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皇族と神殿の関係
(あぁ、僕はどうしてあんなことを言ってしまったんだ! あんなことを言う男なんてどこにもいないぞ)
「ハンカチを洗って返してくれだなんて、とんでもなくケチ臭くて心が狭いじゃないかー!」
次に会う約束を取り付けるためだとしてもあれはない。
ジェラールはエレンと別れた時とは打って変わって自室の机に頭を突っ伏して自己嫌悪に陥っていると、ちょうど侍女が夕食の時間を知らせに来た。
馬鹿な自分を責め続けていたら時が経つのをすっかり忘れていた。
食事の席でジェラールは皇帝と皇后にガリアスが使用人の女の子を苛めていたと話した。
皇帝は全く興味なさげで、皇后に至っては「その女の子はどこのご令嬢なの?」と聞いてきた。
ちゃんと聞いていなかったのだろうか、彼がもう一度「使用人の娘です」と答えると皇后は眉毛をピクリと上げて、それ以上何も言わなかった。
ガリアスは皇后の従妹である侯爵夫人の息子だ。
ジェラールにしてみれば彼と少しでも血が繋がっているだけでも嫌なのに、将来皇帝になった時の力になる人物だから仲良くしなさいと皇后から言われていて不快で仕方ない。
ジェラールは自分の両親と一緒になってガリアスをこき下ろすことができなくてがっかりした。
だがそれは今彼が本当に言いたいことではない。
今日彼がベニュロ侯爵家に行ったのは、剣術の師匠が侯爵家の騎士を推薦したからだ。
その騎士は特に優れた防御技術を持っており、彼からその術を学べということだった。
まだ行くとは言っていないのに、もう話はつけてあるとまで言われた。
ジェラールは一日だけならということで嫌々行ったがエレンと出会えたのは嬉しい誤算だった。
しかも彼女に会うためにこの事が使えると閃いたのだ。
「父上、稽古をつけてくれた騎士にこれからも剣術を習いたいので暫く侯爵家に通ってもいいですか」
「まぁ、それは素晴らしいわ、あなた、いいんじゃなくて?」
「ふむ。そうだな」
すんなりと侯爵家に通う許可が下りた。
そして明日侯爵家に話しを通してくれることになったので、できればあさってにでも行きたいという希望を伝えた。
「でもそうなればセシールも遊びに来てもお前がいないとつまらんだろうな」
セシールは皇太子の遊び相手として幼い頃からしょっちゅう皇宮に来ている皇帝の親戚の公爵令嬢だ。
「セシール? 彼女は遊びに来てもほとんど図書館へ行って本ばかり読んでますよ」
「なんだ、そうなのか」
すると今まで黙っていた弟が口を開いた。
「父上、僕も兄上と一緒に剣を習いたいです」
「お前はまだだめだ」
冷たく言い放たれたエルネストは悲しそうな顔をして俯いた。
「エルネスト、あと数年もすれば体も強くなるでしょう。その時に習い始めても遅くはありませんよ」
ジェラールより三つ下で八歳のエルネストは少し体が弱いので主に本を読んで過ごしている。
そんな彼に皇帝は冷たく厳しい。
それには理由がある。
まず、ガイアマーレ帝国には海の神マルセラン・オセアヌスと大地の神アルマン・ジオテールという二人の神がいる。
それぞれ癒しの神、豊穣の神として信仰の対象となっており、皇族には大地の神の血が流れている。
その二人の神がいる神殿に入れるのは許された者だけ。
そのため皇族は生まれて三歳になったら神殿の中に入れるか確認するしきたりがある。
なぜなら普通は入ろうとしても入れない不思議な神殿なのだ。
入口には扉の様な物はなく厚い一枚壁があるだけ。その手前に石畳が敷かれている。
入ることが許された者はその石畳の上に立つとそのまま消えるように神殿の中に吸い込まれていく。
千年前、ガイアマーレ帝国が興った当初はまだ神殿に入れる皇族は多くいた。
しかし時代が進むにつれ徐々にその数は減っていき、最後に入ることができたのは百年前の皇帝一人だけ。
そこへ百年ぶりにジェラールが神殿に入ることを許された。
神殿に入ることが出来る皇帝の時代は国が栄えて特に民が豊かになると言われているため、皇帝、皇后、そして民も大喜びだ。
彼には幼くして月に一度神殿の中で神に感謝を述べさらなる国の発展をお願いするという役目が付された。
だがその後生まれたエルネストは入ることができなかった。
(だからって冷たくするのは馬鹿げている。父上だって入れないじゃないか。弟との違いは単に僕が神殿に入れて人間のオーラが見えるということだけなのに)
部屋に戻ると弟が早く健康になりますように、エレンの傷も早く治りますようにと祈ってベッドに入った。
でも興奮してなかなか寝付けない。
それはこれから毎日彼女に会えると思ったから。
あの、白と金銀が混ざり合った強い光を放つオーラを纏ったエレンに。
「ハンカチを洗って返してくれだなんて、とんでもなくケチ臭くて心が狭いじゃないかー!」
次に会う約束を取り付けるためだとしてもあれはない。
ジェラールはエレンと別れた時とは打って変わって自室の机に頭を突っ伏して自己嫌悪に陥っていると、ちょうど侍女が夕食の時間を知らせに来た。
馬鹿な自分を責め続けていたら時が経つのをすっかり忘れていた。
食事の席でジェラールは皇帝と皇后にガリアスが使用人の女の子を苛めていたと話した。
皇帝は全く興味なさげで、皇后に至っては「その女の子はどこのご令嬢なの?」と聞いてきた。
ちゃんと聞いていなかったのだろうか、彼がもう一度「使用人の娘です」と答えると皇后は眉毛をピクリと上げて、それ以上何も言わなかった。
ガリアスは皇后の従妹である侯爵夫人の息子だ。
ジェラールにしてみれば彼と少しでも血が繋がっているだけでも嫌なのに、将来皇帝になった時の力になる人物だから仲良くしなさいと皇后から言われていて不快で仕方ない。
ジェラールは自分の両親と一緒になってガリアスをこき下ろすことができなくてがっかりした。
だがそれは今彼が本当に言いたいことではない。
今日彼がベニュロ侯爵家に行ったのは、剣術の師匠が侯爵家の騎士を推薦したからだ。
その騎士は特に優れた防御技術を持っており、彼からその術を学べということだった。
まだ行くとは言っていないのに、もう話はつけてあるとまで言われた。
ジェラールは一日だけならということで嫌々行ったがエレンと出会えたのは嬉しい誤算だった。
しかも彼女に会うためにこの事が使えると閃いたのだ。
「父上、稽古をつけてくれた騎士にこれからも剣術を習いたいので暫く侯爵家に通ってもいいですか」
「まぁ、それは素晴らしいわ、あなた、いいんじゃなくて?」
「ふむ。そうだな」
すんなりと侯爵家に通う許可が下りた。
そして明日侯爵家に話しを通してくれることになったので、できればあさってにでも行きたいという希望を伝えた。
「でもそうなればセシールも遊びに来てもお前がいないとつまらんだろうな」
セシールは皇太子の遊び相手として幼い頃からしょっちゅう皇宮に来ている皇帝の親戚の公爵令嬢だ。
「セシール? 彼女は遊びに来てもほとんど図書館へ行って本ばかり読んでますよ」
「なんだ、そうなのか」
すると今まで黙っていた弟が口を開いた。
「父上、僕も兄上と一緒に剣を習いたいです」
「お前はまだだめだ」
冷たく言い放たれたエルネストは悲しそうな顔をして俯いた。
「エルネスト、あと数年もすれば体も強くなるでしょう。その時に習い始めても遅くはありませんよ」
ジェラールより三つ下で八歳のエルネストは少し体が弱いので主に本を読んで過ごしている。
そんな彼に皇帝は冷たく厳しい。
それには理由がある。
まず、ガイアマーレ帝国には海の神マルセラン・オセアヌスと大地の神アルマン・ジオテールという二人の神がいる。
それぞれ癒しの神、豊穣の神として信仰の対象となっており、皇族には大地の神の血が流れている。
その二人の神がいる神殿に入れるのは許された者だけ。
そのため皇族は生まれて三歳になったら神殿の中に入れるか確認するしきたりがある。
なぜなら普通は入ろうとしても入れない不思議な神殿なのだ。
入口には扉の様な物はなく厚い一枚壁があるだけ。その手前に石畳が敷かれている。
入ることが許された者はその石畳の上に立つとそのまま消えるように神殿の中に吸い込まれていく。
千年前、ガイアマーレ帝国が興った当初はまだ神殿に入れる皇族は多くいた。
しかし時代が進むにつれ徐々にその数は減っていき、最後に入ることができたのは百年前の皇帝一人だけ。
そこへ百年ぶりにジェラールが神殿に入ることを許された。
神殿に入ることが出来る皇帝の時代は国が栄えて特に民が豊かになると言われているため、皇帝、皇后、そして民も大喜びだ。
彼には幼くして月に一度神殿の中で神に感謝を述べさらなる国の発展をお願いするという役目が付された。
だがその後生まれたエルネストは入ることができなかった。
(だからって冷たくするのは馬鹿げている。父上だって入れないじゃないか。弟との違いは単に僕が神殿に入れて人間のオーラが見えるということだけなのに)
部屋に戻ると弟が早く健康になりますように、エレンの傷も早く治りますようにと祈ってベッドに入った。
でも興奮してなかなか寝付けない。
それはこれから毎日彼女に会えると思ったから。
あの、白と金銀が混ざり合った強い光を放つオーラを纏ったエレンに。
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