呼ばれて王城に行ってくる」
「やった!」

 はっ!思わず喜んでしまった。魔王様が無言で私を見下ろしてくる。まぁ、そういうことでいつもと違う格好をしていたようだ。

「アンジュ。昨日の説明がまだされていないのを忘れているよな」

 瞳孔が開いた目で見下ろして、私が説明できないことを言わないでほしい。

 これはどう話を変えればいいのかな?……はっ!

「一日飛んでしまったから、今日は美味しいご飯作って待っているね」

 にこりと笑みを浮かべて言う。この笑顔は神父様に媚を売る時の笑顔だ。
 しかし、神父様からは胡散臭い笑顔で、グサッとくる言葉が返ってくるけどね。

 するとルディがふいっと顔を横に背ける。なに? これは新しいパターン?

 ルディが口を押さえながらボソボソ言っている。何か『カワイイ』を連呼しているように聞こえなくもない。

 そしてルディが、未だにベッドの上にいる私を抱きかかえて爆弾発言をしてきた。

「兄上から婚姻の許可をもらってくるからな」
「は?」
「明日にでも……」
「ちょっと待って!契約はあと半年ある!」
「何度も言っているが、あの契約書は一年以内と書かれている」

 そうだった!!一年以上にならなければいいという契約書だった。

「許可をもらってくるから少し遅くなるかもしれないが、夕食の時間までには戻って来る」

 ルディはそう言って、私の腕輪に鎖を巻いて、軽く私に口付けをして寝室を出ていった。

 再びベッドに戻された私は頭を抱える。これは本気で明日にでも籍を入れかねない。だが、この生活が変わるかと言えば、何も変わらないだろう。

 ルディが第十三部隊の隊長であり、私が第十三部隊の副部隊長……(仮)であることには変わりない。

 うん。そう思えば、大したことがないように思えてきた。

 あの白銀の王様がルディに王位を譲るとか言わないかぎり……いや、それは以前言っていた。

「ルディ!ちょっとそれは駄目だよ!」

 そう言いながら、ルディの部屋の方に押し入れば、居たのは白い隊服を着たファルだった。

 ファルは私の方を見た瞬間、唖然とした顔をしたかと思えば、呆れた表情をして一言呟く。

「『宿蔓』」

 するとファルから緑の蔦が飛び出てきて、私をぐるぐる巻にして、その勢いのまま私は寝室の方に戻され、目の前で扉が閉められた。

「羞恥心を持てと言っているだろうが!」

 扉の向こうからファルの叫び声が聞こえてきた。もろもろと崩れ去る蔦を払って、口元を拭ってみるが、よだれは垂れていない。

 何も問題は無いはずだ。

「もしかして寝癖が酷いことに!」
「違う!今日は第十三部隊の方にはこなくていいからな!」

 それだけを言ってファルの気配が遠ざかっていく。

 ……今日は自由だ!ふふふっ!この時を待っていた。まずは仲間を集めないといけない。

「朧。お願いがあるんだけどさぁ」

 ルディとファルの目がなくなったと言っても、私に監視の目がなくなったわけではない。
 そう、私には黒狼の朧の監視がついているのだ。

「アンジュ様から離れるという願いはお受けできません。それから先にお着替えを」

 天井裏からそんな言葉が降ってきた。
 わかっている。朧を巻き込む。それは計画の中に、入れておかないと始まらない。

 しかし、私が起きたばっかりなのだから、寝間着のままなのは仕方が無いと思うのだけど?

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした

楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。 仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。 ◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪ ◇全三話予約投稿済みです

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

転生貧乏令嬢メイドは見なかった!

seo
恋愛
 血筋だけ特殊なファニー・イエッセル・クリスタラーは、名前や身元を偽りメイド業に勤しんでいた。何もないただ広いだけの領地はそれだけでお金がかかり、古い屋敷も修繕費がいくらあっても足りない。  いつものようにお茶会の給仕に携わった彼女は、令息たちの会話に耳を疑う。ある女性を誰が口説き落とせるかの賭けをしていた。その対象は彼女だった。絶対こいつらに関わらない。そんな決意は虚しく、親しくなれるように手筈を整えろと脅され断りきれなかった。抵抗はしたものの身分の壁は高く、メイドとしても令嬢としても賭けの舞台に上がることに。  これは前世の記憶を持つ貧乏な令嬢が、見なかったことにしたかったのに巻き込まれ、自分の存在を見なかったことにしない人たちと出会った物語。 #逆ハー風なところあり #他サイトさまでも掲載しています(作者名2文字違いもあり)

【完結】小公爵様の裏の顔をわたしだけが知っている

おのまとぺ
恋愛
公爵令息ルシアン・ド・ラ・パウルはいつだって王国の令嬢たちの噂の的。見目麗しさもさることながら、その立ち居振る舞いの上品さ、物腰の穏やかさに女たちは熱い眼差しを向ける。 しかし、彼の裏の顔を知る者は居ない。 男爵家の次女マリベルを除いて。 ◇素直になれない男女のすったもんだ ◇腐った令嬢が登場したりします ◇50話完結予定 2025.2.14 タイトルを変更しました。(完結済みなのにすみません、ずっとモヤモヤしていたので……!)

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

嫌われていると思って彼を避けていたら、おもいっきり愛されていました

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のアメリナは、幼馴染の侯爵令息、ルドルフが大好き。ルドルフと少しでも一緒にいたくて、日々奮闘中だ。ただ、以前から自分に冷たいルドルフの態度を気にしていた。 そんなある日、友人たちと話しているルドルフを見つけ、近づこうとしたアメリナだったが “俺はあんなうるさい女、大嫌いだ。あの女と婚約させられるくらいなら、一生独身の方がいい!” いつもクールなルドルフが、珍しく声を荒げていた。 うるさい女って、私の事よね。以前から私に冷たかったのは、ずっと嫌われていたからなの? いつもルドルフに付きまとっていたアメリナは、完全に自分が嫌われていると勘違いし、彼を諦める事を決意する。 一方ルドルフは、今までいつも自分の傍にいたアメリナが急に冷たくなったことで、完全に動揺していた。実はルドルフは、誰よりもアメリナを愛していたのだ。アメリナに冷たく当たっていたのも、アメリナのある言葉を信じたため。 お互い思い合っているのにすれ違う2人。 さらなる勘違いから、焦りと不安を募らせていくルドルフは、次第に心が病んでいき… ※すれ違いからのハッピーエンドを目指していたのですが、なぜかヒーローが病んでしまいました汗 こんな感じの作品ですが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m

【完結】すり替わられた小間使い令嬢は、元婚約者に恋をする

白雨 音
恋愛
公爵令嬢オーロラの罪は、雇われのエバが罰を受ける、 12歳の時からの日常だった。 恨みを持つエバは、オーロラの14歳の誕生日、魔力を使い入れ換わりを果たす。 それ以来、オーロラはエバ、エバはオーロラとして暮らす事に…。 ガッカリな婚約者と思っていたオーロラの婚約者は、《エバ》には何故か優しい。 『自分を許してくれれば、元の姿に戻してくれる』と信じて待つが、 魔法学校に上がっても、入れ換わったままで___ (※転生ものではありません) ※完結しました

[完結]私を巻き込まないで下さい

シマ
恋愛
私、イリーナ15歳。賊に襲われているのを助けられた8歳の時から、師匠と一緒に暮らしている。 魔力持ちと分かって魔法を教えて貰ったけど、何故か全然発動しなかった。 でも、魔物を倒した時に採れる魔石。石の魔力が無くなると使えなくなるけど、その魔石に魔力を注いで甦らせる事が出来た。 その力を生かして、師匠と装具や魔道具の修理の仕事をしながら、のんびり暮らしていた。 ある日、師匠を訪ねて来た、お客さんから生活が変わっていく。 え?今、話題の勇者様が兄弟子?師匠が王族?ナニそれ私、知らないよ。 平凡で普通の生活がしたいの。 私を巻き込まないで下さい! 恋愛要素は、中盤以降から出てきます 9月28日 本編完結 10月4日 番外編完結 長い間、お付き合い頂きありがとうございました。

処理中です...