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最終章 命を救う魔剣
ヴァルコフ国王の怒り
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***ヴァルコフ国王
「アナスタシア、よくやった! 私にこんな立派な孫ができるとは」
黒髪に赤い瞳のベルナルド王子は自分にそっくりなだけあって、目に入れても痛くないほどに可愛い。
買ってやったガラガラであやすのもお手の物。
アナスタシアが生まれた時の事を思い出す。
「将来この子が魔鉱石を継ぐ国王になるんだな」
「魔鉱石。そういえばそんなのがこの国にはあるのですよね。よく知りませんが」
「お前はこの国の王妃なのだから知っておく必要があるだろう」
傍らではメイドたちが微笑んでいて平和そのものなのに、なぜかアナスタシアだけが浮かない顔をしている。
返す言葉もつっけんどんだ。
「多少は知っています。武器になるのでしょう? ダキアもだから強いって。でも戦いがお嫌いなお父様が気にするなんて意外です」
「それだけじゃない。詳しいことはお前の夫から聞きなさい」
「さあ。教えてくれるかしら」
「どうしたんだ。こんな可愛い息子を産んでそんなに機嫌が悪いんじゃ嫌われるぞ」
「……」
昔王妃が出産した時も少し機嫌が悪くなった。その時医師が産後の女性は警戒心や攻撃心が強くなると言っていたからアナスタシアもそれだろうか。
しかしこの子に限ってはロータス国王との関係性の可能性も捨てきれない。
子どもが生まれたというのにうまくいっていなのだとしたら、原因は言わずと知れたクリビアだろう。
そうならないように彼女を始末することにしたのに、子爵の死体が見つかり暗殺に失敗したことがわかった。
行方を捜したが、その後アナスタシアが妊娠したため夫婦仲は良好なのかと安心して、捜索を中断して今もそのままだ。
だが、誰かがクリビアを助けたとなるとロータス関係の可能性が高い。
もしかして彼女はここに居て、私が来ている間どこかに匿っているのか?
アナスタシアは優しい子だから私にそのことを言わないだけかもしれない。
ベルナルドを連れてメイドたちに下がるよう言った。
「アナスタシア。正直に言いなさい。離婚した王妃がここにいるのか?」
即座に首を横に振ったところみると考えすぎだったか。
そう安心したのも束の間、瞳の周りが赤くなってくるではないか。
ただ事ではない。
「じゃあ何がお前を苛立たせ、悲しませているんだ」
アナスタシアは口を開いて何かを言おうとして、すぐに口を閉じた。
そして再び開いて言った。
「……お父様はクリビア様に刺客を放ったのですか?」
「何? そんなことするわけないだろう。離婚したんだからもう関係ない」
「ですよね。でもクリビア様は殺されそうになって、彼はお父さまが刺客を送ったと思っています」
「何たる濡れ衣だ! まさかそれで関係のないお前がロータス国王から責められたのか?」
「……」
あの小僧、何か酷い事を言ったのだな。
これでクリビアを助けたのはロータスだとはっきりしたが、彼女を襲ったのが私の仕業だという証拠は無い。
死ぬ前にあいつが白状したのなら、すぐアナスタシアとは離婚すると言ってくるはずだ。
「案ずるな。お前は何も悪くない。私が誤解を晴らしてやろうじゃないか」
「違います。お父様がそんなことをしたのでなければそれでいいです。そうじゃなくて、クリビア様が……サントリナにいるみたいで」
「!」
「陛下は先日そこへクリビア様を迎えに行きました」
「な……連れて来たのか!」
「いいえ。それで、クリビア様がこの王宮に来ないのは私のせいだと仰って」
「なんだって!!!」
大声を上げて立ち上がった。
怒りで体が震えてくる。
あの女……。
ロータスが自分に気があるのをいいことに、そう言えばアナスタシアの座に自分が就けるとでも思ったか。
なんという恩知らずな。
ロータスもロータスだ。
結婚したばかりでもう別の女を、しかもクリビアを迎えに行くとは!
アナスタシアがどれだけ殊勝な気持ちで嫁いだと思っているのか。
今はまだ愛していないとしても、王妃として、妻として、王太子の母として最大限に尊重されるべきではないか!
クリビアよりも下に見て雑に扱うとは我慢ならぬ。
どうしてくれよう……。
「八つ当たりされて気分が悪いだけです……って、私もお父様に八つ当たりでしたね、ごめんなさい」
「アナスタシア。優しい子よ。いいか、お前は将来の国王を産んだ王妃なのだからどんと構えていなさい」
「……」
「どうした? まだ何か心配事でもあるのか?」
「……いいえ……」
「お前にはこの父がついているのだ、何も心配する必要は無いぞ」
そう、全て父に任せておけばいい。
アナスタシアがやっと微笑みを返してくれた。
「アナスタシア、よくやった! 私にこんな立派な孫ができるとは」
黒髪に赤い瞳のベルナルド王子は自分にそっくりなだけあって、目に入れても痛くないほどに可愛い。
買ってやったガラガラであやすのもお手の物。
アナスタシアが生まれた時の事を思い出す。
「将来この子が魔鉱石を継ぐ国王になるんだな」
「魔鉱石。そういえばそんなのがこの国にはあるのですよね。よく知りませんが」
「お前はこの国の王妃なのだから知っておく必要があるだろう」
傍らではメイドたちが微笑んでいて平和そのものなのに、なぜかアナスタシアだけが浮かない顔をしている。
返す言葉もつっけんどんだ。
「多少は知っています。武器になるのでしょう? ダキアもだから強いって。でも戦いがお嫌いなお父様が気にするなんて意外です」
「それだけじゃない。詳しいことはお前の夫から聞きなさい」
「さあ。教えてくれるかしら」
「どうしたんだ。こんな可愛い息子を産んでそんなに機嫌が悪いんじゃ嫌われるぞ」
「……」
昔王妃が出産した時も少し機嫌が悪くなった。その時医師が産後の女性は警戒心や攻撃心が強くなると言っていたからアナスタシアもそれだろうか。
しかしこの子に限ってはロータス国王との関係性の可能性も捨てきれない。
子どもが生まれたというのにうまくいっていなのだとしたら、原因は言わずと知れたクリビアだろう。
そうならないように彼女を始末することにしたのに、子爵の死体が見つかり暗殺に失敗したことがわかった。
行方を捜したが、その後アナスタシアが妊娠したため夫婦仲は良好なのかと安心して、捜索を中断して今もそのままだ。
だが、誰かがクリビアを助けたとなるとロータス関係の可能性が高い。
もしかして彼女はここに居て、私が来ている間どこかに匿っているのか?
アナスタシアは優しい子だから私にそのことを言わないだけかもしれない。
ベルナルドを連れてメイドたちに下がるよう言った。
「アナスタシア。正直に言いなさい。離婚した王妃がここにいるのか?」
即座に首を横に振ったところみると考えすぎだったか。
そう安心したのも束の間、瞳の周りが赤くなってくるではないか。
ただ事ではない。
「じゃあ何がお前を苛立たせ、悲しませているんだ」
アナスタシアは口を開いて何かを言おうとして、すぐに口を閉じた。
そして再び開いて言った。
「……お父様はクリビア様に刺客を放ったのですか?」
「何? そんなことするわけないだろう。離婚したんだからもう関係ない」
「ですよね。でもクリビア様は殺されそうになって、彼はお父さまが刺客を送ったと思っています」
「何たる濡れ衣だ! まさかそれで関係のないお前がロータス国王から責められたのか?」
「……」
あの小僧、何か酷い事を言ったのだな。
これでクリビアを助けたのはロータスだとはっきりしたが、彼女を襲ったのが私の仕業だという証拠は無い。
死ぬ前にあいつが白状したのなら、すぐアナスタシアとは離婚すると言ってくるはずだ。
「案ずるな。お前は何も悪くない。私が誤解を晴らしてやろうじゃないか」
「違います。お父様がそんなことをしたのでなければそれでいいです。そうじゃなくて、クリビア様が……サントリナにいるみたいで」
「!」
「陛下は先日そこへクリビア様を迎えに行きました」
「な……連れて来たのか!」
「いいえ。それで、クリビア様がこの王宮に来ないのは私のせいだと仰って」
「なんだって!!!」
大声を上げて立ち上がった。
怒りで体が震えてくる。
あの女……。
ロータスが自分に気があるのをいいことに、そう言えばアナスタシアの座に自分が就けるとでも思ったか。
なんという恩知らずな。
ロータスもロータスだ。
結婚したばかりでもう別の女を、しかもクリビアを迎えに行くとは!
アナスタシアがどれだけ殊勝な気持ちで嫁いだと思っているのか。
今はまだ愛していないとしても、王妃として、妻として、王太子の母として最大限に尊重されるべきではないか!
クリビアよりも下に見て雑に扱うとは我慢ならぬ。
どうしてくれよう……。
「八つ当たりされて気分が悪いだけです……って、私もお父様に八つ当たりでしたね、ごめんなさい」
「アナスタシア。優しい子よ。いいか、お前は将来の国王を産んだ王妃なのだからどんと構えていなさい」
「……」
「どうした? まだ何か心配事でもあるのか?」
「……いいえ……」
「お前にはこの父がついているのだ、何も心配する必要は無いぞ」
そう、全て父に任せておけばいい。
アナスタシアがやっと微笑みを返してくれた。
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