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393 天神は盗み聞きしている
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さめざめと泣いている黒蛇を回収して、先を急ぐ。けど、何故に緑の蛇までついて来ているわけ?
「『ちっょと何の用?』」
緑の蛇に日本語で問いかける。ん?そう言えば、さっき私の言葉に普通に反応していたよね?
あれ?どういうことなのだろう?
『我をあの坊主から解放していただいた礼を……』
「『あ、そういうのはいいから、別にあの僧兵を倒したわけじゃないし』」
「アンジュ?」
「そこの緑の蛇と話しているだけだから、気にしなくていいよ。ルディ」
私がおかしな言葉を言い始めたから、ルディが反応してしまった。面倒だな。
しかし、前方から冷気のような冷たい空気が漂ってくるのが気になる。
『へび……』
あれ?やっぱり言葉を理解している。
「ねぇ。そこの緑の蛇。何故言葉がわかるの?」
『我は蛇ではなく……』
「そういう誇りとか無駄なものは、ここでは意味をなさないよ。何故言葉を理解しているの?」
『何故と言われましても、大陸の言葉ではなく日ノ本の言葉でしょう』
ん?緑の蛇は日本語を話している。そして私の日本語とこの世界の言葉が、別の物とは認識していない。
ということは、この空間が特殊な状態になっていると考えてもいい。これはもしかして天神がこの世界の者の言葉を知ろうとした結果なのかもしれない。
私は進む足をピタリと止める。
「どうかしましたか?アンジュ」
「(神父様。天神は見ているし、聞いている)」
私は念話を使う。これは火山とか熱気が酷いときや毒ガスが充満しているところなど、特殊な環境で用いることが多い魔術だ。
「(そうですか。覗き見だけでなく、聞き耳も立てているのですか。これからの発言は念話の方がいいですね)」
そしてルディも神父様も、私と緑の蛇の会話を理解していなかったということは、異界語を日本語に変換し、異形のみに反映されるということか。
みんなの顔を見ると、頷いているので、状況を理解してくれたらしい。
「(先に進もう)」
そう、言葉にして足を進めた。
「それで、礼を言ったから、もうついてくる必要はないよね?」
『忠告を。この先に紅梅と黄梅がいます。幻術を現実に引き込む者たちです。お気をつけを……うぐっ』
うめき声が聞こえた方に視線を向けると、緑の鱗をまとう躯体からねじ曲がった木の幹が生えていた。その木の枝の先には蕾がある。
なんだか嫌な予感がして、木の幹に紫の液体で包み込んだ。毒の聖痕と重力の聖痕を駆使して龍には触れないようにしている。
朽ちる木の幹。
「(神父様。結界を。ロゼ、結界を駆使してその枯れた木を引っこ抜いて)」
神父様の結界に包まれた瞬間。クスクスという笑い声が耳に障った。声がする前方をみると、紅の髪が印象的な白拍子と金髪よ言うよりも黄蘗色という髪の色の白拍子がいた。
二人とも金色の扇を目の前で掲げて笑みを浮かべている。
あれが、紅梅と黄梅か。
『ここまで、詣でてきたことを褒めてつかわす』
『しかし、この先は神域。これ以上は行かさぬ』
「(アンジュ。結界をどうやって駆使して引っこ抜くの?無理だよ。それからアレなに?変な被り物して変わった服を着ている者)」
……白拍子だからね。
それから、龍の身体の中に木の根が張っていそうだから、糸を合わせた結界を添えれば引っこ抜けると思ったのだけど、ロゼでは無理なのか。
『その龍のように臥龍梅の苗どころになるとよい』
扇を振るう赤い髪の白拍子。
だけど、何も起こらない。
やはり、空間を断絶している神父様の結界の中では幻影を実体化することはできないということ。
しかし臥龍梅とは皮肉なことを言ってくれる。朽ちる寸前の梅の苗どころになるとは、これは花が咲けばその身体も朽ちると言いたいのだろう。
『ん?何も起こらぬ?』
『紅梅。妾が参ろう』
黄蘗色の髪の白拍子が刀を抜く。いや、上向きに反ったあの形は太刀か。
そして鈍色の刀身を振り切った。そこから風が巻き起こり、嵐のような雨が結界を叩く。
幻術を実体化するなんて、チートすぎる。
もし神父様の結界がなければ、何かしらの影響を受けていただろう。
『うむ。結界術か。それならば、これではどうであるか』
神父様の結界があれば、大丈夫だろう。私は下がって、うめき声を上げている龍の側に行く。
『参られよ。建速須佐之男命よ』
「うげっ!」
スサノオノミコトだって!幻影で神を呼び出そうとしている!
これはダンジョンと同じ方法を使った方が良い。
「(ルディ。神父様の結界の周りを闇で空間を侵食して)」
「(何故だ?あいつらはリュミエール神父の結界の前では無力だ)」
「(違う。神を喚び出そうとしている。力が強すぎて、追放になった神だよ!)」
高天原を追放になった神。力が強すぎて、厄災をも払ってしまうと言われている神。
これは力技で神父様の結界を打ち破ろうとしているのだろう。
その間に私は龍から強引に、毒にまみれた木を引っこ抜く。『うがっ』っと言われたが、丁寧に抜いてやる義理もないし、時間もない。
「(ロゼ、回復薬をかけるぐらいはできるよね?)」
「(アンジュ。何気に私を役立たず扱いしている?)」
そんなことはないよ。木を引っこ抜くぐらいしてくれないのか……とは思ったけどね。
「『ちっょと何の用?』」
緑の蛇に日本語で問いかける。ん?そう言えば、さっき私の言葉に普通に反応していたよね?
あれ?どういうことなのだろう?
『我をあの坊主から解放していただいた礼を……』
「『あ、そういうのはいいから、別にあの僧兵を倒したわけじゃないし』」
「アンジュ?」
「そこの緑の蛇と話しているだけだから、気にしなくていいよ。ルディ」
私がおかしな言葉を言い始めたから、ルディが反応してしまった。面倒だな。
しかし、前方から冷気のような冷たい空気が漂ってくるのが気になる。
『へび……』
あれ?やっぱり言葉を理解している。
「ねぇ。そこの緑の蛇。何故言葉がわかるの?」
『我は蛇ではなく……』
「そういう誇りとか無駄なものは、ここでは意味をなさないよ。何故言葉を理解しているの?」
『何故と言われましても、大陸の言葉ではなく日ノ本の言葉でしょう』
ん?緑の蛇は日本語を話している。そして私の日本語とこの世界の言葉が、別の物とは認識していない。
ということは、この空間が特殊な状態になっていると考えてもいい。これはもしかして天神がこの世界の者の言葉を知ろうとした結果なのかもしれない。
私は進む足をピタリと止める。
「どうかしましたか?アンジュ」
「(神父様。天神は見ているし、聞いている)」
私は念話を使う。これは火山とか熱気が酷いときや毒ガスが充満しているところなど、特殊な環境で用いることが多い魔術だ。
「(そうですか。覗き見だけでなく、聞き耳も立てているのですか。これからの発言は念話の方がいいですね)」
そしてルディも神父様も、私と緑の蛇の会話を理解していなかったということは、異界語を日本語に変換し、異形のみに反映されるということか。
みんなの顔を見ると、頷いているので、状況を理解してくれたらしい。
「(先に進もう)」
そう、言葉にして足を進めた。
「それで、礼を言ったから、もうついてくる必要はないよね?」
『忠告を。この先に紅梅と黄梅がいます。幻術を現実に引き込む者たちです。お気をつけを……うぐっ』
うめき声が聞こえた方に視線を向けると、緑の鱗をまとう躯体からねじ曲がった木の幹が生えていた。その木の枝の先には蕾がある。
なんだか嫌な予感がして、木の幹に紫の液体で包み込んだ。毒の聖痕と重力の聖痕を駆使して龍には触れないようにしている。
朽ちる木の幹。
「(神父様。結界を。ロゼ、結界を駆使してその枯れた木を引っこ抜いて)」
神父様の結界に包まれた瞬間。クスクスという笑い声が耳に障った。声がする前方をみると、紅の髪が印象的な白拍子と金髪よ言うよりも黄蘗色という髪の色の白拍子がいた。
二人とも金色の扇を目の前で掲げて笑みを浮かべている。
あれが、紅梅と黄梅か。
『ここまで、詣でてきたことを褒めてつかわす』
『しかし、この先は神域。これ以上は行かさぬ』
「(アンジュ。結界をどうやって駆使して引っこ抜くの?無理だよ。それからアレなに?変な被り物して変わった服を着ている者)」
……白拍子だからね。
それから、龍の身体の中に木の根が張っていそうだから、糸を合わせた結界を添えれば引っこ抜けると思ったのだけど、ロゼでは無理なのか。
『その龍のように臥龍梅の苗どころになるとよい』
扇を振るう赤い髪の白拍子。
だけど、何も起こらない。
やはり、空間を断絶している神父様の結界の中では幻影を実体化することはできないということ。
しかし臥龍梅とは皮肉なことを言ってくれる。朽ちる寸前の梅の苗どころになるとは、これは花が咲けばその身体も朽ちると言いたいのだろう。
『ん?何も起こらぬ?』
『紅梅。妾が参ろう』
黄蘗色の髪の白拍子が刀を抜く。いや、上向きに反ったあの形は太刀か。
そして鈍色の刀身を振り切った。そこから風が巻き起こり、嵐のような雨が結界を叩く。
幻術を実体化するなんて、チートすぎる。
もし神父様の結界がなければ、何かしらの影響を受けていただろう。
『うむ。結界術か。それならば、これではどうであるか』
神父様の結界があれば、大丈夫だろう。私は下がって、うめき声を上げている龍の側に行く。
『参られよ。建速須佐之男命よ』
「うげっ!」
スサノオノミコトだって!幻影で神を呼び出そうとしている!
これはダンジョンと同じ方法を使った方が良い。
「(ルディ。神父様の結界の周りを闇で空間を侵食して)」
「(何故だ?あいつらはリュミエール神父の結界の前では無力だ)」
「(違う。神を喚び出そうとしている。力が強すぎて、追放になった神だよ!)」
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これは力技で神父様の結界を打ち破ろうとしているのだろう。
その間に私は龍から強引に、毒にまみれた木を引っこ抜く。『うがっ』っと言われたが、丁寧に抜いてやる義理もないし、時間もない。
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