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ソフィアの気持ちとアーロン
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マクガイア王国を倒すなど、そんな無謀な計画にソーハンが協力するなんてありえない。
死んでしまうかもしれないと思うと恐ろしくなった。
「お兄様を捜してくれていたのは有難いと思っている。でも私は王女にもどりたいなんて思っていない。マクガイアを倒すなんて無理よ。今すぐ手を引いて」
「それは無理だ」
「どうして!」
「仲間も高額報酬にやる気になっている。家族を置いてこっちに出てきている奴もいる。それに……王女に戻ったらいちいち髪を染めなくてもいいし、偽名も使わなくていい。堂々とお日様の下を歩けるんだぞ。裕福で幸せな人生が待っている。俺はお前に幸せになって欲しいんだ」
「人の幸せを勝手に決めないで。私はソーハンのお嫁さんになるって決めているの。それが私の幸せよ」
「またそれか」
「もう十八で大人なのよ。真剣に考えてよ!」
「真剣に考えているからこその決断だったんだ。お前にはお前の年齢にあった、もっとちゃんとした男がいる!」
「わかってない。たったの十二歳差よ。村のおばさん夫婦は八歳差だったわ。四年しか違わないでしょ。それにちゃんとした男って何? ソーハンだってちゃんとしてるじゃない」
「俺は盗賊なんだ!」
一瞬その場の空気の流れが止まった。
ソーハンは私の瞳を覗きこむようにじっと見つめている。
彼が私の反応を気にしている。
それが今は嬉しく感じてしまうのは彼に対してちょっと不謹慎だろうか。
「ふん、そんなの察しはついていたわ」
「……盗み、時には人殺し、なんでもやって来たんだぞ」
「それが何なのよ!」
私は何も考えずただ養われていたわけではない。
いつも帰りが遅く、昼間は家にいることが多いソーハンに、大きくなるにつれて村の他の男たちと違うと思うようになった。
盗賊だったとは驚きだが、人には言えない仕事をしているのはなんとなく分かっていた。
でもそれが一体何なんだ。
そんなことは気にしない。
「貴族も騎士も、人なんてたくさん殺しているわ。戦争だってそうじゃない。国民や、お父様とお母様を殺したマクガイア国王も人殺しだわ! 征服したティリティアから全てを盗んだ泥棒よ! さも当然の権利のように! でもティリティアが勝っていたとしてもきっとマクガイアと同じことをしたわ。だから私は何も言えないの。あなたと違うところなんて無いのよ! 絶対的な正義なんてどこにも無いのよ!」
ソーハンは困ったような顔をしているが、私は一歩も引く気は無かった。
トントンと扉を叩く音がして、誰かが訪ねて来た。
窓の外に目をやると、だいぶ日も暮れてきている。
「俺だ、開けるぞ。いい知らせがあるんだ」と言いながら、勝手にドアを開ける。
「チッ」
入ってきたのはカールした金髪の、大きくて少したれ目の優しそうな男だ。彼は私を見て立ち止まって言った。
「おや、この美しい淑女はどなたかな?」
淑女? そんな言い方をする盗賊なんていないだろう。
多分この男がアーロンだ。
アーロン……名前だけは覚えている。
ソーハンはアーロンの質問には答えないで、私に耳元で小さく「もう帰れ」と囁いた。
厄介払いするみたいにそんなことを言うなんて酷い。
もっと一緒にいたいし話もしたい。
それに今帰ったら次ここに来た時には彼は姿を消しているかもしれないと、被害妄想的考えが頭をもたげる。
でもそうなってしまうのも仕方がないよねと自分を慰めた。
だから素直に従うつもりなんて、さらさらない。
私はソーハンを無視して来訪者に質問した。
「あなたがエリオポール公爵の息子のあのアーロンなの?」
お兄様とアーロンと、あとジョナサンの四人でよく遊んでいたのを覚えている。
小さすぎて顔は覚えていない。
彼は私の質問に直接答えずソーハンに話を向けた。
なんか失礼だなと思った。
「ソーハン、この淑女は君とどういう関係なのかい?」
「私はソフィアよ。覚えているでしょう」
「おい!」
「いいじゃない」
ソーハンは王子と王女を探しているこの人の仲間になった癖に、彼に私の事を教えたくないのだろうか。
「まさか……王女殿下ですか?」
死んでしまうかもしれないと思うと恐ろしくなった。
「お兄様を捜してくれていたのは有難いと思っている。でも私は王女にもどりたいなんて思っていない。マクガイアを倒すなんて無理よ。今すぐ手を引いて」
「それは無理だ」
「どうして!」
「仲間も高額報酬にやる気になっている。家族を置いてこっちに出てきている奴もいる。それに……王女に戻ったらいちいち髪を染めなくてもいいし、偽名も使わなくていい。堂々とお日様の下を歩けるんだぞ。裕福で幸せな人生が待っている。俺はお前に幸せになって欲しいんだ」
「人の幸せを勝手に決めないで。私はソーハンのお嫁さんになるって決めているの。それが私の幸せよ」
「またそれか」
「もう十八で大人なのよ。真剣に考えてよ!」
「真剣に考えているからこその決断だったんだ。お前にはお前の年齢にあった、もっとちゃんとした男がいる!」
「わかってない。たったの十二歳差よ。村のおばさん夫婦は八歳差だったわ。四年しか違わないでしょ。それにちゃんとした男って何? ソーハンだってちゃんとしてるじゃない」
「俺は盗賊なんだ!」
一瞬その場の空気の流れが止まった。
ソーハンは私の瞳を覗きこむようにじっと見つめている。
彼が私の反応を気にしている。
それが今は嬉しく感じてしまうのは彼に対してちょっと不謹慎だろうか。
「ふん、そんなの察しはついていたわ」
「……盗み、時には人殺し、なんでもやって来たんだぞ」
「それが何なのよ!」
私は何も考えずただ養われていたわけではない。
いつも帰りが遅く、昼間は家にいることが多いソーハンに、大きくなるにつれて村の他の男たちと違うと思うようになった。
盗賊だったとは驚きだが、人には言えない仕事をしているのはなんとなく分かっていた。
でもそれが一体何なんだ。
そんなことは気にしない。
「貴族も騎士も、人なんてたくさん殺しているわ。戦争だってそうじゃない。国民や、お父様とお母様を殺したマクガイア国王も人殺しだわ! 征服したティリティアから全てを盗んだ泥棒よ! さも当然の権利のように! でもティリティアが勝っていたとしてもきっとマクガイアと同じことをしたわ。だから私は何も言えないの。あなたと違うところなんて無いのよ! 絶対的な正義なんてどこにも無いのよ!」
ソーハンは困ったような顔をしているが、私は一歩も引く気は無かった。
トントンと扉を叩く音がして、誰かが訪ねて来た。
窓の外に目をやると、だいぶ日も暮れてきている。
「俺だ、開けるぞ。いい知らせがあるんだ」と言いながら、勝手にドアを開ける。
「チッ」
入ってきたのはカールした金髪の、大きくて少したれ目の優しそうな男だ。彼は私を見て立ち止まって言った。
「おや、この美しい淑女はどなたかな?」
淑女? そんな言い方をする盗賊なんていないだろう。
多分この男がアーロンだ。
アーロン……名前だけは覚えている。
ソーハンはアーロンの質問には答えないで、私に耳元で小さく「もう帰れ」と囁いた。
厄介払いするみたいにそんなことを言うなんて酷い。
もっと一緒にいたいし話もしたい。
それに今帰ったら次ここに来た時には彼は姿を消しているかもしれないと、被害妄想的考えが頭をもたげる。
でもそうなってしまうのも仕方がないよねと自分を慰めた。
だから素直に従うつもりなんて、さらさらない。
私はソーハンを無視して来訪者に質問した。
「あなたがエリオポール公爵の息子のあのアーロンなの?」
お兄様とアーロンと、あとジョナサンの四人でよく遊んでいたのを覚えている。
小さすぎて顔は覚えていない。
彼は私の質問に直接答えずソーハンに話を向けた。
なんか失礼だなと思った。
「ソーハン、この淑女は君とどういう関係なのかい?」
「私はソフィアよ。覚えているでしょう」
「おい!」
「いいじゃない」
ソーハンは王子と王女を探しているこの人の仲間になった癖に、彼に私の事を教えたくないのだろうか。
「まさか……王女殿下ですか?」
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